宅建過去問 宅建業法
自ら売主の8種制限・業務上の規制の過去問アーカイブス 平成21年・問40
宅地建物取引業者Aが行う建物の売買又は売買の媒介に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものはどれか。(平成21年・問40) |
1 Aは、建物の売買の媒介に関し、買主に対して手付の貸付けを行う旨を告げて契約の締結を勧誘したが、売買契約は成立しなかった。 |
2 建物の売買の媒介に際し、買主から売買契約の申込みを撤回する旨の申出があったが、Aは、申込みの際に受領した預り金を既に売主に交付していたため、買主に返還しなかった。 |
3 Aは、自ら売主となる建物 (代金5,000万円) の売買に際し、あらかじめ買主の承諾を得た上で、代金の30%に当たる1,500万円の手付金を受領した。 |
4 Aは、自ら売主として行う中古建物の売買に際し、当該建物の瑕疵担保責任について、Aがその責任を負う期間を引渡しの日から2年間とする契約をした。 |
<コメント> |
●出題論点● |
肢1 売買契約が成立しなかったとしても,手付の貸付けを行う旨を告げて契約の締結を勧誘する行為は禁止されているので,宅建業法に違反する。
肢2 媒介した宅建業者が,買主が買受けの申込みを撤回するのに際し,すでに受領した預り金の返還を拒むことは禁止されているので,預り金を既に売主に交付していたことを理由に買主に返還しないことは,宅建業法に違反する。 肢3 代金の20%を超える額の手付けを受領することは禁止されているので,あらかじめ買主の承諾を得たとしても,代金の20%超える額の手付金を受領するのは,宅建業法に違反する。 肢4 宅建業者が自ら売主として宅建業者ではない者に対して瑕疵担保責任を負う期間は,引渡しの日から2年以上となる特約をすることができる。 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
違反する | 違反する | 違反する | 違反しない |
正答率 | 93.4% |
1 Aは、建物の売買の媒介に関し、買主に対して手付の貸付けを行う旨を告げて契約の締結を勧誘したが、売買契約は成立しなかった。 |
【正解:違反する】昭和56年・問50・肢3,昭和59年・問44・肢4,昭和63年・問40・肢2,昭和63年・問46・ア,平成元年・問48・肢1,平成4年・問44・肢1,平成9年・問38・肢1,平成9年・問40・肢1,平成11年・問42・肢2,平成12年・問40・肢3,(買主が宅建業者でも適用される)平成13年・問42・肢2,平成15年・問38・肢3,平成18年・問40・肢3,平成20年・問38・肢4, ◆手付けの貸付など信用の供与による契約締結の誘引の禁止 売買契約が成立しなかったとしても,手付の貸付けを行う旨を告げて契約の締結を勧誘する行為は禁止されているので,本肢の行為は宅建業法に違反します。 |
2 建物の売買の媒介に際し、買主から売買契約の申込みを撤回する旨の申出があったが、Aは、申込みの際に受領した預り金を既に売主に交付していたため、買主に返還しなかった。 |
【正解:違反する】平成12年・問35・肢3,平成18年・問41・肢2,平成20年・問38・肢2,平成21年・問40・肢2, ◆受領した預かり金の返還の拒否の禁止 買主が買受けの申込みを撤回するのに際し,媒介した宅建業者が,すでに受領した預り金の返還を拒むことは禁止されているので(宅建業法47条の2第3項,施行規則16条の12第2号),預り金を既に売主に交付していることを理由に買主に返還しなかったのは,宅建業法に違反します。 |
3 Aは、自ら売主となる建物 (代金5,000万円) の売買に際し、あらかじめ買主の承諾を得た上で、代金の30%に当たる1,500万円の手付金を受領した。 |
【正解:違反する】〔類題〕昭和63年・問43・肢1,平成2年・問40・肢4,平成4年・問41・肢4,平成7年・問43・肢4,平成7年・問47・肢4,平成9年・問44・肢3,平成14年・問40・肢1,平成15年・問38・肢2,平成16年・問45・肢3,平成20年・問41・肢3, ◆手付けの額の制限 宅建業者は,自ら売主として宅建業者ではない者との売買契約締結に際し,代金の20%を超える額の手付けを受領することは禁止されているので(宅建業法39条1項),あらかじめ買主の承諾を得た上であっても,代金の30%に当たる金額の手付金を受領したのは,宅建業法に違反します。 |
4 Aは、自ら売主として行う中古建物の売買に際し、当該建物の瑕疵担保責任について、Aがその責任を負う期間を引渡しの日から2年間とする契約をした。 |
【正解:違反しない】 ◆瑕疵担保責任を負う期間 宅建業者が自ら売主として宅建業者ではない者に対して瑕疵担保責任を負う期間は,引渡しの日から2年以上となる特約をすることができます(宅建業法40条1項)。 引渡しの日から2年間とする契約は2年以上の範囲に入っているので,本肢の場合,宅建業法には違反しません。 |