税法その他 実戦篇

固定資産税の過去問アーカイブス 平成17年・問28 


固定資産税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 (平成17年・問28)

1.「質権者は、その土地についての使用収益の実質を有していることから、登記簿にその質権が登記されている場合には、固定資産税が課される。」

2.「納税義務者又はその同意を受けた者以外の者は、固定資産課税台帳の記載事項の証明書の交付を受けることはできない。」

3.「固定資産税を既に全納した者が、年度の途中において土地の譲渡を行った場合には、その所有の月数に応じて税額の還付を受けることができる。」

4.「新築された住宅に対して課される固定資産税については、新たに課されることとなった年度から4年度分に限り、1/2相当額を固定資産税額から減額される。」

【正解】

× × ×

1.「質権者は、その土地についての使用収益の実質を有していることから、登記簿にその質権が登記されている場合には、固定資産税が課される。」

【正解:

◆質権が設定されている場合の納税義務者

 質権又は100年より長い存続期間の定めのある地上権が設定されている土地では,土地の所有者ではなく,質権者や地上権者が納税義務者となる(地方税法343条1項)

【出題歴】 昭和61年・問32・肢1昭和62年・問31・肢3

2.「納税義務者又はその同意を受けた者以外の者は、固定資産課税台帳の記載事項の証明書の交付を受けることはできない。」

【正解:×

◆固定資産課税台帳記載事項の証明書の交付

 市町村長は,納税義務者その他政令で定める者から請求があったときは,固定資産課税台帳の記載事項についての証明書を交付しなければならない。

 政令で定める者とは,土地又は家屋について賃借権その他の使用又は収益を目的とする権利(対価が支払われるものに限る。)を有する者,固定資産の処分をする権利を有する者として総務省令で定める者〔破産管財人など〕(地方税法382条の3,地方税法施行令・52条の15)であるが,納税義務者以外の者が証明書を請求するのに納税義務者の同意は必要ではないので,誤りである。

借地人や借家人に閲覧や証明書の交付が認められているのは,賃料等に固定資産税が転嫁され,固定資産税の実質的な負担者である場合があるからである。

納税義務者等本人だけではなく,その代理人も閲覧し,証明書の交付を受けることができる。これは縦覧帳簿の縦覧の場合も同じである。

【出題歴】 平成15年・問28・肢3

3.「固定資産税を既に全納した者が、年度の途中において土地の譲渡を行った場合には、その所有の月数に応じて税額の還付を受けることができる。」

【正解:×

◆年度の途中で売買があったとき

 1月2日以降に所有者が変わったとしても,賦課期日(1月1日)に固定資産課税台帳に所有者として登録されている者)が,その年の4月1日からの年度分の税額全部の,納税義務者になる。

 年度の途中で売買があったとしてもそのことに変わりはなく,その所有の月数に応じて税額の還付を受けることができるわけではないので,誤りである。

【出題歴】 平成11年・問27・肢4平成15年・問28・肢1

4.「新築された住宅に対して課される固定資産税については、新たに課されることとなった年度から4年度分に限り、1/2相当額を固定資産税額から減額される。」

【正解:×

◆新築住宅での固定資産税の減額

 一定の要件を満たす新築住宅では,その家屋の120平方メートルまでの住居部分の固定資産税の税額が1/2に減額される(附則16条1項2項)

床面積要件 床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下

(戸建以外の貸家住宅は40平方メートル以上280平方メートル以下)

居住割合

(併用住宅)

居住部分の床面積割合がその家屋の1/2以上

 減額される期間は,新たに課されることになった年度から,地上階数3以上の中高層耐火建築物等の住宅では5年度分,その他一般の住宅では3年度分なので,<4年度分に限り減額される>とする本肢は誤りである。

【出題歴】 昭和58年・問29・肢3昭和60年・問30・肢2昭和61年・問32・肢4,  
       
平成5年・問29・肢2平成11年・問27・肢3


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