法令上の制限 実戦篇
都市計画法の過去問アーカイブス 昭和61年・問17 開発許可と建築制限
次の記述のうち,都市計画法上正しいものはどれか。(昭和61年・問17) |
1.「市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内においては,都道府県知事の許可を受けなければ,建築物の用途を変更することは一切できない。」 |
2.「開発許可を受けた区域内において,開発行為に関する工事が完了した旨の公告があった後は,当該開発行為に係る予定建築物以外の建築物を新築することは一切できない。」 |
3.「用途地域の定められていない土地の区域における開発行為について,都道府県知事が開発許可をするに当たって建築物の高さに関する制限を定めた場合には,当該制限が定められた土地の区域内においては,都道府県知事の許可を受けなければ当該制限を超える建築物を建築することは一切できない。」改 |
4.「市街化調整区域内の土地のうち,開発許可を受けた区域以外の区域内でも,市街化区域に隣接した土地において建築物を新築する場合は,都道府県知事の許可を受ける必要はない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | ○ | × |
1.「市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内においては,都道府県知事の許可を受けなければ,建築物の用途を変更することは一切できない。」 |
【正解:×】昭和58年問19,60年問19,61年問17,62年問20,63年問19, ◆市街化調整区域 : 開発区域以外の区域での建築制限
市街化調整区域のうち開発許可を受けた区域以外の区域内においては,都道府県知事〔指定都市等の区域では当該指定都市等の長〕の許可を受けなければ,建築物の新築,改築,用途変更,第一種特定工作物の新設をすることができません。(43条1項) しかし,どんな場合でもできないのではなく,以下の場合は許可がなくてもできます。(43条1項各号)
〔注意〕・国,都道府県等の地方公共団体が行う建築物の新築,改築,用途変更,第一種特定工作物の新設 も,原則として建築許可が必要ですが,国の機関,都道府県等と知事との協議が成立することをもって,建築許可があったものとみなされます。(都市計画法43条3項) 註 市街化調整区域のうち開発許可を受けた区域以外の区域内では,第二種特定工作物は,許可がなくても建設できます。 |
2.「開発許可を受けた区域内において,開発行為に関する工事が完了した旨の公告があった後は,当該開発行為に係る予定建築物以外の建築物を新築することは一切できない。」 |
【正解:×】昭和58年・問19,59年・問20,昭和61年・問17,平成元年・問21,5年・問20,7年・問19,11年・問18,15年・問19,16年・問19, ◆用途地域が定められていない場合の工事完了公告後の建築制限
工事完了公告があった後は,用途地域が定められていない開発区域内で,予定建築物以外の建築物を新築することは,都道府県知事〔指定都市等の区域では当該指定都市等の長〕が支障がないと認めて許可した場合を除き,禁止されています。(42条1項) このほかには,『用途地域が定められていない開発区域内で国が行う行為については,当該国の機関と都道府県知事との協議が成立したことをもって,許可があったものとみなす』(42条2項)(→平成5年・問20・肢3で出題。)という規定があります。
※開発区域が「市街化調整区域」,「非線引き都市計画区域」,「準都市計画区域」,「両区域外」にあるときには,当該開発区域に用途地域が定められていない場合があります。 |
●用途地域が定められていない土地の区域の規制
市街化調整区域 | 非線引き都市計画区域 | 準都市計画区域 | 両区域外 | |
開発許可の際に知事が定める | ○ | ○ | ○ | ○ |
工事完了公告後の開発区域での 予定建築物以外は建築禁止 |
○ | ○ | ○ | ○ |
地区計画の策定 | ○ | ○ | × | × |
特定用途制限地域 | × | ○ | ○ | × |
特定行政庁が定める制限 | ○ | ○ | ○ | × |
知事指定区域 | × | × | × | ○ |
3.「用途地域の定められていない土地の区域における開発行為について,都道府県知事が開発許可をするに当たって建築物の高さに関する制限を定めた場合には,当該制限が定められた土地の区域内においては,都道府県知事の許可を受けなければ当該制限を超える建築物を建築することは一切できない。」改 |
【正解:○】昭和58年・問19,59年・問18,昭和61年・問17,62年・問20,63年・問19,平成2年・問20,4年・問20,6年・問20,9年・問19,12年・問20,16年・問19, ◆用途地域の定められていない区域での開発許可の際に定める建築制限
都道府県知事〔指定都市等の区域では当該指定都市等の長〕は,用途地域の定められていない土地の区域における開発行為について開発許可をする場合に,必要があると認めるときは,当該開発区域内の土地について,建築物の建ぺい率,建築物の高さ,壁面の位置その他建築物の敷地,構造及び設備に関する制限を定めることができます。(41条1項)また,都道府県知事は,開発許可の際に定めた制限を開発登録簿に登録しなければなりません。(47条1項5号) この制限が定められると,都道府県知事が許可した場合を除いて,この制限に違反して建築物を建築することはできません。(41条2項)
|
4.「市街化調整区域内の土地のうち,開発許可を受けた区域以外の区域内でも,市街化区域に隣接した土地において建築物を新築する場合は,都道府県知事の許可を受ける必要はない。」改 |
【正解:×】 ◆市街化調整区域 : 開発区域以外の区域での建築制限 市街化調整区域のうち開発許可を受けた区域以外の区域内においては,都道府県知事〔指定都市等の区域では当該指定都市等の長〕の許可を受けなければ,建築物の新築,改築,用途変更,第一種特定工作物の新設をすることができません。(43条1項) 市街化区域に隣接した土地であっても,この規定に変わりはなく,建築物を新築するには,都道府県知事〔指定都市等の区域では当該指定都市等の長〕の許可が必要です。 |
●法改正対応について |
▼平成12年の改正で既存宅地が廃止されたことに伴い,『市街化調整区域内の開発区域以外の区域でも市街化区域に隣接した一定の土地では建築許可は要らない』とする旧43条1項6号は廃止されました。(改正で許可制へ移行。)本肢の原題は,改正前の規定に絡む出題であったため,修正してあります。 |
●都市計画法の昭和の過去問Archives |
昭和55年問17,昭和55年問18,昭和55年問19,昭和56年問18,昭和56年問19,昭和56年問20,昭和57年問18,昭和57年問19,昭和57年問20,昭和58年問18,昭和58年問19,昭和58年問20,昭和59年問18,昭和59年問19,昭和59年問20,昭和60年問17,昭和60年問18,昭和60年問19,昭和61年問17,昭和61年問20,昭和61年問21,昭和62年問17,昭和62年問19,昭和62年問20,昭和63年問18,昭和63年問19,昭和63年問20, |