税法その他 実戦篇

不動産取得税の過去問アーカイブス 昭和56年・問30


不動産取得税に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 (昭和56年・問30)

1.「家屋の新築または増築は,不動産取得税の課税対象となるが,改築についてはいかなる場合においても不動産取得税は課されない。」

2.「不動産取得税の課税対象である不動産とは土地および家屋をいうが,家屋には住宅のほか店舗,工場,倉庫なども含まれる。」

3.「不動産取得税は市町村税である。 」

4.「いわゆる中古住宅については,住宅に係る不動産取得税の課税標準の特例の適用はない。」

【正解】

× × ×

1.「家屋の新築または増築は,不動産取得税の課税対象となるが,改築についてはいかなる場合においても不動産取得税は課されない。」

【正解:×

◆改築

 改築で家屋の価格が増加した場合には,家屋の取得があったものとみなされ,不動産取得税が課税されます。(地方税法・73条の2第4項)

2.「不動産取得税の課税対象である不動産とは土地および家屋をいうが,家屋には住宅のほか店舗,工場,倉庫なども含まれる。」

【正解:

◆家屋

 家屋は,住宅,店舗,工場,倉庫その他の建物をいいます。(地方税法・73条3号)

●地方税法・73条
(不動産取得税に関する用語の意義)
第73条  不動産取得税について、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一  不動産 土地及び家屋を総称する。

二  土地 田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野その他の土地をいう。

三  家屋 住宅、店舗、工場、倉庫その他の建物をいう。

四  住宅 人の居住の用に供する家屋又は家屋のうち人の居住の用に供する部分で、政令で定めるものをいう。

五  価格 適正な時価をいう。

六  建築 家屋を新築し、増築し、又は改築することをいう。

七  増築 家屋の床面積又は体積を増加することをいう。

八  改築 家屋の壁、柱、床、はり、屋根、天井、基礎、昇降の設備その他家屋と一体となつて効用を果たす設備で政令で定めるものについて行われた取替え又は取付けで、その取替え又は取付けのための支出が資本的支出と認められるものをいう。

3.「不動産取得税は市町村税である。 」

【正解:×

◆(都)道府県税

 不動産取得税は,不動産の取得に対し,当該不動産の所在する都道府県が,当該不動産の取得者に課するものです。(地方税法・73条の2第1項)

4.「いわゆる中古住宅については,住宅に係る不動産取得税の課税標準の特例の適用はない。」

【正解:×

◆課税標準の特例は,既存住宅にも適用される

 不動産取得税は,個人が自己の居住の用に供する既存住宅(人の居住の用に供されたことがある住宅で政令で定めるものをいう。)を取得した場合にも,課税標準の特例は適用されます。(地方税法・73条の14第3項)

下記は,新築住宅と異なるので注意!!

 ・「法人」が既存住宅を取得した場合には適用されない。

 ・既存住宅を「賃貸住宅」にするつもりで取得しても特例は適用されない。

◆特例適用住宅 新築住宅・既存住宅・・・・別荘には適用されない

   課税標準  税率  税額
 新築住宅 貸家でもよい 法人にも適用

 ・床面積 50〜240平方メートル

  〔戸建以外の貸家 40〜240平方メートル〕

 1,200万円を

 控除

 ―  ―
 既存住宅 自己居住用のみ 法人不可

 ・居住部分の床面積 50〜240平方メートル

 ・経過年数の要件 20年〔構造により 25年〕

 経過年数により

 控除額は異なる

 ―   

 ―

平成17年の施行令の改正により,経過年数の要件は緩和され,<昭和57年1月1日以後に新築されたもの>,又は,<国土交通大臣が総務大臣と協議して定める地震に対する安全性に係る基準に適合することにつき総務省令で定めるところにより証明がされたもの>であれば適用されることになった。


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