法令上の制限 実戦篇
農地法の過去問アーカイブス 平成元年・問27
農地法に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(平成元年・問27)改 |
1.「耕作の用途に供するため,農地又は採草放牧地について賃借権を設定する場合には,その土地が市街化区域内にあるか否かを問わず,原則として農地法第3条の許可が必要である。」 |
2.「国又は都道府県が農地又は採草放牧地の所有権を取得する場合には,農地法第3条の許可を受ける必要はない。」 |
3.「農地を農地以外のものにするため,農地について所有権を移転し,又は賃借権を設定する場合には,原則として都道府県知事の許可〔同一の事業の目的に供し,4ヘクタールをこえる農地である場合には,農林水産大臣の許可〕を受けなければならない。」改 |
4.「※市街化区域内にある農地又は採草放牧地について,農地及び採草放牧地以外のものにするため賃借権を設定しようとする場合には,原則として市町村長に届け出れば足り,農地法第5条の許可を受ける必要はない。」 |
※市街化区域 都市計画法第7条第1項の市街化区域と定められた区域で,同法第23条第1項の規定による協議が調ったものをいう。 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | ○ | ○ | × |
1.「耕作の用途に供するため,農地又は採草放牧地について賃借権を設定する場合には,その土地が市街化区域内にあるか否かを問わず,原則として農地法第3条の許可が必要である。」 |
【正解:○】昭和63年 ◆農地法3条の許可が必要なもの− 農地法3条の許可には市街化区域内の特例〔農業委員会への届出〕はないので,農地が市街化区域内にあるか否かを問わず,原則として農地法第3条の許可が必要です。 農地又は採草放牧地について,所有権の移転の場合だけでなく,地上権,永小作権,質権,使用貸借による権利又は賃借権を設定する場合にも,原則として農地法第3条の許可が必要です。〔転用目的の場合の権利の移転・設定は5条の許可。〕 農地 → 農地として賃借権を設定 〔3条の許可〕 採草放牧地 → 農地にするために賃借権を設定 〔3条の許可〕 農地 → 採草放牧地にするため賃借権を設定 〔5条の許可〕 ▼農地・採草放牧地の賃貸借は「引渡しをもって第三者への対抗要件とする」という規定(農地法18条1項)がありますが,これは≪第三者への対抗要件≫であり,農地の賃貸借契約の効力発生要件≪農地法の許可がないと契約の効力は発生しない。≫と混同してはいけません。 |
2.「国又は都道府県が農地又は採草放牧地の所有権を取得する場合には,農地法第3条の許可を受ける必要はない。」 |
【正解:○】類・昭和56年,58年,平成12年 ◆国や都道府県が耕作目的(営農目的)で,(転用をせずに)農地を取得する場合は農地法の許可は要らない 国や都道府県が農地・採草放牧地を取得する場合は,農地法3条の許可は不要です。(3条1項5号)。 ▼国・都道府県の以下の行為は許可は不要。
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●類題 |
1.「道路の用地とするため,県が農業振興地域内の農地を取得する場合,農地法第5条に基づく許可は受けなくてもよい。」(宅建・昭和56年問27肢3改) |
【正解:○】 |
2.「D県が農業用用排水路を作るため,水田30ヘクタールを買い入れる場合,農林水産大臣の許可を受けなければならない。」(宅建・昭和58年問27肢4改) |
【正解:×】もっともらしく数値が出ているが,このようなブラフにダマされてはいけない。 |
3.「農地を農地以外のものにするため,農地について所有権を移転し,又は賃借権を設定する場合には,原則として都道府県知事の許可〔同一の事業の目的に供し,4ヘクタールをこえる農地である場合には,農林水産大臣の許可〕を受けなければならない。」改 |
【正解:○】 ◆転用目的の権利の設定・移転 転用目的で農地に権利を設定・移転する場合は原則として都道府県知事〔4ha超のときは農林水産大臣〕の許可が必要です。(市街化区域内の農地の場合は,特例で,面積にかかわらず,農業委員会への届出でよい。) ▼素直な問題です。試験場では,こういう問題を疑心暗鬼で見がちなので,余り考え過ぎないようにしましょう。 |
●市街化区域外の農地・採草放牧地−許可(3条,4条,5条) | |
耕作目的で農地の権利の設定・移転
採草放牧地の権利の設定・移転〔農地転用を含む〕 |
農業委員会の許可 |
農地の自己転用 | 4ha超=農林水産大臣の許可
4ha以下=都道府県知事の許可 |
転用目的で農地・採草放牧地の権利の設定・移転 | 農地4ha超=農林水産大臣の許可 農地4ha以下=都道府県知事の許可 採草放牧地のみ=都道府県知事の許可 |
4.「※市街化区域内にある農地又は採草放牧地について,農地及び採草放牧地以外のものにするため賃借権を設定しようとする場合には,原則として市町村長に届け出れば足り,農地法第5条の許可を受ける必要はない。」 |
【正解:×】昭和59年,62年,平成元年,8年,11年,12年 ◆市街化区域内 : 転用目的で農地に賃借権を設定 転用目的で農地に権利を設定・移転する場合は原則として都道府県知事〔4ha超のときは農林水産大臣〕の許可が必要ですが,市街化区域内の農地の場合は,特例で,面積にかかわらず,農業委員会への届出でよいことになっています。 本肢は「市町村長に届出」となっているので×です。
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●類題 |
「Aは,B所有の市街化区域〔都市計画法第7条第1項により市街化区域と定められたもので農林水産大臣との協議が調ったものをいう。〕内の農地300平方メートルを自己の住宅の敷地とするために賃借しようとしている。AB間の賃貸借は,農業委員会にあらかじめ届け出れば,農地法に基づく許可がなくとも有効に成立する。」(昭和59年問27肢3) |
【正解:○】 |
●農地法の過去問Archives |
昭和60年,昭和61年,昭和62年,昭和63年,平成元年,平成2年,平成3年,平成4年,平成5年,平成6年,平成7年,平成8年,平成9年,平成10年,平成11年,平成12年, 平成13年,平成14年,平成15年,平成16年,平成17年,平成18年,平成19年,平成20年,平成21年, |