宅建過去問 法令上の制限篇

農地法の過去問アーカイブス 平成22年・問22 


 農地法(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。(平成22年・問22)

1 農地を相続した場合、その相続人は、法第3条第1項の許可を受ける必要はないが、遅滞なく、農業委員会にその旨を届け出なければならない。

2 宅地に転用する目的で市街化区域外の農地を購入する場合は、農地の権利移動に係る法第3条第1項の許可のほか、農地転用に係る法第4条第1項の都道府県知事の許可を受ける必要がある。

3 会社の代表者が、その会社の業務に関し、法の規定に違反して転用行為をした場合は、その代表者が罰せられるのみならず、その会社も1億円以下の罰金刑が科せられる。

4 賃貸借の存続期間については、民法上は20年を超えることができないこととされているが、農地の賃貸借については、50年までの存続期間が認められる。

<コメント>  
 農地法では,改正点がどのくらい出るかと注目されていました。肢2を除いて, 3肢出題され,正答率がどうなるか関心を持たれています。  

 ただ,正解肢の肢2が誰が見ても明らかに誤りなので,改正を知らなくても, 消去法で正解肢を見つけることは可能でした。

 改正法については,下記のページをご参照ください。
 '2010法改正出題の展望  http://tokagekyo.7777.net/kaiseihou/10-1.html

●出題論点●
 (肢1) 農地又は採草放牧地についての権利取得の届出 (改正点)

 (肢2) 転用目的の農地取得−5条の許可

 (肢3) 両罰規定 (改正点)

 (肢4) 農地の賃貸借の存続期間 (改正点)

【正解】

×

 正答率  67.9%
1 農地を相続した場合、その相続人は、法第3条第1項の許可を受ける必要はないが、遅滞なく、農業委員会にその旨を届け出なければならない。

【正解:

◆農地又は採草放牧地についての権利取得の届出

 相続(遺産分割及び包括遺贈を含む。),法人の合併・分割,時効等で農地・採草放牧地に関する権利を取得した場合,3条の許可は不要ですが,改正により,権利取得後,遅滞なく,その農地又は採草放牧地の存する市町村の農業委員会にその旨を届け出なければなりません(農地法3条の3)

2 宅地に転用する目的で市街化区域外の農地を購入する場合は、農地の権利移動に係る法第3条第1項の許可のほか、農地転用に係る法第4条第1項の都道府県知事の許可を受ける必要がある。

【正解:×

◆転用目的の農地取得−5条の許可

 宅地に転用する目的で農地を購入するには,5条の許可を受けなければなりません(農地法5条1項)

 転用する目的で農地を購入するのに,<3条の許可を得て,さらにその後4条の許可を得る>というのは,農地法を学習していればオカシイと気づくはずです。

3 会社の代表者が、その会社の業務に関し、法の規定に違反して転用行為をした場合は、その代表者が罰せられるのみならず、その会社も1億円以下の罰金刑が科せられる。

【正解:

◆両罰規定

 法人の代表者,代理人,使用人その他の従業者が,その法人の業務又は財産に関し,4条1項,5条1項,原状回復命令等に違反した場合,行為者を罰するほか〔3年以下の懲役または300万円以下の罰金刑〕,その法人に対して,改正により両罰規定として1億円以下の罰金刑を科すことになりました(農地法67条1号)

 本肢の場合,行為者であるその会社の代表者には,3年以下の懲役または300万円以下の罰金刑が科せられ,その会社には,両罰規定として,1億円以下の罰金刑が科せられます。

4 賃貸借の存続期間については、民法上は20年を超えることができないこととされているが、農地の賃貸借については、50年までの存続期間が認められる。

【正解:

◆農地の賃貸借の存続期間

農地の賃貸借の存続期間  農地法では,民法の規定と異なり,農地の賃貸借の存続期間は,50年を超える ことができず,契約でこれより長い期間を定めたときであっても,その期間は, 50年となります(農地法19条,民法604条)。

民法では,賃貸借の存続期間は20年を超えることはできない。借地借家法や 農地法の規定は,民法の規定の特則である。


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