法令上の制限 基礎編
宅地造成等規制法 §3 宅地造成工事規制区域の許可制 (i)誰が許可を受けるか
開発許可申請との区別にも注意。
次のそれぞれの記述は,宅地造成等規制法の規定によれば○か,×か。なお,本問における都道府県知事とは,指定都市,中核市又は特例市にあっては,指定都市,中核市又は特例市の長をいうものとする。 |
1.「宅地造成工事規制区域内の土地において宅地造成に関する工事を行う場合,都市計画法に基づく開発許可を受けて行われ,当該許可の内容に適合したものであるときは,宅地造成等規制法に基づく宅地造成に関する工事の許可を受ける必要はない。」(鑑定士・2次・平成8年) |
2.「宅地造成等規制法によれば,宅地造成工事規制区域内において宅地造成に関する工事を行おうとする造成主は,原則として都道府県知事の許可を受けなければならない。」11-25-2 |
3.「規制区域内において行われる宅地造成に関する工事については,工事施行者は,当該工事に着手する前に,都道府県知事の許可を受けなければならない。」8-26-2 |
4.「宅地造成に関する工事の許可は,当該工事が請負契約の場合にあっては,当該請負契約の注文者が,受けなければならない。」4-25-4 |
●用語の定義 |
■造成主 宅地造成に関する工事の請負契約の注文者又は請負契約によらないで自らその工事をする者。 ■工事施行者 宅地造成に関する工事の請負人又は請負契約によらないで自らその工事をする者。 |
●用語の定義 |
1.請負工事のとき ■造成主 宅地造成に関する工事の請負契約の注文者 ■工事施行者 宅地造成に関する工事の請負人 2.請負工事ではないとき ■造成主 請負契約によらないで自らその工事をする者。 ■工事施行者 請負契約によらないで自らその工事をする者。 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | ○ | × | ○ |
●条文確認 |
(宅地造成に関する工事の許可)
第8条 宅地造成工事規制区域内において行われる宅地造成に関する工事については、造成主は、当該工事に着手する前に、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、都市計画法(昭和43年法律第100号)第29条第1項又は第2項の許可を受けて行われる当該許可の内容(同法第35条の2第5項の規定によりその内容とみなされるものを含む。)に適合した宅地造成に関する工事については、この限りでない。 2 都道府県知事は、前項本文の許可の申請に係る宅地造成に関する工事の計画が次条の規定に適合しないと認めるときは、同項本文の許可をしてはならない。 3 都道府県知事は、第1項本文の許可に、工事の施行に伴う災害を防止するため必要な条件を付することができる。 |
1.「宅地造成工事規制区域内の土地において宅地造成に関する工事を行う場合,都市計画法に基づく開発許可を受けて行われ,当該許可の内容に適合したものであるときは,宅地造成等規制法に基づく宅地造成に関する工事の許可を受ける必要はない。」(鑑定士・2次・平成8年) |
【正解:○】 ◆開発許可を受けたときは宅地造成工事の許可を受けなくてもよい 宅地造成工事規制区域内の土地において宅地造成に関する工事を行う場合,造成主は,原則として,宅地造成等規制法に基づく宅地造成に関する工事の許可を受けなければいけませんが, 都市計画法第29条第1項又は第2項の開発許可を受けて行われる当該許可の内容に適合した宅地造成に関する工事については,宅地造成等規制法に基づく宅地造成に関する工事の許可を受ける必要はありません。 ■造成主 宅地造成に関する工事の請負契約の注文者 |
●類題 |
1.「宅地造成工事規制区域内の土地において宅地造成に関する工事を行う場合,都市計画法の開発許可を受けた者は,宅地造成等規制法の許可を受ける必要はない。」(鑑定士・2次・平成12年改) |
【正解 :○】 |
2.「A所有の都市計画法による市街化区域内の宅地:甲地(面積250平方メートル)をBが取得した場合で,Bが甲地を盛土したうえで住宅を建築しようとするときには,都市計画法第29条の許可(開発許可)を受けなければならない。」(平成13年・問25・肢1) |
【正解 :×】関連問題です。
市街化区域内では,原則として1,000平方メートル未満のものは開発許可は不要。〔三大都市圏では500平方メートル未満。都道府県の規則で300平方メートル未満とすることもできる。〕⇒ 盛土をする場合でもこのことは変わりません。 したがって,本肢では開発許可の必要な規模に達していないので開発許可は不要。 |
2.「宅地造成等規制法によれば,宅地造成工事規制区域内において宅地造成に関する工事を行おうとする造成主は,原則として都道府県知事の許可を受けなければならない。」11-25-2 |
【正解:○】 ◆工事着手前に造成主が許可を得る 宅地造成工事規制区域内において宅地造成に関する工事を行おうとする造成主は,宅地造成工事前に,原則として都道府県知事〔又は指定都市等の長〕の許可を受けなければいけません。(8条1項) なお,都道府県知事〔又は指定都市等の長〕は,許可するときに,工事の施行に伴う災害を防止するため必要な条件を附すことができます。(8条3項)←平成8年出題 |
●類題 |
1.「宅地造成工事規制区域内において行われる宅地造成に関する工事については,当該宅地の所有者,管理者又は占有者は,当該工事に着手する前に,都道府県知事の許可を受けなければならない。」63-26-1 |
【正解 :×】条文上では『造成主』が許可を受けることになっているので出題者は×として設定したものと推測される。 ⇒ イジワル問題。 |
2.「宅地造成工事規制区域内で行われる宅地造成に関する工事については,造成主は,工事着手後21日以内に都道府県知事の許可を受けなければならない。」60-24-4 |
【正解 :×】許可を受けるのは『工事に着手する前』。宅地造成等規制法では『21日以内』というのは,規制区域が指定された際に,現に宅地造成工事を行っている造成主が(指定のあった日から21日以内に)届け出るとき(14条1項)。 |
3.「規制区域内において行われる宅地造成に関する工事については,工事施行者は,当該工事に着手する前に,都道府県知事の許可を受けなければならない。」8-26-2 |
【正解:×】同一問題・3-25-2,59-25-1 ◆工事施工者ではなく造成主 許可を受けるのは「工事施行者」ではなく,「造成主」。確かに,請負工事ではないときは,造成主=工事施行者になりますが,それを考えているとドツボにはまります。ここはスナオに条文上の表現である「許可を受けるのは造成主」だということを思い出さないといけません。 ■造成主 宅地造成に関する工事の請負契約の注文者又は請負契約によらないで自らその工事をする者。 ■工事施行者 宅地造成に関する工事の請負人又は請負契約によらないで自らその工事をする者。 |
4.「宅地造成に関する工事の許可は,当該工事が請負契約の場合にあっては,当該請負契約の注文者が,受けなければならない。」4-25-4 |
【正解:○】 ◆請負では注文者が造成主 本肢では,「請負工事」であることが明示されているので,スナオに「請負工事の場合の造物主は注文者」だとして解答します。 ■造成主 宅地造成に関する工事の請負契約の注文者又は請負契約によらないで自らその工事をする者。 ■工事施行者 宅地造成に関する工事の請負人又は請負契約によらないで自らその工事をする者。 |
●類題 |
1.「宅地造成等規制法によれば,宅地造成工事規制区域内において行われる宅地造成に関する工事の請負人は,工事に着手する前に,原則として都道府県知事の許可を受けなければならない。」13-24-1 |
【正解 :×】請負工事の場合は,「請負契約の注文者」が許可を受けます。「工事の請負人」が許可を受けるのではありません。 |
●文書をもって処分を通知する |
1.「都道府県知事〔指定都市等にあっては,その長。〕は,宅地造成規制区域内において,宅地造成に関する工事の許可の申請があった場合においては,遅滞なく,文書をもって当該申請者に通知することにより,許可又は不許可の処分をしなければならない。」(鑑定士・平成11年) |
【正解 :○】許可又は不許可の通知
10条1項,2項 |
2.「都道府県知事は、法第8条第1項の工事の許可の申請があった場合においては、遅滞なく、文書をもって許可又は不許可の処分を申請者に通知しなければならない。」(宅建・平成18年・問23・肢3) |
【正解 :○】 |
●国・都道府県 |
1.「都道府県が宅地造成規制区域内において宅地造成をする場合には,当該工事について都道府県知事〔指定都市等にあっては,その長。〕との協議が成立することをもって許可があったものとみなす。」(宅建・昭和52年) |
【正解 :○】国又は都道府県の特例
国・都道府県〔指定都市,中核市又は特例市の区域内においては,指定都市,中核市又は特例市〕が規制区域内で宅地造成工事を行う場合には,国・都道府県〔指定都市,中核市又は特例市の区域内においては,指定都市,中核市又は特例市〕と都道府県知事〔指定都市,中核市又は特例市の区域内においては,指定都市,中核市又は特例市の長〕との協議が成立すれば,許可があったものとみなされます。(11条) →“一般の市町村”が除かれていることに注意しましょう。 |
●宅地造成等規制法の過去問Archives −検索用− |
昭和50年,昭和51年,昭和52年,昭和53年,昭和55年,昭和56年,昭和57年,昭和58年,昭和59年,昭和60年,昭和61年,昭和62年,昭和63年,平成元年,平成2年,平成3年,平成4年,平成5年,平成6年,平成7年,平成8年,平成9年,平成10年〜平成14年,平成15年,平成16年,平成17年, |