宅建過去問 法令上の制限
農地法の過去問アーカイブス 平成21年・問22
農地法 (以下この問において「法」という。) に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(平成21年・問22) |
1 土地区画整理法に基づく土地区画整理事業により道路を建設するために、農地を転用しようとする者は、法第4条第1項の許可を受けなければならない。 |
2 農業者が住宅の改築に必要な資金を銀行から借りるため、自己所有の農地に抵当権を設定する場合には、法第3条第1項の許可を受けなければならない。 |
3 市街化区域内において2ha (ヘクタール) の農地を住宅建設のために取得する者は、法第5条第1項の都道府県知事の許可を受けなければならない。 |
4 都道府県知事は、法第5条第1項の許可を要する農地取得について、その許可を受けずに農地の転用を行った者に対して、必要な限度において原状回復を命ずることができる。 |
<コメント> |
肢1は初出題ですが,そのほかは過去問にも出題歴があり,正誤を判定するのは易しい問題でした。 |
●出題論点● |
(肢1) 土地区画整理事業により道路,公園など公共施設を建設するために農地を自己転用しようとする場合,農地法4条の許可を受ける必要はない。
(肢2) 抵当権の設定には農地法の許可は不要。 (肢3) 市街化区域内で転用するために農地について権利取得する場合,あらかじめ農業委員会へ届出をすれば,5条の許可を受ける必要はない。 (肢4) 農林水産大臣や都道府県知事は,農地法5条の許可を受けずに,農地の転用を行った者に対して,原状回復を命ずることができる。 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | × | ○ |
正答率 | 77.9% |
1 土地区画整理法に基づく土地区画整理事業により道路を建設するために、農地を転用しようとする者は、法第4条第1項の許可を受けなければならない。 |
【正解:×】初出題 ◆土地区画整理事業により道路などの公共施設用地に転用する場合 土地区画整理法に基づく土地区画整理事業により道路,公園など公共施設を建設するために農地を自己転用しようとする場合,農地法4条の許可を受ける必要はありません。 これは,農林水産省令で定める農地の転用制限の例外とされているからです(農地法4条1項8号,施行規則32条5号)。 |
2 農業者が住宅の改築に必要な資金を銀行から借りるため、自己所有の農地に抵当権を設定する場合には、法第3条第1項の許可を受けなければならない。 |
【正解:×】昭和61年・問26・肢1,平成9年・問21・肢1, 平成17年・問25・肢4, ◆抵当権の設定には農地法の許可は要らない 質権の設定には農地法の許可が必要ですが(昭和61年,63年出題),抵当権の設定には農地法の許可は不要です。農地に質権を設定すれば農地を占有し使用収益する人が変わるのに対して,抵当権では使用収益する人は変わらないので,このような違いが生じます。 |
3 市街化区域内において2ha (ヘクタール) の農地を住宅建設のために取得する者は、法第5条第1項の都道府県知事の許可を受けなければならない。 |
【正解:×】平成16年・問24・肢1, 平成19年・問25・肢2, 平成20年・問24・肢4, ◆市街化区域内の特例−5条 市街化区域内には,<転用するために農地について権利取得する場合に,あらかじめ農業委員会へ届出をすれば,5条の許可を受ける必要はない>とする特例(農地法5条1項6号)があります。 農地の面積が何ヘクタールでもこのことに変わりはありません。 ▼市街化区域外での4条・5条の許可権者は,農地の面積が4ha以下のときは都道府県知事,4ha超のときは農林水産大臣です。 |
4 都道府県知事は、法第5条第1項の許可を要する農地取得について、その許可を受けずに農地の転用を行った者に対して、必要な限度において原状回復を命ずることができる。 |
【正解:○】平成14年・問23・肢4, ◆許可を受けない転用は4条,5条とも原状回復の命令 農地法第5条の許可を受けずに転用を行った場合,都道府県知事は,農地の面積に関係なく,その者に対して,工事中止命令や,相当の期間を定めて原状回復その他の違反を是正するために必要な措置をとるように命ずることができます。(51条1項1号,施行令39条) 農地法第4条の許可を受けずに転用を行った場合も同じです。→昭和60年出題 |
●農地法の過去問Archives |
昭和63年,平成元年,平成2年,平成3年,平成4年,平成5年,平成6年,平成7年, 平成8年,平成9年,平成10年,平成11年,平成12年,平成13年,平成14年,平成15年,平成16年,平成17年,平成18年,平成19年,平成20年,平成21年, |