税法その他 実戦篇
不動産取得税の過去問アーカイブス 平成19年・問28
不動産取得税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 (平成19年・問28) |
1 平成26年4月に土地を取得した場合に、不動産取得税の課税標準となるべき額が30万円に満たないときには不動産取得税は課税されない。 |
2 平成10年4月に建築された床面積200平方メートルの中古住宅を法人が取得した場合の当該取得に係る不動産取得税の課税標準の算定については、当該住宅の価格から1,200万円が控除される。 |
3 平成26年4月に商業ビルの敷地を取得した場合の不動産取得税の標準税率は、100分の3である。 |
4 不動産取得税は、不動産の取得に対して課される税であるので、相続により不動産を取得した場合にも課税される。 |
<コメント> |
不動産取得税としては,近年になく,正答率が低かった年でした。その原因としては,肢1の固定資産税の免税点との混同,肢2の昭和60年以来の法人の取得に対する課税の可否,肢3の前年との近似問題で引っかかった受験者が多かったものと思われます。
基本的な出題でも,注意しないと間違えてしまうという典型的な問題です。この問題は,正答率が50%を切っていても,確実にとらなければいけない問題です。 |
●出題論点● |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | ○ | × |
正答率 | 37.7% |
1 平成26年4月に土地を取得した場合に、不動産取得税の課税標準となるべき額が30万円に満たないときには不動産取得税は課税されない。 |
【正解:×】 ◆免税点 土地を取得した場合に免税となるのは10万円未満です(地方税法73条の15の2第1号)。 固定資産税の免税点と混同しやすいので,注意してください。本肢は,この混同に着目して作られた問題です。 ●免税点の比較→ 未満が免税であることに注意
|
2 平成10年4月に建築された床面積200平方メートルの中古住宅を法人が取得した場合の当該取得に係る不動産取得税の課税標準の算定については、当該住宅の価格から1,200万円が控除される。 |
【正解:×】<対比>昭和60年・問29・肢3,, ◆課税標準の特例〜法人が既存住宅を取得した場合には適用されない 法人が新築住宅を取得した場合は,一戸につき1,200万円を課税標準額から控除する特例措置がありますが(地方税法73条の14第1項),法人が既存住宅を取得した場合にはこの特例は適用されません(地方税法73条の14第3項)。 したがって,本肢は誤りです。 ◆特例適用住宅 新築住宅★・既存住宅・・・・別荘には適用されない
※平成17年の施行令の改正により,既存住宅の経過年数の要件は緩和され,<昭和57年1月1日以後に新築されたもの>,又は,<国土交通大臣が総務大臣と協議して定める地震に対する安全性に係る基準に適合することにつき総務省令で定めるところにより証明がされたもの>であれば適用されることになった。 |
3 平成26年4月に商業ビルの敷地を取得した場合の不動産取得税の標準税率は、100分の3である。 |
【正解:○】 ◆土地の標準税率 商業ビルの敷地を取得した場合なので,土地取得の不動産取得税の税率を訊いています。土地の取得の税率は3%です(地方税法73条の15,附則11条の2第1項)。 本肢は正しい記述です。 不動産取得税の標準税率は本則では4/100ですが,以下のように,特例措置で土地と住宅の取得については平成18年4月1日〜平成27年3月31日は特例で3/100に引下げられています。 したがって×です。 不動産取得税の標準税率は本則では4/100ですが(地方税法・73条の15)(住宅以外の家屋の取得の税率では平成20年4月以降は4%。)
▼住宅以外の家屋の取得と勘違いした受験者の方が多かったようです。平成18年・問27・肢1では,『住宅以外の家屋を取得した場合の標準税率』だったので,混同した可能性があります。 |
4 不動産取得税は、不動産の取得に対して課される税であるので、相続により不動産を取得した場合にも課税される。 |
【正解:×】 ◆相続による取得には課税されない 不動産取得税は,相続,包括遺贈,相続人への特定遺贈による不動産の取得には,課税されません(地方税法73条の7第1号)。 本肢は,「相続により不動産を取得した場合にも課税される」としているので,誤りです。 ▼共有物の分割〔分割前の持分の割合を超える部分の取得には課税される〕,法人の合併・政令で定める分割,信託〔委託者から受託者に信託財産を移す〕による取得の場合も,不動産取得税を,課税することはできません。形式的な財産の移転だからです。 |
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