法令上の制限 実戦篇

都市計画法の過去問アーカイブス 昭和53年・改 都市計画の決定手続


都市計画法に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(昭和53年・改)

1.「都市計画の案の作成については,必要があるときは公聴会等住民の意見を反映させるために必要な措置がとられ,案については公衆の縦覧に供せられるとともに,住民等は意見書の提出の機会等を与えられる。」

2.「都道府県は,関係市町村の意見を聴き,都道府県都市計画審議会の議を経て,一定の場合には,国土交通大臣に協議してその同意を得て,都市計画を決定する

3.「市町村は,都市計画を決定しようとするときは,一定の場合には,あらかじめ,都道府県知事に協議しなければならないが,都道府県知事は,一の市町村の区域を超える広域の見地からの調整を図る観点又は都道府県が定め,もしくは定めようとする都市計画との適合を図る観点から,市町村と協議を行う。」

4.「市町村が定めた都市計画が,都道府県が定めた都市計画と抵触するときは,市町村の利害に重大な関係のある限りにおいて,市町村が定めた都市計画が優先する。」

【正解】

×

1.「都市計画の案の作成については,必要があるときは公聴会等住民の意見を反映させるために必要な措置がとられ,案については公衆の縦覧に供せられるとともに,住民等は意見書の提出の機会等を与えられる。」

【正解:

◆都市計画の案−公聴会→公衆の縦覧→意見書の提出→意見書の要旨の提出

 都市計画の案の作成については,以下のような手続が定められています。(15条の2,16条1項,17条1項・2項,18条2項,19条2項)

●都市計画の案
 市町村は,必要があると認めるときは,都道府県が定める都市計画の案の内容となるべき事項を都道府県に申し出ることができる。

 都道府県は,関係市町村に対し,資料の提出その他の必要な協力を求めることができる。

 (必要があるとき) 公聴会等の住民の意見を反映させるために必要な措置
      ↓
 都市計画の案の作成,都市計画を決定しようとする旨の公告
 都市計画の案を公衆の縦覧に供する
      ↓
 縦覧の満了の日までに,
 関係市町村の住民・利害関係人は意見書の提出
      ↓
 都道府県は,都市計画の案を付議するときに,意見書の要旨を都道府県都市計画審議会に提出する。
 (市町村は,意見書の要旨を市町村都市計画審議会(置かれていないときは都道府県都市計画審議会)に提出する。)

2.「都道府県は,関係市町村の意見を聴き,都道府県都市計画審議会の議を経て,一定の場合には,国土交通大臣に協議してその同意を得て,都市計画を決定する

【正解:

◆都道府県が都市計画を決定しようとするときの国土交通大臣との協議とその同意

●都道府県の都市計画の決定(18条)

関係市町村の意見を聴く。(→市町村の都市計画の決定にはないので注意。)

都道府県都市計画審議会の議を経る。

・国の利害に重大な関係がある政令で定める都市計画の決定をしようとするときは,あらかじめ,国土交通大臣に協議し,その同意を得る。

 国土交通大臣は,国の利害との調整を図る観点から,都道府県と協議を行う。(18条4項)

3.「市町村は,都市計画を決定しようとするときは,一定の場合には,あらかじめ,都道府県知事に協議しなければならないが,都道府県知事は,一の市町村の区域を超える広域の見地からの調整を図る観点又は都道府県が定め,もしくは定めようとする都市計画との適合を図る観点から,市町村と協議を行う。」

【正解:

◆市町村が都市計画を決定しようとするときの都道府県知事との協議とその同意

●市町村の都市計画の決定(19条)

・市町村都市計画審議会〔置かれていないときは都道府県都市計画審議会の議を経る。

・市は,都市計画区域について都市計画〔区域外都市施設を含み,地区計画等にあっては当該都市計画に定めようとする事項のうち政令で定める地区施設の配置及び規模その他の事項に限る。〕を決定しようとするときは,あらかじめ,都道府県知事〔2以上の都府県の区域にわたる都市計画区域の場合は,国土交通大臣〕協議しなければならない。」(19条3項,22条1項)

・町村は,都市計画区域について都市計画〔区域外都市施設を含み,地区計画等にあっては当該都市計画に定めようとする事項のうち政令で定める地区施設の配置及び規模その他の事項に限る。〕を決定しようとするときは,あらかじめ,都道府県知事〔2以上の都府県の区域にわたる都市計画区域の場合は,国土交通大臣〕協議し,その同意を得なければならない。」(19条3項,22条1項)

 都道府県知事は,一の市町村の区域を超える広域の見地からの調整を図る観点又は都道府県が定め,もしくは定めようとする都市計画との適合を図る観点から,市町村と協議を行う。(19条4項)

4.「市町村が定めた都市計画が,都道府県が定めた都市計画と抵触するときは,市町村の利害に重大な関係のある限りにおいて,市町村が定めた都市計画が優先する。」

【正解:×

◆市町村の定めた都市計画が都道府県の定めた都市計画と抵触するとき

 市町村が定めた都市計画が,都道府県が定めた都市計画と抵触するときは,その限りにおいて,都道府県が定めた都市計画が優先します。(15条4項)

 したがって,本肢は誤りの記述です。


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