法令上の制限 実戦篇

都市計画法の過去問アーカイブス 平成8年・問21 開発許可の手続


都市計画法に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。なお,この問における都道府県知事とは,地方自治法に基づく指定都市又は中核市にあっては,指定都市又は中核市又は特例市の長をいうものとする。 (平成8年・問19)

1.「市街化調整区域 (開発許可を受けた開発区域を除く。) 内においては,一定の建築物の新築については,それが土地の区画形質の変更を伴わない場合であっても,都道府県知事の許可を受けなければならない。」

2.「開発許可を受けようとする者が都道府県知事に提出しなければならない申請書には,開発行為に関する設計,工事施行者等を記載しなければならない。」

3.「開発許可を受けた者は,開発行為に関する工事を廃止した場合は,遅滞なく,その旨を都道府県知事に届け出なければならない。」

4.「開発許可を受けた開発区域内の土地については,工事完了の公告があるまでの間は,都道府県知事の許可を受けなければ分譲することができない。」

【正解】

×

1.「市街化調整区域 (開発許可を受けた開発区域を除く。) 内においては,一定の建築物の新築については,それが土地の区画形質の変更を伴わない場合であっても,都道府県知事の許可を受けなければならない。」

【正解:昭和58年・問19,60年・問19,61年・問17,62年・問20,63年・問19,平成元年・問18,4年・問20,5年・問20,8年・問21,15年・問19

◆開発区域以外の区域での建築制限

 <市街化調整区域 (開発許可を受けた開発区域を除く。) 内,土地の区画形質の変更を伴わない場合であっても>という問題文から≪開発区域以外の区域≫であることに気がつかないといけません。このように文章から何を出題しているのか読み取れないと解けない問題もあるので注意してください。

 市街化調整区域では,開発行為を伴う場合は開発許可,開発行為を伴わない場合も建築許可を必要として,都道府県知事〔指定都市等の長〕の許可なく建築物の建築や用途変更ができないようになっています。無秩序な市街化を防止するためです。

 市街化調整区域のうち開発許可を受けた区域以外の区域内においては,都道府県知事の許可を受けなければ,建築物の新築,改築,用途変更第一種特定工作物の新設をすることができません(43条1項)

第二種特定工作物の新設には,市街化調整区域内の開発許可を受けた開発区域以外の区域内であっても,都道府県知事の許可は不要です。

農林漁業の用に供する政令で定める建築物〔農林漁業の生産・集荷,生産資材の貯蔵・保管などの用に供するもの〕又はその業務を行う者の居住の用に供する建築物の新築,改築,これらへの用途変更 (昭和60年,平成16年)

公益上必要な建築物の新築,改築,これらへの用途変更 (昭和60年,62年,平成元年)
 〔駅舎等の鉄道施設,図書館,博物館,公民館,変電所その他政令で定めるもの〕

都市計画事業の施行として行う建築物の新築,改築,用途変更,第一種特定工作物の新設(昭和62年,平成15年)

・政令で定める開発行為(都市計画事業,土地区画整理事業,市街地再開発事業,住宅街区整備事業として行われる開発行為)が行われた土地の区域内において行う建築物の建築,改築,用途変更,第一種特定工作物の新設(平成5年)

非常災害のため必要な応急措置として行う建築物の新築,改築,用途変更,第一種特定工作物の新設(平成元年,平成4年)

仮設建築物の新築 (昭和60年)

通常の管理行為,軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの

〔注意〕・国,都道府県,指定都市等の地方公共団体が行う建築物の新築,改築,用途変更,第一種特定工作物の新設 も,原則として建築許可が必要ですが,国の機関,都道府県等と知事との協議が成立することをもって,建築許可があったものとみなされます。(都市計画法43条3項)

2.「開発許可を受けようとする者が都道府県知事に提出しなければならない申請書には,開発行為に関する設計,工事施行者等を記載しなければならない。」

【正解:平成2年・問20,7年・問20,平成8年・問21,13年問19

◆申請書の記載事項

 「開発行為に関する設計」,「工事施行者」とも申請書の記載事項です。また,開発許可を受けた者が申請書に記載した事項に変更があるときは,軽微なものなど一定の場合を除き,改めて都道府県知事〔指定都市等の長〕の許可を受けなければいけません。(35条の2第1項) 

●申請書の記載事項 (30条1項)
・開発区域〔工区〕の位置,区域,規模(平成10年・問19)
・予定される建築物・特定工作物の用途(平成2年・問20,7年・問20,9年・問19,13年問19)
・開発行為に関する設計(平成8年・問21)
・工事施行者(平成8年・問21)
・その他国土交通省令で定める事項

〔関連問題〕変更の許可 平成9年・問19,10年・問19,

3.「開発許可を受けた者は,開発行為に関する工事を廃止した場合は,遅滞なく,その旨を都道府県知事に届け出なければならない。」

【正解:昭和63年・問18,平成4年・問19,8年・問21,16年・問18,

◆開発行為の廃止の届出 

 開発許可を受けた者は,開発行為に関する工事を取りやめたときは(開発行為の廃止),遅滞なく,国土交通省令の定めるところにより,その旨を都道府県知事に届け出なければなりません。(38条)

 また,都道府県知事は,廃止の届出があったときは,遅滞なく,開発許可により調製した開発登録簿を閉鎖しなければなりません。(施行規則37条)

●開発許可手続で届出が必要なもの
国土交通省令で定める軽微な変更→許可申請のときの記載事項を変更しようとするときは,あらかじめ都道府県知事の許可を受けなければいけません(平成9年・問19出題)が,軽微な変更の場合は,変更後に遅滞なく届け出ればよいことになっています。(35条の2第1項)

工事の廃止(38条)

工事の完了(36条第1項)

4.「開発許可を受けた開発区域内の土地については,工事完了の公告があるまでの間は,都道府県知事の許可を受けなければ分譲することができない。」

【正解:×昭和57年・問18,58年・問18,59年・問18-19,平成元年・問21,4年・問19,7年・問19,8年・問21,11年・問18,13年・問19,15年・問19

◆工事完了公告前の建築制限

 開発許可を受けた開発区域内の土地においては,工事完了公告があるまでは,原則として,建築物を建築し,又は特定工作物を建設してはならないことになっています。(都市計画法37条)しかし,分譲することは禁止されていません。

●工事完了公告までの間でも建築・建設できる場合
・当該開発行為に関する工事用の仮設建築物・特定工作物の建築・建設(平成15年)

・都道府県知事〔指定都市等の区域では当該指定都市等の長〕が支障ないと認めたとき(平成7年,15年)

開発行為に同意していない者が,その権利行使として建築物を建築又は特定工作物を建設(平成11年)


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