税法その他 実戦篇

不動産取得税の過去問アーカイブス 平成12年・問28


不動産取得税に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 (平成12年・問28)

1.「床面積が33平方メートルである新築された住宅で,まだ人の居住の用に供されたことのないものを,平成26年4月に取得した場合,当該取得に係る不動産取得税の課税標準の算定については,当該住宅の価格から1,200万円が控除される。」

2.「現在保有している家屋を解体し,これを材料として他の場所に同一の構造で再建した場合は,常に不動産の取得はなかったものとみなされる。」

3.「宅地を平成26年4月に取得した場合,当該取得に係る不動産取得税の課税標準は,当該宅地価格の1/2の額とされる。 」

4.「委託者のみが信託財産の元本の受益者である信託において,受託者から委託者に信託財産を移す場合の不動産の取得については,不動産取得税が課税される。」

【正解】

× × ×

1.「床面積が33平方メートルである新築された住宅で,まだ人の居住の用に供されたことのないものを,平成26年4月に取得した場合,当該取得に係る不動産取得税の課税標準の算定については,当該住宅の価格から1,200万円が控除される。」

【正解:×昭和60年,62年,63年,平成元年,2年,7年,10年,12年

◆特例住宅の課税標準の特例

 新築の特例適用住宅を取得した場合〔面積要件(50〜240平方メートル),(戸建以外の貸家住宅は40〜240平方メートル)〕には,一戸につき1,200万円を課税標準額から控除する特例措置があります。床面積要件の下限は40平方メートルなので,本肢の33平方メートルでは適用されません。

課税標準 × 税率 = 税額
 
 価格−控除額(1,200万円)=課税標準

◆特例適用住宅 新築住宅・既存住宅・・・・別荘には適用されない

   課税標準  税率  税額
 新築住宅 貸家でもよい 法人にも適用

 ・床面積 50〜240平方メートル

  〔戸建以外の貸家 40〜240平方メートル〕

 1,200万円を

 控除

 ―  ―
 既存住宅 自己居住用のみ 法人不可

 ・居住部分の床面積 50〜240平方メートル

 ・経過年数の要件 20年〔構造により 25年〕

 経過年数により

 控除額は異なる

 ―   

 ―

平成17年の施行令の改正により,既存住宅の経過年数の要件は緩和され,<昭和57年1月1日以後に新築されたもの>,又は,<国土交通大臣が総務大臣と協議して定める地震に対する安全性に係る基準に適合することにつき総務省令で定めるところにより証明がされたもの>であれば適用されることになった。

新築住宅での課税標準の算定で価格から1,200万円控除する特例は,当該住宅の取得者から,都道府県の条例で定めるところにより,申告がなされた場合に限り適用されます。〔自己居住用に既存住宅を取得した場合の控除も同じ〕(73条の14第4項)

▼『特例適用住宅の用に供する土地の取得に対する不動産取得税の減額』の場合も適用されるには申告が必要です。(73条の24第4項)

2.「現在保有している家屋を解体し,これを材料として他の場所に同一の構造で再建した場合は,常に不動産の取得はなかったものとみなされる。」

【正解:×

◆家屋を解体して、「別の場所」に再建築

 この場合,改築に準じて移築によって価値が増加した価格を課税標準として,不動産取得税が課税されます。(地方税法(道府県税関係)取扱通知・第5章不動産取得税・第1・2(5),73条,73条の2第4項など) 

家屋を改築したことにより、当該家屋の価格が増加した場合においては、当該改築をもつて家屋の取得とみなして、不動産取得税を課する。(地方税法73条の2第4項)

□価値の増加があれば,不動産の取得とみなされ,不動産取得税が課される。

行為 解体して再建築 ⇒ 新築に該当する
課税標準  (改築に準じて) 価値の増加があれば、その価値の増加分

<参考>原型のままの移転は、取得にはなりません(地方税法取扱通知(道府県税関係)・第5章不動産取得税・第1・2(5)

●地方税法の施行の取扱について (道府県税関係)  −総務省−
第1 納税義務者及び課税客体

1 不動産取得税の納税義務者は、不動産の取得者であって、個人たると法人たるとを問わないものであること。(法73の2)

2 不動産取得税の課税客体は不動産の取得であるが、「不動産」の意義については、次の諸点に留意すること。(法73)

(5) 家屋を原型のまま他の場所に移転することは不動産の取得には含まれないものであること。これに反して、家屋を解体し、これを材料として他の場所に同一の構造で再建するいわゆる移築は、新築に該当するものであるが、負担の均衡上改築の場合に準じてその移築により増加した価額を課税標準として課税することが適当であること。

3.「宅地を平成26年4月に取得した場合,当該取得に係る不動産取得税の課税標準は,当該宅地価格の1/2の額とされる。 」

【正解:昭和59年,平成6年,7年,8年,10年,12年,16年

◆宅地評価土地の課税標準の軽減措置

 平成27年3月31日までに,宅地などを取得した場合,不動産の課税標準は,当該土地の価格の1/2になります。(地方税法附則11条の5第1項)

宅地評価土地(宅地・宅地比準土地)の課税標準の特例  
   課税標準  税率  税額
 宅地

 宅地比準土地

 登録価格の1/2  ―  ―

◆宅地評価土地とは

 宅地 or 宅地比準土地

 ▼「宅地比準土地」の意味
 宅地以外の土地で、当該土地の取得に対して課する不動産取得税の課税標準と
 なるべき価格が、当該土地とその状況が類似する宅地の不動産取得税の課税標準
 とされる価格に比準する価格によって決定されるもの。

4.「委託者のみが信託財産の元本の受益者である信託において,受託者から委託者に信託財産を移す場合の不動産の取得については,不動産取得税が課税される。」

【正解:×

◆信託による不動産の形式的な取得は非課税

 相続・包括遺贈・法人の合併・法人の政令で定める分割・委託者から受託者に信託財産を移す場合などによる形式的な不動産の所有権の移転については非課税です(73条の7第3号)

委託者のみが信託財産の元本の受益者である信託により受託者から元本の受益者に信託財産を移す場合の不動産の取得についても,不動産取得税は課税されません(73条の7第4号) 


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