税法その他 実戦篇

固定資産税・不動産取得税の過去問アーカイブス 昭和62年・問31


地方税に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 (昭和62年・問31)

1.「 不動産取得税は,有償であると無償であるとを問わず不動産の取得に対して課されるが,相続や贈与及び法人の合併などにより取得する場合は課されない。」

2.「不動産取得税では,新築特例適用住宅の取得について一戸につき1,200万円を課税標準額から控除する特例措置があり,一定の住宅の用に供する土地の取得については,課税標準額から150万円を控除する特例措置がある。」

3.「質権が設定されている土地に係る固定資産税の納税義務者は,当該土地の質権者である。」

4.「区分所有に係る家屋の敷地の用に供されている土地は共有物であり,各区分所有者は連帯して固定資産税の納税義務を負う。 」

【正解】

× × ×

1.「 不動産取得税は,有償であると無償であるとを問わず不動産の取得に対して課されるが,相続や贈与及び法人の合併などにより取得する場合は課されない。」

【正解:×昭和59年,平成8年,12年

◆非課税−相続・法人の合併・委託者から受託者に信託財産を移す

 不動産取得税は,有償であると無償であるとを問わず不動産の取得に対して課されますが,形式的な所有権の移転である<相続・法人の合併・委託者から受託者に信託財産を移す>場合の取得では課すことができません。(地方税法73条の7)

 しかし,贈与で取得する場合には不動産取得税が課されるので本肢は×です。

●類題
「不動産取得税は,相続による不動産の取得についても課税される。」(昭和59年・問30・肢3)
【正解:×

2.「不動産取得税では,新築特例適用住宅の取得について一戸につき1,200万円を課税標準額から控除する特例措置があり,一定の住宅の用に供する土地の取得については,課税標準額から150万円を控除する特例措置がある。」

【正解:×特例適用住宅・昭和60年,62年,63年,平成元年,2年,7年,10年,12年,/住宅用土地の減額昭和57年,62年,平成13年

◆新築特例住宅の課税標準の特例+住宅用土地の減額

 新築の特例適用住宅を取得した場合〔面積要件(50〜240平方メートル),(戸建以外の貸家住宅は40〜240平方メートル)〕には,一戸につき1,200万円を課税標準額から控除する特例措置があります。

課税標準 × 税率 = 税額
 
 価格−控除額(1,200万円)=課税標準

 住宅用土地の場合は以下のものが税額から控除されるのであって,課税標準額から150万円を控除するという制度はありません。

特例適用住宅の用地を取得した場合,宅地評価土地の課税標準の特例のほかに,一定の要件により次の税額の減額があります。

住宅減額

 一定の要件により,次のいずれか多い方の額が,税額から減額されます。

 ア. 45,000円

 イ. 土地の1平方メートルあたりの価格の1/2×住宅の床面積の2倍×3/100
                              (200平方メートルが限度)

平成16年の改正により土地取得後の住宅新築までの経過年数はやむを得ない場合は4年以内に緩和されました。

不動産取得税の宅地評価土地等の課税標準の特例

課税標準 × 税率 = 税額
 ↑ここが1/2

 宅地評価土地等の不動産取得税=課税標準(固定資産税評価額)×1/2×3%

3.「質権が設定されている土地に係る固定資産税の納税義務者は,当該土地の質権者である。」

【正解:昭和61年,62年,平成17年

◆納税義務者の例外−質権者

 固定資産税の納税義務者は固定資産の所有者ですが,質権又は100年より長い存続期間の定めのある地上権の目的である土地についてはその質権者又は地上権者が納税義務者となります。(343条1項)

 このほかにも所有者ではなく,例外的に土地・建物の使用者が納税義務者になる場合があります。

●類題
「固定資産税が課されるのは所有者のみであり,質権者や地上権者が固定資産税を課されることはない。」(鑑定士・平成14年)
【正解:×

4.「区分所有に係る家屋の敷地の用に供されている土地は共有物であり,各区分所有者は連帯して固定資産税の納税義務を負う。 」

【正解:×昭和61年,62年

◆区分所有建物の敷地になっている土地

 区分所有に係る家屋の敷地の用に供されている土地(共用土地)とは,分譲マンションや区分所有のビルの敷地になっている土地のことを言いますが,その敷地利用権としては「所有権」,「地上権」,「賃借権」,「使用借権」があります。

 当該土地が区分所有者全員の共有の場合〔敷地利用権が所有権〕の共用土地に対する固定資産税は,各区分所有者(共用土地納税義務者)の持分割合によってあん分した額となります。(352条の2)

 352条の2ではワザワザ10条の2第1項の規定(共有物等は納税者が連帯して納付する義務)かかわらずと明記してあり,各区分所有者が連帯して固定資産税の納税義務を負うのではありません。 〔分割して納税〕

区分所有に係る家屋の固定資産税についても,連帯して納税義務を負うのではなく,各区分所有者の共用部分の持分割合〔専有部分の床面積割合や利用価値などによる〕によって按分した額になります。(352条)

●関連問題
「区分所有に係る家屋に対して課される固定資産税は,各区分所有者が連帯して納税義務を負う。」(鑑定士・平成9年)
【正解:×


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