宅建過去問 宅建業法 

営業保証金の過去問アーカイブス 平成21年・問30 国土交通大臣免許業者


 宅地建物取引業者A (国土交通大臣免許) が、宅地建物取引業法の規定に基づき供託する営業保証金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(平成21年・問30)

1 は、営業保証金を主たる事務所又はその他の事務所のいずれかの最寄りの供託所に供託することができる。

2 が営業保証金を供託した旨は、供託所から国土交通大臣あてに通知されることから、がその旨を直接国土交通大臣に届け出る必要はない。

3 との取引により生じた電気工事業者の工事代金債権について、当該電気工事業者は、営業継続中のが供託している営業保証金から、その弁済を受ける権利を有する。

4 営業保証金の還付により、営業保証金の額が政令で定める額に不足することとなった場合、は、国土交通大臣から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託しなければならない。

<コメント>  
 頻出論点のみの出題ですが,肢2の国土交通大臣への供託した旨の届出については,単独に出題したものとしては実質的に初出題です。
●出題論点●
 肢1 営業保証金を主たる事務所のもよりの供託所に供託しなければならない。

 肢2 営業保証金を供託したときは,その旨を免許権者に届け出なければならない。

 肢3 営業保証金について,債権の弁済を受ける権利を有するのは,その宅建業者と宅建業に関し取引をした者に限られる。

 肢4 営業保証金の還付により、営業保証金の額が政令で定める額に不足することとなった場合、は、国土交通大臣から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託しなければならない。

【正解】

× × ×

 正答率  89.8%

1 は、営業保証金を主たる事務所又はその他の事務所のいずれかの最寄りの供託所に供託することができる。

【正解:×昭和59年・問36・肢3昭和61年・問44・肢1昭和63年・問38・肢1平成5年・問46・肢1平成8年・問47・肢3平成10年・問37・肢1平成15年・問34・肢2平成18年・問34・肢2平成21年・問30・肢1

◆営業保証金の供託は,主たる事務所の最寄の供託所に

 × 主たる事務所又はその他の事務所のいずれかの最寄りの供託所
                 ↓
 ○ 主たる事務所のもよりの供託所

 宅建業者は,営業保証金を主たる事務所のもよりの供託所に供託しなければなりません(宅建業法25条1項)

2 が営業保証金を供託した旨は、供託所から国土交通大臣あてに通知されることから、がその旨を直接国土交通大臣に届け出る必要はない。

【正解:×国土交通大臣免許業者については初出題
昭和61年・問44・肢2平成5年・問46・肢1平成15年・問34・肢3平成18年・問34・肢1

◆営業保証金を供託した旨の届出

 宅建業者は,営業保証金を供託したときは,その供託物受入れの記載のある供託書の写しを添附して,その旨を免許権者〔国土交通大臣又は都道府県知事〕に届け出なければなりません(宅建業法25条4項)

 国土交通大臣免許業者の場合も,国土交通大臣に直接届けます。主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事を経由して届け出るのではありません。

ただし,国土交通大臣の権限は,その一部を,宅建業者の本店または主たる事務所の所在地を管轄する地方整備局長または北海道開発局長に委任することができるので,国土交通大臣免許業者の供託した旨の届出の受理も,現在は,地方整備局長または北海道開発局長が行っています(宅建業法78条の2第1項,施行規則32条1項9号)

国土交通大臣免許業者の申請・届出

 変更の届出,
 廃業等の届出
 主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事を経由
 免許の申請,
 免許換えの申請
 主たる事務所を置くことになる地域を管轄する
 都道府県知事を経由
 50条2項の届出  当該案内所等の所在地を管轄する都道府県知事を経由
 営業保証金関係の届出

 免許の書換え交付申請

 直接,国土交通大臣に届出・申請
●条文確認
(権限の委任)

第78条の2  この法律に規定する国土交通大臣の権限は、国土交通省令で定めるところにより、その一部を地方整備局長又は北海道開発局長に委任することができる。

2  この法律に規定する内閣総理大臣の権限(政令で定めるものを除く。)は、消費者庁長官に委任する(21年改正により追加)

3 との取引により生じた電気工事業者の工事代金債権について、当該電気工事業者は、営業継続中のが供託している営業保証金から、その弁済を受ける権利を有する。

【正解:×<広告業者>平成2年・問36・肢3平成11年・問38・肢3平成17年・問33・肢3平成19年・問37・肢1<賃貸物件の管理委託による債権>平成17年・問33・肢2
<内装工事代金債権>平成13年・問33・肢4<電気工事代金>平成21年・問30・肢3

◆営業保証金から債権の弁済を受けることができる者

 営業保証金について,債権の弁済を受ける権利を有するのは,その宅建業者と宅建業に関し取引をした者に限られます(宅建業法27条1項)

 電気工事業者は,宅建業者と取引をしたといっても,宅建業に関し取引をしたのではありません。したがって,この電気工事業者は,営業保証金から,債権の弁済を受けることはできないので,本肢は誤りです。

4 営業保証金の還付により、営業保証金の額が政令で定める額に不足することとなった場合、は、国土交通大臣から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託しなければならない。

【正解:平成14年・問33・肢4平成16年・問35・肢4平成18年・問34・肢4

◆通知書の送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託しなければならない

 営業保証金の還付により営業保証金の額が政令で定める額に不足することになった場合,免許権者から不足額を供託すべき旨の通知書の送付を受けた日から2週間以内にその不足額を供託しなければなりません(宅建業法28条1項)


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