法令上の制限 実戦篇
都市計画法の過去問アーカイブス 平成11年・問17 小問集合
都市施設・地域地区・地区計画
都市計画法に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(平成11年・問17) |
1.「都市施設は,円滑な都市活動を確保し,良好な都市環境を保持するように都市計画に定めることとされており,市街化区域については,少なくとも道路,公園及び下水道を定めなければならない。」 |
2.「第一種中高層住居専用地域は,中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するために定める地域であり,その都市計画には,建築物の高さの最低限度又は最高限度を定めなければならない。」 |
3.「特別用途地区は,当該地区の特性にふさわしい土地利用の増進,環境の保護等の特別の目的の実現を図るために定める地区であり,用途地域内においてのみ定めることができる。」 |
4.「市街化調整区域内の土地の区域について定められる地区計画の地区整備計画においては,建築物の容積率の最低限度,建築物の建築面積の最低限度及び建築物等の高さの最低限度を定めることはできない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | ○ | ○ |
1.「都市施設は,円滑な都市活動を確保し,良好な都市環境を保持するように都市計画に定めることとされており,市街化区域については,少なくとも道路,公園及び下水道を定めなければならない。」 |
【正解:○】昭和55年問19,63年問20,平成4年問18,調整区域・平成7年問18, ◆都市施設 都市施設は,土地利用,交通等の現状及び将来の見通しを勘案して,適切な規模で必要な位置に配置することにより,円滑な都市活動を確保し,良好な都市環境を保持するように定めることとされています。(13条1項11号前段) 『市街化区域』及び『区域区分の定められていない都市計画区域』〔非線引き都市計画区域〕には,少なくとも,道路・公園・下水道を定めることになっています。また,住居系の全て7用途地域には義務教育施設をも定めることになっています。(13条1項11号後段)
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2.「第一種中高層住居専用地域は,中高層住宅に係る良好な住居の環境を保護するために定める地域であり,その都市計画には,建築物の高さの最低限度又は最高限度を定めなければならない。」 |
【正解:×】平成4年・問18,11年・問17,13年・問17, ◆中高層住居専用地域 第一種・第二種中高層住居専用地域に関する都市計画には,建ぺい率,容積率,(必要ならば)敷地面積の最低限度を定めることになっています。(8条3項2号) しかし,中高層住居専用地域で「建築物の高さの最高限度及び最低限度」は都市計画で定めるものとはされていません。 |
●用途地域の都市計画で定めるもの | ||||||
すべての用途地域では(建築基準法で用途地域ごとに決められている範囲内〔複数の候補のうち〕のどれを指定するのか)容積率を必ず都市計画で定める。(各地域とも,建築物の敷地面積の最低限度は必要ならば定める。)
建ぺい率は商業地域を除く用途地域の各地域で都市計画で定める。〔建築基準法で用途地域ごとに決められている範囲内〔複数の候補のうち〕のどれを指定するのかを都市計画で定める。〕 ⇒ 「商業地域を除く」というのは,商業地域で建ぺい率の指定が都市計画にはないということではないので注意。都市計画で決められている商業地域の建ぺい率は日本全国どこでも8/10です。商業地域の建ぺい率は8/10と建築基準法で定められているので,商業地域の建ぺい率は都市計画では8/10以外の数値を定めることはできないということです。)
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3.「特別用途地区は,当該地区の特性にふさわしい土地利用の増進,環境の保護等の特別の目的の実現を図るために定める地区であり,用途地域内においてのみ定めることができる。」 |
【正解:○】平成3年・問18,7年・問18,10年・問17,11年・問17,14年・問18 ◆特別用途地区 特別用途地区は,用途地域内にのみ定めることができます。
▼特別用途地区では,もともとの用途地域での用途制限のほかに,地方公共団体の条例で,その地区の指定の目的のために,建築物の建築の制限又は禁止に関して必要な規定を定めることができます。(建築基準法・49条1項) 地方公共団体は,その地区の指定の目的のために必要と認める場合には,国土交通大臣の承認を得て,条例で,用途地域で定める建築物の用途に関する制限を緩和することができます。(建築基準法・49条2項) |
●対比●特定用途制限地域 |
特定用途制限地域は,『非線引き都市計画区域・準都市計画区域』の用途地域が定められていない区域内において定め,その良好な環境の形成又は保持のため当該地域の特性に応じて合理的な土地利用が行われるよう,制限すべき特定の建築物等の用途の概要を定める地域とする。(都市計画法・9条14項)
用途地域のある市街化区域や市街化調整区域では定められない。(市街化調整区域を除く)・(非線引き都市計画区域・準都市計画区域)〕(都市計画法・9条14項 ・市町村の都市計画で決定する。(都市計画法・15条1項), ・「用途の概要」は都市計画で定める。(都市計画法・8条3項2号二) ・「用途の制限」や「建築物の敷地,構造及び設備に関する制限」は,地方公共団体の条例で定める。(建築基準法49条の2,50条) |
4.「市街化調整区域内の土地の区域について定められる地区計画の地区整備計画においては,建築物の容積率の最低限度,建築物の建築面積の最低限度及び建築物等の高さの最低限度を定めることはできない。」 |
【正解:○】昭和57年・問20,平成元年・問19,11年・問17,15年・問17, ◆地区整備計画 地区計画では,「地区整備計画」を都市計画に定めます。(12条の5第2項) この地区整備計画では,地区施設の配置及び規模のほか,地区計画の目的を達成するために必要な建築物等の用途の制限,建築物・工作物・敷地についての制限事項を定めることができます。これにより地区計画の区域の街作りを誘導・整備していくことになります。(12条の5第6項)
地区整備計画にどんな内容を盛り込んでいいかを定めているのが12条の5第6項です。
このなかで,市街化調整区域内の地区計画の地区整備計画では,容積率・建築物の建築面積・高さの三つの最低限度は定めることができません。市街化調整区域はもともと市街化を抑制すべき地域だからです。(12条の5第6項) |
●地区計画の出題項目一覧 |
▼地区計画等(12条の4第1項) 平成7年・問18, ▼地区計画の定義(12条の5第1項) 平成元年・問19,6年・問17,7年・問18,8年・問19,15年・問17, ▼地区計画の都市計画基準(13条1項14項) 平成3年・問18, ▼都市計画で定めるもの(12条の4第2項,12条の5第2項) 昭和57年・問20, ▼地区計画をどこに定めるか(12条の5第1項) 昭和57年・問20,平成元年・問19,10年・問17, ▼地区整備計画で制限できるもの(12条の5第6項) 昭和57年・問20,平成元年・問19,11年・問17,15年・問17, ▼地区整備計画が定められている地区計画の区域内での建築等の届出(58条2) |
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