税法その他 実戦篇

地価公示法の過去問アーカイブス 平成8年・問33


地価公示法に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成8年・問33)

1.「都市及びその周辺の地域において土地の取引を行う者は,取引の対象土地に類似する利用価値を有すると認められる標準地について公示された価格を規準として取引を行わなければならない。」

2.「標準地の正常な価格は,土地鑑定委員会が各標準地について2人以上の不動産鑑定士の鑑定評価を求め,その結果を審査し,必要な調整を行って判定される。」

3.「標準地の鑑定評価は,近傍類地の取引価格から算定される推定の価格,近傍類地の地代等から算定される推定の価格及び同等の効用を有する土地の造成に要する推定の費用の額の平均を求めることにより行われる。」

4.「標準地の正常な価格とは,当該土地に建物がある場合にはその建物が存しないものとして通常成立すると認められる価格をいうので,標準地の利用の現況は,官報で公示すべき事項に含まれていない。」

●地価公示法関連の条文のチェック
地価公示法
地価公示法・施行令
地価公示法・施行規則
地価公示法第二条第一項の都市計画区域を定める省令
標準地の鑑定評価の基準に関する省令

【正解】

× × ×

1.「都市及びその周辺の地域において土地の取引を行う者は,取引の対象土地に類似する利用価値を有すると認められる標準地について公示された価格を規準として取引を行わなければならない。」

【正解:×昭和52年,54年,平成元年,4年,8年,14年

◆公示価格は,土地の取引での指標

 都市及びその周辺の地域等において,土地の取引を行なう者は,取引の対象土地に類似する利用価値を有すると認められる標準地について公示された価格を指標として取引を行なうよう努めなければなりません(1条の2)

 本肢では,「公示された価格を規準として取引を行わなければならない。」としているので,×です。「指標」と「規準」では強制力が異なりますし,条文では『公示された価格を指標として取引を行なうよう努めなければならない』となっていて努力義務になっています。

●都市及びその周辺の地域等において
土地の取引を行なう者 取引の対象土地に類似する利用価値を有すると
認められる標準地について公示された価格

指標として取引を行なうよう努めなければならない(1条の2)

●公示区域内の土地
不動産鑑定士が鑑定評価  公示価格を規準(8条)
 土地収用法等によつて土地を収用することが
できる事業を行なう者が,
当該事業の用に供するため取得する場合に,
当該土地の取得価格を定めるとき
 公示価格を規準(9条)
収用する土地等に対する補償金の額の算定の際に
事業の認定の告示の時における相当な価格
算定するとき
公示価格を規準として算定した
当該土地の価格を
考慮しなければならない(10条)

2.「標準地の正常な価格は,土地鑑定委員会が各標準地について2人以上の不動産鑑定士の鑑定評価を求め,その結果を審査し,必要な調整を行って判定される。」

【正解:昭和57年,60年,62年,平成8年,14年

◆土地鑑定員会の標準地の価格の判定

 土地鑑定委員会は,都市計画区域その他のの土地取引が相当程度見込まれるものとして国土交通省令で定める公示区域国土利用計画法の規定により指定された規制区域を除く。)内の標準地について,毎年1回,国土交通省令で定めるところにより,二人以上の不動産鑑定士の鑑定評価を求め,その結果を審査し,必要な調整を行って,一定の基準日における当該標準地の単位面積当たりの正常な価格を判定し,公示します。(2条1項)

3.「標準地の鑑定評価は,近傍類地の取引価格から算定される推定の価格,近傍類地の地代等から算定される推定の価格及び同等の効用を有する土地の造成に要する推定の費用の額の平均を求めることにより行われる。」

【正解:×平成2年,3年,8年,12年,14年

◆標準地についての鑑定評価基準

 不動産鑑定士は,標準地の鑑定評価を行うに当たっては,

近傍類地の取引価格から算定される推定の価格
近傍類地の地代等から算定される推定の価格
同等の効用を有する土地の造成に要する推定の費用の額

 を勘案して,行わなければなりません。(4条,標準地の鑑定評価の基準に関する省令4条)

 本肢は「費用の額の平均を求めることにより行われる」とあるので×です。

4.「標準地の正常な価格とは,当該土地に建物がある場合にはその建物が存しないものとして通常成立すると認められる価格をいうので,標準地の利用の現況は,官報で公示すべき事項に含まれていない。」

【正解:×官報 : 昭和58年,建物 : 昭和57年,61年,62年,平成2年,6年,8年

◆官報で公示すべき事項

 公示価格とは,標準地に建物その他の定着物がある場合にはその定着物が存しないものとして,自由な取引が行われるとした場合におけるその取引において通常成立すると認められる当該標準地の正常な価格です。(2条2項)

建物その他の定着物がある場合 定着物が存しないものとして
通常成立すると認められる価格
地上権その他当該土地の使用・収益を
制限する権利が存する場合
権利が存しないものとして
通常成立すると認められる価格

 しかし,「標準地及びその周辺の利用の現況」は,官報で公示すべき事項に含まれているので×です。⇒ 出題昭和58年

●官報で公示すべき事項
・標準地の所在の郡、市、区、町村及び字並びに地番

・標準地の単位面積当たりの価格及び価格判定の基準日

・標準地の地積及び形状

標準地及びその周辺土地の利用の現況

・その他国土交通省令で定める事項

 ≪国土交通省令で定める事項≫

 ・住居表示
 ・前面道路の状況
 ・水道、ガス供給施設及び下水道の整備の状況
 ・標準地の鉄道その他の主要な交通施設との接近の状況
 ・標準地に係る法令に基づく制限で主要なもの
 ・標準地についての土地の客観的価値に作用する諸要因に関する事項で
  土地鑑定委員会が必要と認めるもの


●地価公示法の過去問アーカイブス 〜検索用〜
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