法令上の制限 実戦篇

都市計画法の過去問アーカイブス 平成16年・問18 


都市計画法の開発許可に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。なお,この問における都道府県知事とは,地方自治法に基づく指定都市,中核市,特例市にあってはその長をいうものとする。(平成16年・問18)

1.「都道府県知事は,開発許可の申請があったときは,申請があったとき日から21日以内に,許可又は不許可の処分をしなければならない。」

2.「開発行為とは,主として建築物の建築の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更をいい,建築物以外の工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更は開発行為には該当しない。」

3.「開発許可を受けた者は,開発許可に関する工事を廃止したときは,遅滞なく,その旨を都道府県知事に届け出なければならない。」

4.「開発行為を行おうとする者は,開発許可を受けてから開発行為に着手するまでの間に,開発行為に関係がある公共施設の管理者と協議し,その同意を得なければならない。」

【正解】

× × ×

1.「都道府県知事は,開発許可の申請があったときは,申請があったとき日から21日以内に,許可又は不許可の処分をしなければならない。」

【正解:×平成8年・問20,16年・問18

◆許可または不許可の通知

 都道府県知事は,開発許可の申請があったときは,遅滞なく,許可又は不許可の処分をしなければならず,この処分をするには,必ず文書をもって当該申請者に通知しなければいけません。(35条1項,2項)

 本肢は,<申請があったとき日から21日以内>としているので誤りです。

不許可の処分では,不許可の理由が書面で通知されます。(行政手続法・8条1項)
処分に不服の場合には開発審査会に対して審査請求をすることができます。(50条1項)

2.「開発行為とは,主として建築物の建築の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更をいい,建築物以外の工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更は開発行為には該当しない。」

【正解:×

◆開発行為の定義

 開発行為とは,

  主として「建築物の建築」又は「特定工作物の建設」の用に供する目的で行う
  「土地の区画形質の変更

をいう。(4条・12項)

 本肢は,<建築物以外の工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更は開発行為には該当しない。>としているので誤りです。

3.「開発許可を受けた者は,開発許可に関する工事を廃止したときは,遅滞なく,その旨を都道府県知事に届け出なければならない。」

【正解:昭和63年・問18,平成4年・問19,8年・問21,16年・問18,

◆開発行為の廃止の届出 

 開発許可を受けた者は,開発行為に関する工事を取りやめたときは(開発行為の廃止),遅滞なく,国土交通省令の定めるところにより,その旨を都道府県知事に届け出なければなりません。(38条)

 また,都道府県知事は,廃止の届出があったときは,遅滞なく,開発許可により調製した開発登録簿を閉鎖しなければなりません。(施行規則37条)

●開発許可手続で届出が必要なもの
国土交通省令で定める軽微な変更→許可申請のときの記載事項を変更しようとするときは,あらかじめ都道府県知事の許可を受けなければいけません(平成9年・問19出題)が,軽微な変更の場合は,変更後に遅滞なく届け出ればよいことになっています。(35条の2第1項)

工事の廃止(38条)

工事の完了(36条第1項)

4.「開発行為を行おうとする者は,開発許可を受けてから開発行為に着手するまでの間に,開発行為に関係がある公共施設の管理者と協議し,その同意を得なければならない。」

【正解:×昭和63年・問18,平成4年・問19,10年・問19,11年・問19,16年・問18

◆開発行為に関係のある公共施設の管理者と協議して,その同意を得る

 本肢では,<開発許可を受けてから開発行為に着手するまでの間に>となっていますが,あらかじめ,協議してその同意を得なければいけないので,誤りです。

 開発許可を申請する者は,開発許可の申請の前に,開発行為に関係がある公共施設の管理者と協議し,その同意を得ること,また,開発行為により設置される公共施設を管理することとなる者と協議することが義務付けられています。(32条1項,2項)

 公共施設の管理者又は公共施設を管理することとなる者は,公共施設の適切な管理を確保する観点から協議を行うことになっています。(32条3項)

開発行為に関係がある公共施設の管理者  協議し,その同意を得る

 〔改正前は同意のみ〕

 (32条1項)

開発行為により設置される公共施設を管理することとなる者  協議(32条2項)

開発許可の申請書には,『32条1項の同意を得たことを証する書面』,『32条2項の協議の経過を証する書面』を添附することになっています。(30条2項)

●開発行為を行うについて協議すべき者(施行令23条)
第23条(開発行為を行なうについて協議すべき者)

 開発区域の面積が20ヘクタール以上の開発行為について開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、次に掲げる者(開発区域の面積が40ヘクタール未満の開発行為にあつては、第3号及び第4号に掲げる者を除く。)と協議しなければならない。

1.当該開発区域内に居住することとなる者に関係がある義務教育施設の設置義務者

2.当該開発区域を給水区域に含む水道法第3条第5項に規定する水道事業者

3.当該開発区域を供給区域に含む電気事業法第2条第1項第2号に規定する一般電気事業者及びガス事業法第2条第2項に規定する一般ガス事業者

4.当該開発行為に関係がある鉄道事業法による鉄道事業者及び軌道法による軌道経営者


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