法令上の制限 基礎編

宅地造成等規制法 §5 宅地造成工事規制区域の許可制 (iii) 許可の要否・一定規模


次のそれぞれの記述は,宅地造成等規制法の規定によれば○か,×か。なお,本問における都道府県知事とは,指定都市,中核市又は特例市にあっては,指定都市,中核市又は特例市の長をいうものとする。

1.「宅地造成工事規制区域内の農地に盛土をして高さ2mのがけを生じる場合,引き続き農地として利用するときは,都道府県知事の許可を受ける必要はないが,宅地に転用するときは,その旨届け出なければならない。」6-25-1

2.「規制区域内の宅地において, 500平方メートルを超える面積について盛土に関する工事をする場合でも,当該宅地を引き続き宅地として利用するときは,都道府県知事の許可を受ける必要はない。」9-20-2

3.「宅地造成工事規制区域内の宅地造成で,切土又は盛土をする土地の面積が700平方メートルの場合は,都道府県知事の許可を必要とする。」(昭和52年)

4.「規制区域内の宅地においで行われる切土による土地の形質の変更に関する工事で,当該宅地に高さ1.5メートルのがけが生じ,かつ,その面積が600平方メートルのときには,造成主は,あらかじめ都道府県知事の許可を受けなければならない。」15-24-2

●宅地造成の定義→ 宅地造成工事の許可を求める要件
 【公式i】〔宅地以外→宅地〕宅地以外の土地を宅地にするため
 行う土地の形質の変更政令に定める一定規模を超えるもの(2条2号)

 【公式ii】 〔宅地→宅地〕宅地において
 行う土地の形質の変更政令に定める一定規模を超えるもの(2条2号)
 〔形質の変更後も宅地であるものに限る。〕

<注意点>宅地造成にならないもの
 → 【系1】宅地を宅地以外のものにするために行うものは宅地造成ではない。
    (『宅地→宅地以外』,『宅地以外→宅地以外』は宅地造成ではない。)

 → 【系2】〔宅地以外→宅地〕又は〔宅地→宅地〕の形質の変更であっても,
       一定規模を下回るものは宅地造成ではない。

●一定規模を超える形質の変更とはどのようなものか−施行令3条
(定義1) 高さ2mを超えるがけを生ずる切土

(定義2) 高さ1mを超えるがけを生ずる盛土

(定義3) 切土盛土を同時にする場合で2mを超えるがけを生ずるもの〔正確には,この中で,盛土をした土地の部分に高さが1m以下のがけを生ずるもの〕

(定義4) (1)〜(3)に該当しなくても,土地の面積が500平方メートルを超えるもの

 ⇒ 許可の要否の単独問題は,昭和50年平成5年の問題を参照してください。

【正解】

× ×

●許可の要否の判定問題の解法
1.土地の形質変更の目的『宅地→宅地以外』,『宅地以外→宅地以外』は許可不要
        ↓ 
2.〔宅地以外→宅地〕,〔宅地→宅地〕のとき 土地の形質変更の規模 面積⇒高さ

  ・高さ2mを超えるがけを生ずる切土
  ・高さ1mを超えるがけを生ずる盛土
  ・切土盛土を同時にする場合で2mを超えるがけを生ずるもの
  ・土地の面積500平方メートルを超えるもの

1.「宅地造成工事規制区域内の農地に盛土をして高さ2mのがけを生じる場合,引き続き農地として利用するときは,都道府県知事の許可を受ける必要はないが,宅地に転用するときは,その旨届け出なければならない。」6-25-1

【正解:×

◆『盛土のみで高さ1メートルを超えるがけ』を生じる場合は許可が必要

●宅地造成を判定する要素
1.<形質変更の目的 : 宅地以外→宅地 にするものか>〔宅地以外→宅地〕

  <形質変更の場所 : 宅地で行われるものか>〔宅地→宅地〕

2.<その形質変更は一定規模を超えるものか>〔一定規模を超えるもの〕

形質変更の目的 :
<宅地以外→宅地にする>
〔宅地以外→宅地〕
  高さ1mを超えるがけを

生ずる盛土

   許可が必要
形質変更の場所 :
<宅地で行われる>
〔宅地→宅地〕

 〔宅地以外→宅地〕,〔宅地→宅地〕で『(定義2) 高さ1mを超えるがけを生ずる盛土』は宅地造成に該当するので許可が必要になります。したがって,本肢では以下のようになります。

 農地〔宅地以外〕→農地〔宅地以外〕 ⇒ 許可は不要 …≪前半≫ 

 農地〔宅地以外〕→宅地 ⇒ 「盛土をして高さ2mのがけを生じる」ので
                   一定規模を超えている。許可が必要 …≪後半≫ ×

●類題
1.「規制区域内の宅地において行われる切土であって,当該切土をした土地の部分に高さ2m以内のがけを生ずることとなるものについては,造成主は,あらかじめ,都道府県知事の許可を受ける必要はない。」(不動産鑑定士・平成9年)
【正解 :

 『宅地において行われる切土』で,都道府県知事の許可が必要なのは,『(定義1) 高さ2mを超えるがけを生ずる切土』です。本肢では,高さ2m以内なので許可は必要ではありません。

2.「規制区域内の宅地において, 500平方メートルを超える面積について盛土に関する工事をする場合でも,当該宅地を引き続き宅地として利用するときは,都道府県知事の許可を受ける必要はない。」9-20-2

【正解:×

◆500平方メートルを超える形質の変更

 〔宅地以外→宅地〕又は〔宅地→宅地〕の形質の変更で,その面積が500平方メートルを超えるならば切土又は盛土によって生じるがけの高さには関係なく,宅地造成に該当し,許可が必要になる。

形質変更の目的 :
<宅地以外→宅地にする>
〔宅地以外→宅地〕
  土地の面積が

500平方メートルを超えるもの

   許可が必要
形質変更の場所 :
<宅地で行われる>
〔宅地→宅地〕

3.「宅地造成工事規制区域内の宅地造成で,切土又は盛土をする土地の面積が700平方メートルの場合は,都道府県知事の許可を必要とする。」(昭和52年)

【正解:

◆500平方メートルを超える形質の変更

 〔宅地以外→宅地〕又は〔宅地→宅地〕の形質の変更で,その面積が500平方メートルを超えるならば切土又は盛土によって生じるがけの高さには関係なく,宅地造成に該当し,許可が必要になる。

形質変更の目的 :
<宅地以外→宅地にする>
〔宅地以外→宅地〕
  土地の面積が

500平方メートルを超えるもの

   許可が必要
形質変更の場所 :
<宅地で行われる>
〔宅地→宅地〕
●類題
1.「宅地造成工事規制区域において宅地造成〔盛土をする土地の面積が500平方メートルを超えるもの〕をしようとする場合は,都道府県知事に届出をしなければならない。」58-25-2
【正解:×】届出ではなく許可を受けなければいけません。

4.「規制区域内の宅地において行われる切土による土地の形質の変更に関する工事で,当該宅地に高さ1.5メートルのがけが生じ,かつ,その面積が600平方メートルのときには,造成主は,あらかじめ都道府県知事の許可を受けなければならない。」15-24-2

【正解:

◆500平方メートルを超える形質の変更

 宅地で行われる形質の変更で,切土によって生じるがけの高さが2mを超えなくても,その面積が500平方メートルを超えるならば,宅地造成に該当し,許可が必要になる。

形質変更の目的 :
<宅地以外→宅地にする>
〔宅地以外→宅地〕
  土地の面積が

500平方メートルを超えるもの

   許可が必要
形質変更の場所 :
<宅地で行われる>
〔宅地→宅地〕

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