法令上の制限 実戦篇
都市計画法の過去問アーカイブス 平成16年・問19
都市計画法の開発許可に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。なお,この問における都道府県知事とは,地方自治法に基づく指定都市,中核市,特例市にあってはその長をいうものとする。(平成16年・問19) |
1.「市街化調整区域のうち,開発許可を受けた開発区域以外の区域で賃貸住宅を新築する場合,当該賃貸住宅の敷地に4m以上の幅員の道路が接していなければならない。」 |
2.「開発許可を受けた開発区域内の土地に用途地域が定められている場合には,開発行為が完了した旨の公告があった後,当該開発許可に係る予定建築物以外の建築物を都道府県知事の許可を受けずに建築することができる。」 |
3.「市街化調整区域のうち,開発許可を受けた開発区域以外の区域では,農業に従事する者の居住の用に供する建築物を新築する場合,都道府県知事の許可は不要である。」 |
4.「都道府県知事は,用途地域の定められていない土地の区域における開発行為について開発許可をする場合において必要があると認めるときは,当該開発区域内の土地について,建築物の敷地に関する制限を定めることができる。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | ○ | ○ |
1.「市街化調整区域のうち,開発許可を受けた開発区域以外の区域で賃貸住宅を新築する場合,当該賃貸住宅の敷地に4m以上の幅員の道路が接していなければならない。」 |
【正解:×】 ◆市街化調整区域−開発区域外の区域で建築許可をする際の許可基準 市街化調整区域のうち,開発許可を受けた開発区域以外の区域では,建築物の建築や第一種特定工作物の建設をするには,原則として,都道府県知事(指定都市の長)の許可が必要です(⇒肢3の解説参照)。 都道府県知事(指定都市の長)は,この許可を与えようとする際に,施行令36条で定められている許可基準を満たしていなければ,許可をしてはいけませんが,本肢のような規定は施行令36条にはありません。(43条・1項,施行令36条) |
2.「開発許可を受けた開発区域内の土地に用途地域が定められている場合には,開発行為が完了した旨の公告があった後,当該開発許可に係る予定建築物以外の建築物を都道府県知事の許可を受けずに建築することができる。」 |
【正解:○】昭和58年・問19,59年・問20,昭和61年・問17,平成元年・問21,5年・問20,7年・問19,11年・問18,15年・問19,16年・問19, ◆工事完了公告後の予定建築物以外の建築の制限−用途地域が定められているとき,知事の許可は不要‐ 工事完了公告があった後は,用途地域が定められていない開発区域内で,予定建築物以外の建築物を新築することは,都道府県知事〔指定都市等の区域では当該指定都市等の長。以下,同じ〕が,当該開発区域の利便の増進上若しくは開発区域及びその周辺の地域における環境の保全上支障がないと認めて許可した場合(平成11年)を除き,禁止されています。(42条1項) しかし,用途地域が定められている場合は,用途地域の内容に適合しているものであれば,都道府県知事の許可を受ける必要はありません。(7年・問19,16年・問19)
このほかには,『用途地域が定められていない開発区域内で国が行う行為については,当該国の機関と都道府県知事との協議が成立したことをもって,許可があったものとみなす』(42条2項)(→平成5年・問20・肢3で出題。)という規定があります。 |
3.「市街化調整区域のうち,開発許可を受けた開発区域以外の区域では,農業に従事する者の居住の用に供する建築物を新築する場合,都道府県知事の許可は不要である。」 |
【正解:○】昭和58年・問19,60年・問19,61年・問17,62年・問20,63年・問19,平成元年・問18,4年・問20,5年・問20,8年・問21,15年・問19,16年・問19 ◆開発区域外の区域の建築制限
市街化調整区域のうち開発許可を受けた区域以外の区域内においては,都道府県知事の許可を受けなければ,建築物の新築,改築,用途変更,第一種特定工作物の新設をすることができません。(43条1項) ▼第二種特定工作物の新設には,市街化調整区域内の開発許可を受けた開発区域以外の区域内であっても,都道府県知事の許可は不要です。 しかし,どんな場合でも許可がなければできないのではなく,以下の場合は許可がなくてもできます。(43条1項各号)
〔注意〕・国,都道府県等の地方公共団体が行う建築物の新築,改築,用途変更,第一種特定工作物の新設 も,原則として建築許可が必要ですが,国の機関,都道府県等と知事との協議が成立することをもって,建築許可があったものとみなされます。(都市計画法43条3項) |
●参考 |
(開発許可を受けた土地以外の土地における建築等の許可を要しない通常の管理行為、軽易な行為その他の行為) 第35条 法第43条第1項第5号 の政令で定める行為は、次に掲げるものとする。 一 既存の建築物の敷地内において行う車庫、物置その他これらに類する附属建築物の建築 二 建築物の改築又は用途の変更で当該改築又は用途の変更に係る床面積の合計が10平方メートル以内であるもの 三 主として当該建築物の周辺の市街化調整区域内に居住している者の日常生活のため必要な物品の販売、加工、修理等の業務を営む店舗、事業場その他これらの業務の用に供する建築物で、その延べ面積が50平方メートル以内のもの(これらの業務の用に供する部分の延べ面積が全体の延べ面積の50%以上のものに限る。)の新築で、当該市街化調整区域内に居住している者が自ら当該業務を営むために行うもの 四 土木事業その他の事業に一時的に使用するための第一種特定工作物の新設 |
4.「都道府県知事は,用途地域の定められていない土地の区域における開発行為について開発許可をする場合において必要があると認めるときは,当該開発区域内の土地について,建築物の敷地に関する制限を定めることができる。」 |
【正解:○】昭和58年・問19,59年・問18,昭和61年・問17,62年・問20,63年・問19,平成2年・問20,4年・問20,6年・問20,9年・問19,12年・問20,16年・問19, ◆用途地域の定められていない区域での開発許可の際に定める建築制限 都道府県知事〔指定都市等の区域では当該指定都市等の長〕は,用途地域の定められていない土地の区域における開発行為について開発許可をする場合に,必要があると認めるときは,当該開発区域内の土地について,建築物の建ぺい率,建築物の高さ,壁面の位置その他建築物の敷地,構造及び設備に関する制限を定めることができます。(41条1項)また,都道府県知事は,開発許可の際に定めた制限を開発登録簿に登録しなければなりません。(昭和59年,平成9年)(47条1項5号) この制限が定められると,都道府県知事が許可した場合(昭和62年,平成4年)を除いて,この制限に違反して建築物を建築することはできません。(41条2項)
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●用途地域が定められていない土地の区域の規制
市街化調整区域 | 非線引き都市計画区域 | 準都市計画区域 | 両区域外 | |
開発許可の際に知事が定める | ○ | ○ | ○ | ○ |
工事完了公告後の開発区域での 予定建築物以外は建築禁止 |
○ | ○ | ○ | ○ |
地区計画の策定 | ○ | ○ | × | × |
特定用途制限地域 | × | ○ | ○ | × |
特定行政庁が定める制限 | ○ | ○ | ○ | × |
知事指定区域 | × | × | × | ○ |
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