法令上の制限 実戦篇

都市計画法の過去問アーカイブス 平成9年・問17 小問集合 

都市計画区域の指定・都市計画の策定・都市計画制限・地区計画


都市計画法に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成9年・問17)

1.「都道府県が都市計画区域を指定する場合には,一体の都市として総合的に整備し,開発し,及び保全する必要がある区域を市町村の行政区域に沿って指定しなければならない。」

2.「公衆の縦覧に供された都市計画の案について,関係市町村の住民及び利害関係人は,都市計画の案の公告の日から2週間の縦覧期間の満了の日までに,意見書を提出することができる。

3.「都市計画施設の区域内において建築物の新築をしようとする者は,原則として都道府県知事等の許可を受けなければならないが,階数が2以下の木造建築物で,容易に移転し,又は除却することができるものの新築であれば,許可が必要となることはない。」

4.「地区整備計画が定められている地区計画の区域内において建築物の建築を行う場合には,市町村長の許可が必要であり,市町村長は,地区計画の内容と建築行為の内容とが適合するとき許可をすることができる。」

【正解】

× × ×

1.「都道府県が都市計画区域を指定する場合には,一体の都市として総合的に整備し,開発し,及び保全する必要がある区域を市町村の行政区域に沿って指定しなければならない。」

【正解:×昭和58年・問20,平成4年・問18,9年・問17,14年・問17

◆都市計画区域の指定

 都市計画区域の指定は,一体の都市として総合的に整備し,開発し,及び保全される必要がある区域であり,必要があるときは一の市町村の区域外にわたり,また都府県の区域を超えて指定することができます。

 都市計画区域の指定は原則として都道府県が指定し,2以上の都府県にわたる場合は国土交通大臣が指定します。(5条1項,4項)

2.「公衆の縦覧に供された都市計画の案について,関係市町村の住民及び利害関係人は,都市計画の案の公告の日から2週間の縦覧期間の満了の日までに,意見書を提出することができる。

【正解:平成2年・問19,5年・問19,9年・問17

◆関係市町村の住民・利害関係者の意見書の提出 

公告の日から2週間
都市計画の案の縦覧
(都市計画を決定しようとする理由を
記載した書面を添付)(17条1項)
     ↓
関係市町村の住民及び利害関係人は,
縦覧期間満了の日までに意見書を提出。
(17条2項)
     ↓【都道府県の場合】
意見書の要旨を
都道府県都市計画審議会に提出。
都市計画の案を付議。
(18条2項)

 都道府県又は市町村は、都市計画を決定しようとするときは,あらかじめ,その旨を公告し,当該都市計画の案を,当該都市計画を決定しようとする理由を記載した書面を添えて,当該公告の日から2週間公衆の縦覧に供しなければいけません。(17条1項)

 また,関係市町村の住民及び利害関係人は,当該公告の日から2週間の縦覧期間満了の日までに,縦覧に供された都市計画の案について,都道府県の作成に係るものは都道府県に,市町村の作成に係るものは市町村に,意見書を提出することができます。(17条2項)

 都道府県は,都市計画の案を都道府県都市計画審議会に付議しようとするときは,関係市町村の住民及び利害関係人から提出された意見書の要旨を都道府県都市計画審議会に提出しなければいけません。(18条2項)

3.「都市計画施設の区域内において建築物の新築をしようとする者は,原則として都道府県知事等の許可を受けなければならないが,階数が2以下の木造建築物で,容易に移転し,又は除却することができるものの新築であれば,許可が必要となることはない。」

【正解:×

◆都市計画施設の区域又は市街地開発事業の施行区域での建築制限

 <階数が2階以下でかつ地階を有しない木造の建築物の改築・移転>の場合は都道府県知事等の許可は不要ですが(施行令37条),<階数が2以下の木造建築物で,容易に移転し,又は除却することができるものの新築>の場合は許可が必要です。(54条の許可要件に該当する。)

 都市計画の告示(20条1項)があった日以降は,(都市計画事業の認可の告示がされるまでの間に,)都市計画施設の区域又は市街地開発事業の施行区域内建築物の建築〔新築・増築・改築・移転〕をしようとする者は,都道府県知事等(市の区域内では市長)の許可を受けなければいけません。(都市計画法53条1項)

 ⇒ 「将来の事業実施の支障とならない建築物」(54条の許可基準を満たしている)について許可されます。

 <54条の許可要件>

 ・都市計画に適合,支障がないもの等。 

 ・階数が2以下で,かつ,地階を有しないもので,
 主要構造部が木造・鉄骨造・コンクリートブロック造などの
 容易に移転・除却できるもの。

許可がなくてもできるもの(53条1項)

一.政令で定める軽易な行為 (階数が2階以下でかつ地階を有しない木造の建築物の改築・移転)

二.非常災害のため必要な応急措置として行う行為

三.都市計画事業の施行として行う行為又はこれに準ずる行為として政令で定める行為

四.第11条第3項後段の規定により離隔距離の最小限度及び載荷重の最大限度が定められている都市計画施設の区域内において行う行為であつて、当該離隔距離の最小限度及び載荷重の最大限度に適合するもの

五.第12条の11に規定する都市計画施設である道路の区域のうち建築物等の敷地として併せて利用すべき区域内において行う行為であつて、当該都市計画施設である道路を整備する上で著しい支障を及ぼすおそれがないものとして政令で定めるもの

■参考■ 都市計画施設,市街地開発事業,予定区域,都市計画事業の全体像

●都市計画制限の出題歴●

都市計画施設の区域 昭和56年・問19,57年・問28公,59年・問20,60年・問18,
60年・問27公,62年・問17,
平成3年・問19,7年・問18,9年・問17,12年・問18
市街地開発事業の施行区域 昭和56年・問19,62年・問17,
平成3年・問19,7年・問18,9年・問17,12年・問18
市街地開発事業等予定区域 昭和59年・問28,62年・問17,平成3年・問19,
都市計画事業の事業地 昭和56年・問19,平成10年・問17,12年・問18,16年・問17

4.「地区整備計画が定められている地区計画の区域内において建築物の建築を行う場合には,市町村長の許可が必要であり,市町村長は,地区計画の内容と建築行為の内容とが適合するとき許可をすることができる。」

【正解:×

◆市町村長への建築・土地の区画形質の変更の届出

 市町村長の許可を得るのではなく,市町村長へ届け出るので,誤りの記述です。

 地区計画の区域〔施設の配置及び規模が定められている再開発等促進区又は地区整備計画が定められている区域に限る。〕内において,土地の区画形質の変更建築物の建築その他政令で定める行為を行おうとする者は,着手する30日前までに,原則として市町村長に届け出なければならない。(58条の2第1項)

●届出対象−政令で定める行為
 建築物等の用途の変更 用途変更後の建築物等が地区計画において定められた用途の制限又は用途に応じた建築物等に関する制限に適合しない場合は用途変更でも届出義務がある。(施行令38条の4第1号) 

 建築物等の形態又は意匠の変更 地区計画において建築物等の形態又は意匠の制限が定められている土地の区域では,建築物等の形態又は意匠の変更にも届出義務がある。(施行令38条の4第2号)

 木材の伐採 地区計画において、<現に存する樹林地、草地等で良好な居住環境を確保するため必要なものの保全に関する事項> が定められている土地の区域では,木竹の伐採 にも届出義務がある。(施行令38条の4第3号)

 また,市町村長は,その届出に係る行為が地区計画に適合しないと認めるときは,その届出をした者に対し,その届出に係る行為に関し設計の変更その他の必要な措置をとることを勧告することができる。(58条の2第3項)

●届出事項
 行為の種類・場所・設計又は施行方法・着手予定日

 その他国土交通省令で定める事項

●届け出なくてもよいもの→届出が適用除外
・通常の管理行為,軽易な行為その他で政令で定めるもの

・非常災害のため必要な応急措置として行う行為

・国又は地方公共団体が行う行為

・都市計画事業として行う行為又はこれに準じる行為として政令で定める行為

・開発許可を要する行為その他政令で定める行為(開発許可を要する場合は届出の必要はありません。)

●地区計画の出題項目一覧

地区計画等(12条の4第1項) 平成7年・問18

地区計画の定義(12条の5第1項) 平成元年・問196年・問177年・問188年・問1915年・問17

地区計画の都市計画基準(13条1項14項) 平成3年・問18

都市計画で定めるもの(12条の4第2項,12条の5第2項) 昭和57年・問20

地区計画をどこに定めるか(12条の5第1項) 昭和57年・問20平成元年・問1910年・問17

地区整備計画で制限できるもの(12条の5第6項) 昭和57年・問20平成元年・問1911年・問1715年・問17

地区整備計画が定められている地区計画の区域内での建築等の届出(58条2)
 
昭和57年・問2060年・問1861年・問2062年・問17平成元年・問193年・問199年・問1712年・問18


●都市計画法の平成の過去問Archives
昭和63年問18昭和63年問19昭和63年問20平成元年問18平成元年問19平成元年問21平成2年問19平成2年問20平成3年問18平成3年問19平成3年問20平成4年問18平成4年問19平成4年問20平成5年問18平成5年問19平成5年問20平成6年問17平成6年問19平成6年問20平成7年問18平成7年問19平成7年問20平成8年問19平成8年問20平成8年問21,平成9年問17,平成9年問18平成9年問19平成10年問17平成10年問18平成10年問19平成11年問17平成11年問18平成11年問19平成12年問18平成12年問19平成12年問20平成13年問17平成13年問18平成13年問19平成14年問17平成14年問18平成14年問19平成15年問17平成15年問18平成15年問19平成16年問17平成16年問18平成16年問19

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