法令上の制限 実戦篇

都市計画法の過去問アーカイブス 平成2年・問19 都市計画の策定


都市計画法に規定する都市計画の策定手続等に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成2年・問19)

1.「都道府県又は市町村は,都市計画を決定しようとするときは,あらかじめ当該都市計画の案を,当該都市計画を決定しようとする理由を記載した書面を添えて,公衆の縦覧に供しなければならないが,関係市町村の住民及び利害関係人は,縦覧期間満了後1週間以内の間,縦覧に供された都市計画の案について,都道府県又は市町村に対して意見書を提出することができる。」

2.「都市計画は都市の健全な発展と秩序ある整備を図るために必要なものを定め,都市の将来の動向を左右するものであるので,市町村は,都市計画を決定するとき,議会の議決を経なければならない。」

3.「都道府県は,関係市町村の意見を聴き,かつ,都道府県都市計画審議会の議を経るとともに,一定の場合国土交通大臣と協議しその同意を得て,都市計画を定めるが,国土交通大臣の同意を要する都市計画については,その同意があった日から,その効力を生ずる。」

4.「都市計画は,総括図,計画図及び計画書によって表示され,都道府県知事及び市町村長は,これらの図書又は写しを当該都道府県又は市町村の事務所において公衆の縦覧に供しなければならない。」

【正解】

× × ×

1.「都道府県又は市町村は,都市計画を決定しようとするときは,あらかじめ当該都市計画の案を,当該都市計画を決定しようとする理由を記載した書面を添えて,公衆の縦覧に供しなければならないが,関係市町村の住民及び利害関係人は,縦覧期間満了後1週間以内の間,縦覧に供された都市計画の案について,都道府県又は市町村に対して意見書を提出することができる。」

【正解:×平成2年・問19,5年・問19,9年・問17

◆関係市町村の住民・利害関係者の意見書の提出

 意見書の提出は<縦覧期間満了後1週間以内>ではなく,<公告の日から2週間の縦覧期間満了の日まで>です。

 都市計画決定の際には,住民の意見を無視することはできません。このため,都市計画法では,次のようにしています

公告の日から2週間
都市計画の案の縦覧
(都市計画を決定しようとする理由を
記載した書面を添付)(17条1項)
     ↓
関係市町村の住民及び利害関係人は,
縦覧期間満了の日までに意見書を提出。
(17条2項)
     ↓【都道府県の場合】
意見書の要旨を
都道府県都市計画審議会に提出。
都市計画の案を付議。
(18条2項)

 都道府県又は市町村は、都市計画を決定しようとするときは,あらかじめ,その旨を公告し,当該都市計画の案を,当該都市計画を決定しようとする理由を記載した書面を添えて,当該公告の日から2週間公衆の縦覧に供しなければいけません。(17条1項)

 また,関係市町村の住民及び利害関係人は,当該公告の日から2週間の縦覧期間満了の日までに,縦覧に供された都市計画の案について,都道府県の作成に係るものは都道府県に,市町村の作成に係るものは市町村に,意見書を提出することができます。(17条2項)

 都道府県は,都市計画の案を都道府県都市計画審議会に付議しようとするときは,関係市町村の住民及び利害関係人から提出された意見書の要旨を都道府県都市計画審議会に提出しなければいけません。(18条2項)

●原題
1.「都道府県又は市町村は,都市計画を決定しようとするときは,あらかじめ当該都市計画の案を公衆の縦覧に供しなければならないが,その案に係る区域内の土地の所有者は,縦覧期間満了後1週間以内の間,都道府県又は市町村に対して異議を申し立てることができる。

2.「都市計画は都市の健全な発展と秩序ある整備を図るために必要なものを定め,都市の将来の動向を左右するものであるので,市町村は,都市計画を決定するとき,議会の議決を経なければならない。」

【正解:×平成2年・問19,5年・問19,8年・問19,10年・問17

◆市町村の都市計画の決定 

 市町村は、市町村都市計画審議会(当該市町村に市町村都市計画審議会が置かれていないときは、当該市町村の存する都道府県の都道府県都市計画審議会)の議を経て、都市計画を決定するものとする。(19条1項)
 市町村は、都市計画区域又は準都市計画区域について都市計画(都市計画区域について定めるものにあつては区域外都市施設に関するものを含み、地区計画等にあつては当該都市計画に定めようとする事項のうち政令で定める地区施設の配置及び規模その他の事項に限る。)を決定しようとするときは、あらかじめ、都道府県知事に協議しなければならない。この場合において、町村にあつては都道府県知事の同意を得なければならない。(19条3項)
 都道府県知事は、一の市町村の区域を超える広域の見地からの調整を図る観点又は都道府県が定め、若しくは定めようとする都市計画との適合を図る観点から、前項の協議を行うものとする。(19条4項)

 都道府県知事は、第三項の協議を行うに当たり必要があると認めるときは、関係市町村に対し、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。(19条5項)

市町村の都市計画

 市町村が定める都市計画は、議会の議決を経て定められた当該市町村の建設に関する基本構想に即し、かつ、都道府県が定めた都市計画に適合したものでなければならない。(15条3項)
 市町村が定めた都市計画が、都道府県が定めた都市計画と抵触するときは、その限りにおいて、都道府県が定めた都市計画が優先するものとする。(15条4項)

3.「都道府県は,関係市町村の意見を聴き,かつ,都道府県都市計画審議会の議を経るとともに,一定の場合国土交通大臣と協議しその同意を得て,都市計画を定めるが,国土交通大臣の同意を要する都市計画については,その同意があった日から,その効力を生ずる。」

【正解:×平成2年・問19,4年・問18,8年・問19,

◆都市計画の決定

 都市計画の決定から効力発生までを扱った問題です。

 都道府県は,関係市町村の意見をきき,かつ,都道府県都市計画審議会の議を経て,都市計画を決定します。(18条1項)

 都道府県が都市計画を決定しようとするときに,その都市計画が『国の利害に重大な関係がある都市計画』のときは,あらかじめ,国土交通大臣に協議し,その同意を得なければなりません。(18条3項)

 都市計画は,都市計画の決定の告示があった日からその効力を生じます。(20条3項)国土交通大臣の同意を要する都市計画でも,このことは変わらないので本肢は誤りです。

  関係市町村
都道府県都市計画審議会
国土交通大臣
都市計画区域の指定  意見をきく 必ず
協議して同意を得る
都市計画の決定  関係市町村の意見をきき,
 都道府県都市計画審議会の議を経る。
国の利害に重大な関係があるとき
協議して同意を得る

4.「都市計画は,総括図,計画図及び計画書によって表示され,都道府県知事及び市町村長は,これらの図書又は写しを当該都道府県又は市町村の事務所において公衆の縦覧に供しなければならない。」

【正解:

◆都市計画の図書の縦覧

 都市計画は,総括図,計画図及び計画書によって表示され(14条1項),都道府県知事及び市町村長は,これらの図書又は写しを当該都道府県又は市町村の事務所において公衆の縦覧に供しなければいけません。(20条2項)

●条文を確認
第14条(都市計画の図書) 都市計画は、国土交通省令で定めるところにより、総括図、計画図及び計画書によつて表示するものとする。
第20条(都市計画の告示等) 都道府県又は市町村は、都市計画を決定したときは、その旨を告示し、かつ、都道府県にあつては国土交通大臣及び関係市町村長に、市町村にあつては国土交通大臣及び都道府県知事に、第14条第1項に規定する図書の写しを送付しなければならない。

2 都道府県知事及び市町村長は、国土交通省令で定めるところにより、前項の図書又はその写しを当該都道府県又は市町村の事務析において公衆の縦覧に供しなければならない。

3 都市計画は、第1項の規定による告示があつた日から、その効力を生ずる。

●原題

4.「都市計画は,総括図,計画図及び計画書によって表示され,土地に関し権利を有する者は,当該都市計画が定められている土地の存する都道府県又は市町村の事務所においてこれらの図書又は写しを縦覧することができる。」

【コメント】これが原題ですが,設問文のニュアンスが最近の出題状況と若干異なるため,修正しました。

●都市計画法の平成の過去問Archives
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