宅建過去問 税法その他
固定資産税の過去問アーカイブス 平成20年・問28
固定資産税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(平成20年・問28) |
1 固定資産の所有者の所在が震災、風水害、火災等によって不明である場合には、その使用者を所有者とみなして固定資産課税台帳に登録し、その者に固定資産税を課することができる。 |
2 市町村長は、一筆ごとの土地に対して課する固定資産税の課税標準となるべき額が、財政上その他特別の必要があるとして市町村の条例で定める場合を除き、30万円に満たない場合には、固定資産税を課することができない。 |
3 固定資産税の課税標準は、原則として固定資産の価格であるが、この価格とは 「適正な時価」 をいうものとされており、固定資産の価格の具体的な求め方については、都道府県知事が告示した固定資産評価基準に定められている。 |
4 市町村長は、毎年3月31日までに固定資産課税台帳を作成し、毎年4月1日から4月20日又は当該年度の最初の納期限の日のいずれか遅い日以後の日までの間、納税義務者の縦覧に供しなければならない。 |
<コメント> |
肢2,肢3は過去問出題歴がありますが,肢1は初出題,肢4は改正後の初出題です。
肢4の改正を知らなかった人は4〔15年改正前の記述〕にマークしていた可能性があります。 正答率が低かったのはこのことに関係していると思われます。 肢4の過去の改正を知っていた方は,肢4が誤りであることをすぐさま見破って,肢1が未知であっても,自信を持って,1にマークしたはずです。 |
【正解】1
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | × | × |
正答率 | 27.5% |
1 固定資産の所有者の所在が震災、風水害、火災等によって不明である場合には、その使用者を所有者とみなして固定資産課税台帳に登録し、その者に固定資産税を課することができる。 |
【正解:○】初出題 ◆所有者の所在が不明なとき ⇒ 使用者を所有者とみなす 市町村は,固定資産の所有者の所在が震災,風水害,火災その他の事由によって不明である場合,その使用者を所有者とみなして,固定資産課税台帳に登録し,その者に固定資産税を課することができます(地方税法343条4項)。 |
●そのほかの注意すべき「所有者」 |
所有者とは,土地又は家屋については,登記簿または土地補充課税台帳・家屋補充課税台帳に所有者として登記または登録されている者をいう。
ただし,所有者として登記または登録されている個人が賦課期日前に死亡しているときや所有者として登記又は登録されている法人が賦課期日前に消滅しているときは,賦課期日において当該土地又は家屋を現に所有している者をいう(地方税法343条2項)。 |
2 市町村長は、一筆ごとの土地に対して課する固定資産税の課税標準となるべき額が、財政上その他特別の必要があるとして市町村の条例で定める場合を除き、30万円に満たない場合には、固定資産税を課することができない。 |
【正解:×】 ◆固定資産税の免税点 市町村は,同一の者について,当該市町村の区域内においてその者の所有する土地のすべてに対して課する固定資産税の課税標準となるべき額が,土地では30万円未満の場合は,原則として※,固定資産税を課することができません(地方税法351条)。 一筆ごとの土地についての固定資産税の課税標準となるべき額が30万円未満のときに固定資産税を課することができないのではありません。⇒ 「一筆ごとの土地」を見落としてはいけません。 ※市町村は,財政上その他特別の必要がある場合,条例の定めるところによって,その額がそれぞれ土地30万円,家屋20万円,償却資産150万円未満であっても,固定資産税を課することができます(地方税法351条但書)。 |
3 固定資産税の課税標準は、原則として固定資産の価格であるが、この価格とは 「適正な時価」 をいうものとされており、固定資産の価格の具体的な求め方については、都道府県知事が告示した固定資産評価基準に定められている。 |
【正解:×】平成14年・問28・肢1, ◆固定資産評価基準 「固定資産評価基準」〔固定資産の評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続を定める〕は,総務大臣が定めて告示します。固定資産評価基準には,その細目に関する事項について道府県知事が定めなければならない旨を定めることができます(地方税法388条1項)。 市町村長は,この「固定資産評価基準」によって固定資産の価格を決定しなければなりません(地方税法403条1項)。 本肢は,「都道府県知事が告示した固定資産評価基準」としているので,誤りです。 |
4 市町村長は、毎年3月31日までに固定資産課税台帳を作成し、毎年4月1日から4月20日又は当該年度の最初の納期限の日のいずれか遅い日以後の日までの間、納税義務者の縦覧に供しなければならない。 |
【正解:×】改正後は初出題 ◆固定資産課税台帳の閲覧 固定資産課税台帳の閲覧期間については,特に制限はなく,一年中いつでも閲覧できるので,本肢は誤りです。 市町村長は,納税義務者その他の政令で定める者の求めに応じ,固定資産課税台帳のうちこれらの者に係る固定資産として政令で定めるものに関する事項が記載されている部分又はその写しをこれらの者の閲覧に供しなければなりません(地方税法382条の2)。 ▼期間に制限があるのは,「土地価格等縦覧帳簿及び家屋価格等縦覧帳簿」の縦覧です(地方税法416条1項)。 市町村長は,縦覧の場所や縦覧期間をあらかじめ公示した上で,4月1日から20日間または当該年度の最初の納期限の日のいずれか遅い日以後の日までの間,土地価格等縦覧帳簿・家屋価格等縦覧帳簿を固定資産税の納税者の縦覧に供しなければなりません。 |
●閲覧と縦覧−平成15年法改正 |
■固定資産課税台帳・・・年間を通していつでも閲覧することができる。 閲覧できる人 ・固定資産の所有者(納税義務者) ・借地借家人 ・総務省令で規定された管財人など ■土地価格等縦覧帳簿及び家屋価格等縦覧帳簿・・・3/31までに作成することになっています。この縦覧帳簿は納税義務者本人以外のものの価格も見ることができます。〔他の土地や家屋との比較材料という制度趣旨なのですから本人以外のものが見られないと意味がありません。ただし土地のみの所有者は土地価格等縦覧帳簿のみ、家屋のみの所有者は家屋価格等縦覧帳簿のみ、縦覧できます。〕こちらは「閲覧」ではなく「縦覧」になっています。 |
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