法令上の制限 基礎編
宅地造成等規制法 §2 宅地造成工事規制区域の指定
次のそれぞれの記述は,宅地造成等規制法の規定によれば○か,×か。なお,本問における都道府県知事とは,指定都市,中核市又は特例市にあっては,指定都市,中核市又は特例市の長をいうものとする。 |
1.「宅地造成工事規制区域は,宅地造成に伴ない災害が生ずるおそれの大きい市街地又は市街地になろうとする土地の区域であって,宅地造成に関する工事について規制を行う必要があるものについて,都道府県知事が指定する。」4-25-3 |
2.「宅地造成に伴い災害が生じるおそれの大きい市街地又は市街地になろうとする土地の区域であって,宅地造成に関する工事について規制を行う必要があるものについて,都道府県知事がこの法律の目的を達成するために必要があると認めるときは,宅地造成工事規制区域として指定されることがある。」58-25-3改 |
3.「都道府県知事が,宅地造成工事規制区域 として指定できるのは,都市計画区域内の土地の区域に限られる。」9-20-1,鑑定士・2次・平成13年 |
4.「宅地造成等規制法によれば,宅地造成工事規制区域は,宅地造成に伴い災害が生ずるおそれの大きい市街地又は市街地となろうとする土地の区域であって,宅地造成に関する工事について規制を行う必要があるものについて指定される。」10-25-1,8-26-1 |
●宅地造成等規制法の目的 |
(目的) 第1条 この法律は、宅地造成に伴う崖崩れ又は土砂の流出による災害の防止のため必要な規制を行うことにより、国民の生命及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉に寄与することを目的とする。 |
●宅地造成等規制法での『災害』の定義 |
『災害』とは『崖崩れ,土砂の流出によるもの』をいう。(2条3号) →溢水などによる災害は含まない。 |
●宅地造成工事規制区域の指定 |
・都道府県知事(指定都市,中核市,特例市ではそれぞれの長)は,関係市町村長の意見を聴いて,『宅地造成工事規制区域』を指定することができる。(3条1項)
・都道府県知事は,『宅地造成工事規制区域』の指定をするときは,その区域を公示するとともに,その旨を国土交通大臣に報告し,かつ,関係市町村に通知しなければならない。(3条2項) |
●宅地造成工事規制区域が指定されると… |
『宅地造成工事規制区域』に指定されると,その区域内の土地は,宅地造成に伴う災害〔がけ崩れ・土砂の流出〕を防止するために,「宅地造成工事の許可制度」・「一定の工事や宅地転用の届出制度」・「所有者・管理者・占有者の保全義務等」の,大別して三つの規制を受けることになる。 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | ○ | × | ○ |
1.「宅地造成工事規制区域は,宅地造成に伴ない災害が生ずるおそれの大きい市街地又は市街地になろうとする土地の区域であって,宅地造成に関する工事について規制を行う必要があるものについて,都道府県知事が指定する。」4-25-3 |
【正解:○】 ◆都道府県知事〔指定都市等の長〕が指定 都道府県知事〔指定都市,中核市又は特例市にあっては,指定都市,中核市又は特例市の長をいう〕は,この法律の目的を達成するために必要があると認めるときは,関係市町村長〔特別区の長を含む〕の意見を聴いて,宅地造成に伴ない災害が生ずるおそれの大きい市街地又は市街地になろうとする土地の区域で,宅地造成工事について規制を行う必要があるものを,宅地造成工事規制区域として指定することができる。(3条1項) |
●類題 |
1.「宅地造成工事規制区域は,宅地造成に伴い,がけ崩れ又は土砂の流出による災害が生ずるおそれの著しい市街地又は市街地となろうする土地の区域について,国土交通大臣によって指定される。」1-25-1改 |
【正解 :×】国土交通大臣ではなく,都道府県知事等〔指定都市,中核市又は特例市にあっては,指定都市,中核市又は特例市の長〕 |
2.「規制区域の指定は,関係市町村の申し出に基づき,都道府県知事が行う。」 |
【正解 :×】規制区域の指定は,関係市町村長〔特別区の長を含む〕の意見を聴いて,都道府県知事が指定しますが,関係市町村の申し出に基づいて行うのではありません。 |
2.「宅地造成に伴い災害が生じるおそれの大きい市街地又は市街地になろうとする土地の区域であって,宅地造成に関する工事について規制を行う必要があるものについて,都道府県知事がこの法律の目的を達成するために必要があると認めるときは,宅地造成工事規制区域として指定されることがある。」58-25-3改 |
【正解:○】 ◆指定するかどうかは,都道府県知事が必要と認めるかどうかに任されている 『宅地造成に伴い災害が生じるおそれの大きい市街地又は市街地になろうとする土地の区域』は必ず指定されるのではなく,都道府県知事等が宅地造成工事の規制を行う必要があると認めるときに,関係市町村長〔特別区の長を含む〕の意見を聴いて,指定することができる。 |
●類題 |
「都道府県知事は,宅地造成に伴い災害が生ずるおそれの著しい市街地又は市街地になろうとする土地の区域を規制区域に指定しなければならない。」(鑑定士・2次・平成10年) |
【正解 :×】指定することができるのであって,「必ず指定する」のではない。 |
3.「都道府県知事が,宅地造成工事規制区域 として指定できるのは,都市計画区域内の土地の区域に限られる。」9-20-1,類・昭和51年 |
【正解:×】 ◆都市計画区域内には限られない 宅地造成工事規制区域は,都市計画区域の内外を問わず,必要と認めるときに,<宅地造成に伴い災害が生じるおそれの大きい市街地又は市街地になろうとする土地の区域であって,宅地造成に関する工事について規制を行う必要があるもの>に指定することができる。 したがって,「都市計画区域内の土地の区域に限られる」わけではない。 |
●類題 |
「宅地造成工事規制区域は,都市計画法による都市計画区域以外の区域に限って指定することができる。」(昭和51年) |
【正解 :×】都市計画区域外に限るわけではない。 |
4.「宅地造成等規制法によれば,宅地造成工事規制区域は,宅地造成に伴い災害が生ずるおそれの大きい市街地又は市街地となろうとする土地の区域であって,宅地造成に関する工事について規制を行う必要があるものについて指定される。」10-25-1,8-26-1 |
【正解:○】 ◆どこに指定されるか ≪宅地造成に伴い災害が生ずるおそれの大きい≫『市街地又は市街地となろうとする土地』の区域で,宅地造成工事について規制を行う必要があるものに指定される。 |
●類題 |
「規制区域は,宅地造成に伴い,がけくずれ又は土砂の流出を生ずるおそれが著しい土地の区域であれば,どこでも指定することができる。」(昭和51年) |
【正解 :×】『市街地又は市街地になろうとする土地の区域』に限られる。どこでも指定することができるのではない。→人が密集していく土地に土砂災害が生じるのを防ぐ。 |
●関連問題−宅地造成工事規制区域指定の公示 |
「宅地造成規制区域の指定は,都道府県〔指定都市,中核市又は特例市〕の公報により公示される。」(昭和51年改) |
【正解 :○】
宅地造成工事規制区域の指定の公示は,都道府県〔指定都市,中核市又は特例市〕の公報に掲載して行うものとする。 (施行規則2条) |
●宅地造成等規制法の過去問Archives −検索用− |
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