税法その他 実戦篇

固定資産税の過去問アーカイブス 昭和58年・問29


固定資産税に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 (昭和58年・問29)

1.「特定市街化区域農地の所有者が,その農地を転用し,基盤整備を伴って平成18年3月31日までの間に第一種中高層耐火建築物である貸家住宅を新築し,かつ,現に貸家の用に供している場合には,原則として当該家屋に対する固定資産税額は新築後5年度間4分の3に相当する額,その後の5年度間3分の2に相当する額が減額される。」

2.「土地,家屋に対する固定資産税の納税義務者は,その土地,家屋の真実の所有者であって,1月1日において固定資産課税台帳に所有者として登録されている者とは限らない。」

3.「新築住宅家屋に対する固定資産税の減額措置 (一定期間1/2に減額) に ついては, 床面積150平方メートルの住宅については,150平方メートル全部について減額の対象となる。」

4.「住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例措置は (課税標準を価格の1/3又は1/6とする。) は,貸家の敷地の用に供されている土地については適用がない。」

【正解】

× × ×

1.「特定市街化区域農地の所有者が,その農地を転用し,基盤整備を伴って平成18年3月31日までの間に第一種中高層耐火建築物である貸家住宅を新築し,かつ,現に貸家の用に供している場合には,原則として当該家屋に対する固定資産税額は新築後5年度間4分の3に相当する額,その後の5年度間3分の2に相当する額が減額される。」

【正解:

◆特定市街化区域農地内の農地を転用+中高層耐火建築物の貸家住宅 

 特定市街化区域農地の所有者が,その農地を転用し,第一種中高層耐火建築物又は第二種中高層耐火建築物である貸家住宅で政令で定めるものを,平成18年3月31日までの間に新築し,かつ,現に貸家の用に供している場合に当該貸家住宅の敷地の用に供する土地が良好な居住環境の整備のための公共施設の整備が行われたものであることにつき市町村長が政令で定めるところにより認めたときは,当該貸家住宅に対して課する固定資産税について,本肢の減額措置があります。(地方税法附則・16条3項)

▼本肢は最近出題されていないので,参考程度にしてください。

                  ⇒ 参考・昭和60年・問30・肢4「宅地並課税」

2.「土地,家屋に対する固定資産税の納税義務者は,その土地,家屋の真実の所有者であって,1月1日において固定資産課税台帳に所有者として登録されている者とは限らない。」

【正解:×

◆納税義務者

 固定資産税の納税義務者は,原則として,賦課期日(1月1日)に固定資産課税台帳に所有者として登録されている者)です。下の類題 (昭和50年出題) のように例外はありますが,原則で考えるべきです。

●類題
「賦課期日に土地の所有者として登記又は登録されている個人が既に死亡している場合の固定資産税の納税義務者は,相続人ではなく,賦課期日において現にその土地を所有している者である。」(宅建・昭和50年)
【正解:例外的な問題です。

 固定資産税の納税義務者は,原則として,賦課期日(1月1日)に固定資産課税台帳に所有者として登録されている者)ですが,賦課期日前に,登記又は登録されている個人が既に死亡している場合や,登記又は登録されている法人が消滅している場合は,例外的に,賦課期日において現に当該家屋又は土地を所有している者が固定資産税の納税義務者になります。(地方税法343条2項)

3.「新築住宅家屋に対する固定資産税の減額措置 (一定期間1/2に減額) に ついては, 床面積150平方メートルの住宅については,150平方メートル全部について減額の対象となる。」

【正解:×

新築住宅に係る固定資産税の減額

 以下の要件を共に満たす新築住宅は,その家屋の120平方メートルまでの住居部分の固定資産税の税額が1/2に減額されます。(附則16条1項2項)

 したがって,本肢の<150平方メートル全部について減額>というのは誤りです。

床面積要件 床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下

(戸建以外の貸家住宅は40平方メートル以上280平方メートル以下)

居住割合

(併用住宅)

居住部分の床面積割合がその家屋の1/2以上

 減額される期間は下記のとおり。

 地上階数3以上の準耐火構造及び耐火構造住宅  新築後5年度分
 一般の住宅(上記以外)  新築後3年度分
 

4.「住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例措置は (課税標準を価格の1/3又は1/6とする。) は,貸家の敷地の用に供されている土地については適用がない。」

【正解:×

◆住宅用地の課税標準の特例

 条文では,<『専ら人の居住の用に供する家屋又はその一部を人の居住の用に供する家屋で政令で定めるもの』の敷地に供されている土地で政令で定めるもの>となっており,持家・貸家の区別はしていません。(地方税法349条の3の2)

 政令で定める住居⇒その全部が別荘の用に供される住居以外の住居(施行令52条の12)

住宅用地の課税標準は、以下のように2つに分けて計算します。(349条の3の2)。

200平方メートル以下の部分 固定資産課税台帳の登録価格の1/6
200平方メートル超の部分 固定資産課税台帳の登録価格の1/3

●固定資産税の過去問Up-to-date 〜検索用〜
昭和60年問30昭和61年問32昭和62年問31昭和63年問31平成元年問31平成3年問30平成4年問30平成5年問29平成6年問28平成9年問26平成11年問27平成14年問28・平成15年問28

固定資産税の過去問アーカイブスに戻る   過去問アーカイブス・税法その他に戻る

1000本ノック・固定資産税のトップに戻る   税法その他・基礎編のトップに戻る