法令上の制限 実戦篇
都市計画法の過去問アーカイブス 平成12年・問19 開発許可基準(33条)
開発行為で,主として,自己の居住の用に供する住宅の建築の用に供する目的で行うものについて,開発許可を受けようとする場合に関する次の記述のうち,都市計画法の規定によれば,正しいものはどれか。 (平成12年・問19) |
1.「給水施設が,開発区域について想定される需要に支障を来さないような構造及び能力で適当に配置されるように設計が定められていないときは,開発許可を受けることができない。」 |
2.「申請者に当該開発行為を行うために必要な資力及び信用がないときは,開発許可を受けることができない。」 |
3.「開発区域内の土地について,用途地域が定められている場合で,予定建築物の用途がこれに適合していないときは,開発許可を受けることができない。」 |
4.「開発区域内に建築基準法第39条第1項に規定する災害危険区域が含まれているときは,開発許可を受けることができない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | ○ | × |
◆33条の開発許可基準 ┌─市街化調整区域以外(33条のみ)
33条許可基準に関する問題=平成5年・問20, |
●この項目のガイダンス | ||||||||||||||||
33条の開発許可基準は,大別して, ・自己の居住又は自己の業務 の用に供する の二つに区分されます。
宅建試験の過去問では, 自己居住の住宅建築を目的とする開発行為への基準か尋ねる問題 が出題されています。 |
1.「給水施設が,開発区域について想定される需要に支障を来さないような構造及び能力で適当に配置されるように設計が定められていないときは,開発許可を受けることができない。」 |
【正解:×】 ◆給水施設 自己居住用の住宅建築以外の開発行為では,この開発許可基準が適用されます。(33条1項4号) ◆建築物へのこの基準の適用(給水施設の設計)
⇔対比 |
2.「申請者に当該開発行為を行うために必要な資力及び信用がないときは,開発許可を受けることができない。」 |
【正解:×】 ◆開発行為を行うために必要な資力・信用 「自己居住用の住宅建築,自己の業務用」以外の開発行為では,開発が大規模なものになることが多く,開発途中で資力が続かないために放棄するということのないように,この開発許可基準が適用されます。(33条1項12号) ◆建築物へのこの基準の適用(資力・信用)
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3.「開発区域内の土地について,用途地域が定められている場合で,予定建築物の用途がこれに適合していないときは,開発許可を受けることができない。」 |
【正解:○】 ◆予定建築物の用途〔用途地域が定められている場合〕 この開発許可基準は,自己居住用の住宅建築の開発行為かどうかに係らず,適用されます。本肢が正解肢になります。問題設定では,≪主として,自己の居住の用に供する住宅の建築の用に供する目的で行う開発行為≫となっていますが,これが正解肢だというのは非常に示唆に富む作問方法だと思います。
◆建築物へのこの基準の適用(予定建築物の用途が用途地域等に適合)
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4.「開発区域内に建築基準法第39条第1項に規定する災害危険区域が含まれているときは,開発許可を受けることができない。」 |
【正解:×】 ◆災害危険区域 「自己居住用の住宅建築,自己の業務用」以外の開発行為では,この開発許可基準が適用されます。自己居住用の住宅建築の開発行為では,この基準が適用されないというのは覚えておく必要があります。
◆建築物へのこの基準の適用(災害危険区域等)
⇔対比 以下は自己居住用の住宅建築の開発行為にも適用されます。
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●33条1項の許可基準(自己居住用の住宅建築の開発行為に適用されるもの) |
当該申請に係る開発区域内の土地について、
用途地域、特別用途地区、特定用途制限地域、流通業務地区又は港湾法第39条第1項の分区(「用途地域等」という。)が定められているときは、予定建築物等の用途が当該用途地域等に適合していること。 (33条1項1号) |
当該申請に係る開発区域内の土地について
地区計画、沿道地区計画等が定められているときは、予定建築物等の用途又は開発行為の設計が当該地区計画、沿道地区計画等に定められた内容に即して定められていること。 (33条1項5号) |
排水路その他の排水施設が、下水を有効に排出するとともに、その排出によつて開発区域及びその周辺の地域に溢水等による被害が生じないような構造及び能力で適当に配置されるように設計が定められていること。この場合において、当該排水施設に関する都市計画が定められているときは、設計がこれに適合していること。(33条1項3号) |
当該開発行為の目的に照らして、開発区域における利便の増進と開発区域及びその周辺の地域における環境の保全とが図られるように公共施設、学校その他の公益的確設及び開発区域内において予定される建築物の用途の配分が定められていること。(33条1項6号) |
開発区域内の土地が、地盤の軟弱な土地、がけ崩れ又は出水のおそれが多い土地その他これらに類する土地であるときは、地盤の改良、擁壁の設置等安全上必要な措置か講ぜられるように設計が定められていること。(33条1項7号) |
一定の規模以上の開発行為にあっては、環境を保全するため、開発区域に |
当該開発行為をしようとする土地若しくは当該開発行為に関する工事をしようとする土地の区域内の土地又はこれらの土地にある建築物その他の工作物につき当該開発行為の施行又は当該開発行為に関する工事の実施の妨げとなる権利を有する者の相当数の同意を得ていること。 (33条1項14号) |
<地方公共団体の条例による強化と緩和> 33条1項の基準を適用する技術的細目は、政令で定めますが、地方公共団体は、環境の保全、災害の防止及び利便の増進を図ることが困難であると認められ、又は当該技術的細目によらなくとも環境の保全、災害の防止及び利便の増進上支障がないと認められる場合においては、政令で定める基準に従い、条例で、当該技術的細目において定められた制限を強化し、又は緩和することができます。 また、地方公共団体は、良好な住居等の環境の形成又は保持のため必要と認める場合においては、政令で定める基準に従い、条例で、区域、目的又は予定される建築物の用途を限り、開発区域内において予定される建築物の敷地面積の最低限度に関する制限を定めることができます。 指定都市等及び事務処理市町村以外の市町村は、条例を定めようとするときは、あらかじめ、都道府県知事と協議し、その同意を得なければなりません。 |
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