法令上の制限 実戦篇

都市計画法の過去問アーカイブス 昭和55年・問17 開発許可


都市計画法に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(昭和55年・問17)

1.「区域区分が定められていない都市計画区域で行う開発行為については,規模の如何にかかわらず,都道府県知事〔地方自治法の指定都市等にあっては,それぞれの指定都市等の長。〕の許可〔以下,「開発許可」という。〕を要さない。」

2.「市街化区域内において行う開発行為については,規模の如何にかかわらず,開発許可を受けなければならない。」

3.「市街化調整区域内において行う開発行為のうち,農林業を営む者の居住の用に供する建築物の建築のためのものについては,都道府県知事の許可を受けることを要しない。」

4.「土地区画整理事業の施行として行われる開発行為については,市街化調整区域で行われるものに限り,開発許可を受けなければならない。」

【正解】

× × ×

1.「区域区分が定められていない都市計画区域で行う開発行為については,規模の如何にかかわらず,都道府県知事〔地方自治法の指定都市等にあっては,それぞれの指定都市等の長。〕の許可〔以下,「開発許可」という。〕を要さない。」

【正解:×昭和55年問17,57年問18,58年問19,60年問18,

◆非線引き都市計画区域

 区域区分が定められていない都市計画区域で行う開発行為は,3,000平方メートル以上の場合は,原則として開発許可が必要です。本肢は,<規模の如何にかかわらず,都道府県知事の開発許可を要さない>としているので誤りです。(都市計画法・29条1項1号,施行令19条1項)

 区域  開発許可の必要な規模
 市街化区域  1,000平方メートル以上は開発許可が必要。

 〔ただし,都道府県知事〔指定都市等の長〕は,
 市街化の状況により,無秩序な市街化を防止する
 ため,特に必要があると認める場合は,
 都道府県の規則〔指定都市等の規則〕で,
 300平方メートル以上1,000平方メートル未満で,
 開発許可の必要な規模を別に定めることができる。〕

都の特別区・市町村の全部又は一部が
 三大都市圏の近郊整備地帯(首都圏),
 近郊整備区域(近畿圏),都市整備区域(中部圏)
 の区域内にあるときは,
 300平方メートル以上500平方メートル未満で,
 開発許可の必要な規模を別に定めることができる。

 市街化調整区域  規模によらず,原則として,開発許可が必要。
 区域区分の定められていない
 都市計画区域
 3,000平方メートル以上は開発許可が必要。

 〔ただし,都道府県知事〔指定都市等の長〕は,
 市街化の状況等により,
 特に必要があると認める場合は,
 都道府県の規則〔指定都市等の規則〕で,
 300平方メートル以上3,000平方メートル未満で,
 開発許可の必要な規模を別に定めることができる。〕

 準都市計画区域
 都市計画区域及び
 準都市計画区域外の区域
 10,000平方メートル(1 ha)以上は開発許可が必要。

2.「市街化区域内において行う開発行為については,規模の如何にかかわらず,開発許可を受けなければならない。」

【正解:×

◆市街化区域

 市街化区域内において行う開発行為は,1,000平方メートル以上の場合,原則として開発許可が必要です。本肢は,<規模の如何にかかわらず,開発許可を受けなければならない>としているので誤りです。(都市計画法・29条1項1号,施行令19条1項)

3.「市街化調整区域内において行う開発行為のうち,農林業を営む者の居住の用に供する建築物の建築のためのものについては,都道府県知事の許可を受けることを要しない。」

【正解:

◆農林漁業を営む者の居住の用に供する建築物のための開発行為

 農林業を営む者の居住の用に供する建築物,農業・林業・漁業の用に供する政令で定める建築物〔生産・集荷の用,生産資材の貯蔵・保管〕の建築のための開発行為は,市街化調整区域非線引き都市計画区域準都市計画区域両区域外(都市計画区域及び準都市計画区域外)の区域では,開発許可は不要です。(都市計画法・29条1項2号,2項1号の政令で定める建築物,施行令20条)

●出題歴
〔居住の用〕 昭和55年・問17,62年・問19,63年・問19,平成4年・問20,
6年・問19,9年・問18(市街化区域),10年・問18,
11年・問18(非線引き区域),13年・問18(区域指定ナシ),
14年・問19(市街化区域)
〔生産・集荷の用〕 昭和55年・問18〔温室〕,56年・問18〔温室〕(市街化区域),
平成5年・問18〔畜舎〕(市街化区域)14年・問19,
   農産物生産・集荷の用・
生産資材貯蔵又は保管
農業を営む者の居住の用
に供する建築物

農産物処理・貯蔵・加工
に供する建築物

市街化区域             規模により許可必要
            (1,000 平方メートル以上)
市街化調整区域       常に不要 規模に関係なく許可必要
(市街化調整区域の許可要件)
非線引き都市計画区域 規模により許可必要
(3,000 平方メートル以上)
準都市計画区域 規模により許可必要
(3,000 平方メートル以上)
都市計画区域及び
準都市計画区域外
規模により許可必要
(10,000 平方メートル以上)

註 「生産資材貯蔵又は保管」の用に供するものとしては,
  サイロ・堆肥舎・農機具等の収納施設など。

4.「土地区画整理事業の施行として行われる開発行為については,市街化調整区域で行われるものに限り,開発許可を受けなければならない。」

【正解:×

◆土地区画整理事業の施行として行われる開発行為は許可不要

 (都市計画区域内で行われる)土地区画整理事業の施行として行われる開発行為は,市街化区域・市街化調整区域・非線引き都市計画区域の区域や規模を問わず,開発許可は不要です。(都市計画法・29条1項5号)

 都市計画区域内で開発許可不要のもの 両区域外の扱い
 都市計画事業の施行として行う開発行為
(都市計画区域及び準都市計画区域)
開発許可不要
 土地区画整理事業の施行として行う開発行為  −
 市街地再開発事業の施行として行う開発行為  −
 住宅街区整備事業の施行として行う開発行為  −
 防災街区整備事業の施行として行う開発行為  −

平成15年の都市計画法改正により,開発許可不要なものとして防災街区整備事業の施行として行われる開発行為が追加されたので注意したい。(都市計画法・29条1項8号)

●都市計画事業等の開発許可不要な開発行為
都市計画事業 平成14年・問19,
土地区画整理事業 昭和55年・問17,62年・問19,平成7年・問20,10年・問18,
【関連問題】平成13年・問18,
市街地再開発事業 平成15・問18,
●類題
「土地区画整理法に基づく土地区画整理事業の施行として行う開発行為は,都道府県知事〔地方自治法の指定都市等にあっては,それぞれの指定都市等の長。〕の許可を受けなければ,これを行うことはできない。」(昭和53年)

【正解:×


●都市計画法の昭和の過去問Archives
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