税法その他 実戦篇

地価公示法の過去問アーカイブス 昭和63年・問34


地価公示法に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。 (昭和63年・問34)

1.「公示価格は,宅地の価額が同一と認められる一連の宅地が面している路線ごとの単位面積当たりの価格で公示される。」

2.「標準地は,土地鑑定委員会が,自然的及び社会的条件からみて類似の利用価値を有すると認められる地域において,土地の利用状況,環境等が通常と認められる一団の土地について,選定する。」

3.「不動産鑑定士は,公示区域内の土地について鑑定評価を行う場合において,当該土地の正常な価格を求めるときは,公示価格を規準としなければならない。」

4.「土地鑑定委員会は,標準地の価格等の公示をしたときは,すみやかに関係市町村長に関係図書を送付し,関係市町村長は,一般の閲覧に供しなければならない。」

【正解】

×

1.「公示価格は,宅地の価額が同一と認められる一連の宅地が面している路線ごとの単位面積当たりの価格で公示される。」

【正解:×

◆公示価格

 公示価格とは,土地鑑定委員会が,2人以上の不動産鑑定士の鑑定評価を求め,その結果を審査し,必要な調整を行って,一定の基準日における当該標準地の単位面積当たりの正常な価格を判定し,公示するものです。(2条1項)

 <路線ごとの単位面積当たりの価格>は,国税庁が発表する路線価です。

路線価

 市街地等の道路〔=路線〕に面した土地1平方メートル当たりの評価額。相続,遺贈又は贈与により取得した財産に係る相続税及び贈与税の算定基準となる。公示地価の約8割を目安に算出して国税庁が毎年8月頃に公表する。⇒路線価路線価一覧

 通常の市街地や住宅地の評価は,通常,路線価方式で行われる。

●地価公示法・2条1項
(標準地の価格の判定等)
第2条  土地鑑定委員会は、都市計画法 (昭和43年法律第100号)第4条第2項 に規定する都市計画区域その他の土地取引が相当程度見込まれるものとして国土交通省令で定める区域〔国土利用計画法 (昭和49年法律第92号)第12条第1項 の規定により指定された規制区域を除く。以下「公示区域」という。〕内の標準地について、毎年1回、国土交通省令で定めるところにより、二人以上の不動産鑑定士の鑑定評価を求め、その結果を審査し、必要な調整を行つて、一定の基準日における当該標準地の単位面積当たりの正常な価格を判定し、これを公示するものとする。

◆施行規則・1条
(標準地の価格判定の基準日)
第1条
 地価公示法 (以下「法」という。)第2条第1項 の標準地の価格判定の基準日は、一月一日とする。

2.「標準地は,土地鑑定委員会が,自然的及び社会的条件からみて類似の利用価値を有すると認められる地域において,土地の利用状況,環境等が通常と認められる一団の土地について,選定する。」

【正解:昭和57年,62年,63年,平成元年,3年,6年,12年

◆標準地の選定

 標準地は,国土交通省令で定めるところにより,土地鑑定委員会が選定します

 土地鑑定員会は,自然的及び社会的条件からみて類似の利用価値を有すると認められる地域において,土地の利用状況環境等が通常と認められる一団の土地について標準地を選定します。 (3条)

3.「不動産鑑定士は,公示区域内の土地について鑑定評価を行う場合において,当該土地の正常な価格を求めるときは,公示価格を規準としなければならない。」

【正解:昭和57年,62年,63年,平成15年

◆不動産鑑定士等の土地についての鑑定評価の準則

 不動産鑑定士は,公示区域内の土地について鑑定評価を行い,当該土地の正常な価格を求めるときは,公示された標準地の価格〔公示価格。本肢では公示地価といっている。〕を規準としなければいけません。(地価公示法・8条)

●公示区域内の土地
不動産鑑定士が鑑定評価  公示価格を規準(8条)
 土地収用法等によつて土地を収用することが
できる事業を行なう者が,
当該事業の用に供するため取得する場合に,
当該土地の取得価格を定めるとき
 公示価格を規準(9条)
収用する土地等に対する補償金の額の算定の際に
事業の認定の告示の時における相当な価格
算定するとき
公示価格を規準として算定した
当該土地の価格を
考慮しなければならない(10条)

●都市及びその周辺の地域等において
土地の取引を行なう者 取引の対象土地に類似する利用価値を有すると
認められる標準地について公示された価格

指標として取引を行なうよう努めなければならない(1条の2)

4.「土地鑑定委員会は,標準地の価格等の公示をしたときは,すみやかに関係市町村長に関係図書を送付し,関係市町村長は,一般の閲覧に供しなければならない。」

【正解:昭和60年,63年,平成3年,6年,12年

◆関係市町村・東京都の特別区・指定都市の区に送付

 土地鑑定委員会は,標準地の単位面積当たりの正常な価格を判定したときは,すみやかに,官報で公示するとともに(6条),すみやかに,関係市町村(都の特別区の存する区域にあつては特別区、地方自治法の指定都市にあっては当該市の区。)の長に対して,公示した事項のうち当該市町村・特別区・指定都市の区が属する都道府県に存する標準地に係る部分を記載した書面及び当該標準地の所在を表示する図面を送付しなければいけません。(7条1項)

土地鑑定委員会から送付される書面・図面は,当該市町村・特別区・指定都市の区の標準地に係るものだけではなく当該市町村・特別区・指定都市の区が属する都道府県に存する標準地に係るものであることに注意してください。

関係市区町村の長は,政令で定めるところにより,土地鑑定委員会から送付された図書を当該市区町村の事務所において一般の閲覧に供しなければならないことになっています。(7条2項)


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