法令上の制限 実戦篇

都市計画法の過去問アーカイブス 昭和63年・問20 用途地域・区域区分・都市施設


都市計画法に規定する用途地域に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(昭和63年・問20)

1.「住居系の用途地域については,都市施設のうち少なくとも道路,公園,下水道及び義務教育施設を定める。」

2.「第二種住居地域は,住居の環境を保護するため定める地域である。」

3.「工業専用地域は,主として工業の利便を増進するため定める地域である。」

4.「市街化区域については,少なくとも用途地域を定めるものとされているが,市街化調整区域では,用途地域を定めることはできない。」

【正解】

× × ×

1.「住居系の用途地域については,都市施設のうち少なくとも道路,公園,下水道及び義務教育施設を定める。」

【正解:昭和55年問19,63年問20,平成4年問18,

◆住居系用途地域での都市施設

 『市街化区域』及び『区域区分の定められていない都市計画区域』〔非線引き都市計画区域〕には,少なくとも,道路・公園・下水道を定め,住居系の全て7用途地域には義務教育施設をも定めることになっています。(13条1項11号後段)

 市街化区域  少なくとも,道路・公園・下水道を定める
 非線引き都市計画区域
 上記のうち,住居系用途地域  道路・公園・下水道義務教育施設
●区域区分と都市施設の関係−都市計画法運用指針〔国土交通省〕
  区域区分と都市施設の関係については、以下の考え方によることが望ましい。

(市街化区域)

 市街化区域においては、少なくとも道路、公園、下水道を定めるべきである。道路については自動車専用道路及び幹線街路(交通広場を含む。)、公園については運動公園、総合公園、地区公園、近隣公園及び街区公園、下水道については排水区域、処理場、ポンプ場及び主要な管渠を定めることとし、必要に応じその他の小規模なものを定めることが望ましい。

(市街化調整区域)

 市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域であるので、市街化を促進する都市施設については、これを定めるべきではない。ただし、地域間道路、市街化区域と他の市街化区域とを連絡する道路等や、公園、緑地等の公共空地、河川、処理施設等で市街化を促進するおそれがないと認められるものは定めることができる。また下水道についてはそれ自体では市街化を促進するおそれが少ないものであるので現に集落があり生活環境を保全する必要がある場合等については最小限の排水区域を定めることができる。

(非線引き都市計画区域における都市施設の整備)

 非線引き都市計画区域にあっては、用途地域が定められている地域においてはその目標とする市街地像の実現のために必要な都市施設を定めるべきであり、用途地域が定められていない地域においては当該地域の市街化の促進につながるような都市施設を都市計画に定めることは望ましくない。

2.「第二種住居地域は,住居の環境を保護するため定める地域である。」

【正解:×

◆第一種・第二種住居地域

 本肢の内容は第一種住居地域のもので,誤りです。第一種住居地域と第二種住居地域の違いは,第二種住居地域には<主として>がついていることです。(9条5項,6項)

 第一種低層住居専用地域  低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため
 定める地域
 第二種低層住居専用地域  主として
 低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するため
 定める地域
 第一種中高層住居専用地域  中高層住宅に係る良好な作用の環境を保護するため
 定める地域
 第二種中高層住居専用地域  主として
 中高層住宅に係る良好な作用の環境を保護するため
 定める地域
 第一種住居地域  住居の環境を保護するため定める地域
 第二種住居地域  主として
 住居の環境を保護するため定める地域
 準住居地域  道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の
 利便の増進を図りつつ,これと
 調和した住居の環境を保護するため定める地域

3.「工業専用地域は,主として工業の利便を増進するため定める地域である。」

【正解:×昭和61年問21,昭和63年問20,

◆工業系の用途地域

 肢2は常識的にマチガイだとわかりますが,肢3はふだんから意識していないとウッカリ○としてしまうかも知れませんね。(9条10項,12項)

準工業地域 主として
環境の悪化をもたらすおそれのない工業の
利便を増進するため定める地域
工業地域 主として
工業の利便を増進するため定める地域
工業専用地域 工業の利便を増進するため定める地域

4.「市街化区域については,少なくとも用途地域を定めるものとされているが,市街化調整区域では,用途地域を定めることはできない。」

【正解:×昭和60年問17,昭和63年問20,

◆用途地域と区域区分

 市街化区域  地域地区のうち少なくとも用途地域を定める(13条1項7号)
 市街化調整区域  原則として定めないが,定めることもできる。(13条1項7号)

用途地域が定められている土地の区域

 用途地域は,区域区分が定められていない都市計画区域,準都市計画区域でも,市町村が都市計画に定めることができます。(8条2項,15条1項5号,施行令9条1項1号)

●用途地域の都市計画で定めるもの
 すべての用途地域では(建築基準法で用途地域ごとに決められている範囲内〔複数の候補のうち〕のどれを指定するのか)容積率を必ず都市計画で定める。(各地域とも,建築物の敷地面積の最低限度は必要ならば定める。)

 建ぺい率商業地域を除く用途地域の各地域で都市計画で定める。〔建築基準法で用途地域ごとに決められている範囲内〔複数の候補のうち〕のどれを指定するのかを都市計画で定める。〕

 ⇒ 「商業地域を除く」というのは,商業地域で建ぺい率の指定が都市計画にはないということではないので注意。都市計画で決められている商業地域の建ぺい率は日本全国どこでも8/10です。商業地域の建ぺい率は8/10と建築基準法で定められているので,商業地域の建ぺい率は都市計画では8/10以外の数値を定めることはできないということです。)

第一種・第二種低層住居専用地域 容積率建ぺい率

高さの限度

(必要ならば)外壁後退距離の限度

(必要ならば)敷地面積の最低限度

低層住居専用地域,商業地域を除く地域 容積率建ぺい率

(必要ならば)敷地面積の最低限度

商業地域 容積率

(必要ならば)敷地面積の最低限度


●都市計画法の平成の過去問Archives
昭和63年問18昭和63年問19,昭和63年問20,平成元年問18平成元年問19平成元年問21平成2年問19平成2年問20平成3年問18平成3年問19平成3年問20平成4年問18平成4年問19平成4年問20平成5年問18平成5年問19平成5年問20平成6年問17平成6年問19平成6年問20平成7年問18平成7年問19平成7年問20平成8年問19平成8年問20平成8年問21平成9年問17平成9年問18平成9年問19平成10年問17平成10年問18平成10年問19平成11年問17平成11年問18平成11年問19平成12年問18平成12年問19平成12年問20平成13年問17平成13年問18平成13年問19平成14年問17平成14年問18平成14年問19平成15年問17平成15年問18平成15年問19平成16年問17平成16年問18平成16年問19
●都市計画法の昭和の過去問Archives
昭和55年問17昭和55年問18昭和55年問19昭和56年問18昭和56年問19昭和56年問20昭和57年問18昭和57年問19昭和57年問20昭和58年問18昭和58年問19昭和58年問20昭和59年問18昭和59年問19昭和59年問20昭和60年問17昭和60年問18昭和60年問19昭和61年問17昭和61年問20昭和61年問21昭和62年問17昭和62年問19昭和62年問20昭和63年問18昭和63年問19,昭和63年問20,

過去問アーカイブス・法令制限に戻る 都市計画法の過去問アーカイブスのトップに戻る

宅建1000本ノック・都市計画法/概要に戻る

宅建1000本ノック・法令上の制限に戻る