法令上の制限 実戦篇

国土利用計画法の過去問アーカイブス 平成2年・問18 ♯


国土利用計画法第23条第1項による土地に関する権利の移転等の届出〔以下この問において「事後届出」という。〕に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成2年・問18)改

1.「から金銭を借り受け,の所有する土地にの抵当権を設定した場合,事後届出を行う必要がある。」

2.「いずれも監視区域・注視区域外の,市街化区域内の土地2,800平方メートルと市街化調整区域内の土地9,000平方メートルを交換した場合,それぞれの土地について,事後届出を行う必要がある。」

3.「農地法第5条第1項の許可を受け,土地に関する権利を売却した場合,事後届出を行う必要がない。」

4.「事後届出を要する面積の土地の所有権を2年後に移転する旨の契約を行い,所有権移転請求権を取得した者が,当該請求権を売却した場合,事後届出を行う必要はない。」

【正解】

× × ×

1.「から金銭を借り受け,の所有する土地にの抵当権を設定した場合,事後届出を行う必要がある。」

【正解:×昭和57年,平成9年

◆抵当権設定は届出不要

 抵当権や質権の設定は「土地の売買等の契約」に該当しないので,届出は不要です。

●金銭債務と国土利用計画法の届出
1.「は市街化区域内に面積2,000平方メートルの土地を所有している。に対して有する金銭債権の担保として,が所有する土地の所有権をに移転する契約を締結した場合〔いわゆる譲渡担保〕には,事後届出をする必要はない。」(昭和61年・問18)改
【正解:×】抵当権設定は届出不要ですが,譲渡担保の設定は届出が必要。
2.「は市街化区域内に面積2,000平方メートルの土地を所有している。が第三者に対して負っている金銭債務をが負担する代わりに土地の所有権をに移転する契約を締結した場合には,事後届出をする必要がある。」(昭和61年・問18)改
【正解:債務の肩代わりや代物弁済による所有権の移転も届出が必要です。
3.「は市街化区域内に面積3,000平方メートルの土地を所有している。から借り入れた金銭債務の担保として,土地について代物弁済の予約を行った場合には,事後届出をする必要がある。」(昭和58年・問17)改
【正解:】予約契約も届出が必要。代物弁済の予約も仮登記担保の設定として行われる。この場合には届出を必要とする。

2.「いずれも監視区域・注視区域外の,市街化区域内の土地2,800平方メートルと市街化調整区域内の土地9,000平方メートルを交換した場合,それぞれの土地について,事後届出を行う必要がある。」

【正解:昭和58年,60年,平成5年,12年

◆交換契約は届出が必要

 届出が必要な「土地売買等の契約」とは,一定の面積以上で,以下の三つともすべて該当するものです。→ひとつでも欠けていると届出の必要はない。

(1) 土地に関する権利の設定または移転〔権利の移転・設定
(2) 対価を得て〔対価〕 ⇒ 対価は必ずしも金銭とは限らない。
(3) 契約によって行われる〔契約

 交換契約はこれに該当するので,事後届出対象面積であれば,事後届出をしなければいけません。(事前届出も同じ。)

 本肢では,市街化区域内の土地・市街化調整区域内の土地とも届出対象面積なので,それぞれの土地について,事後届出を行う必要があります。

面積要件 都市計画区域 市街化区域 2,000平方メートル以上
非線引き都市計画区域 5,000平方メートル以上
市街化調整区域
都市計画区域外 準都市計画区域
両区域外
10,000平方メートル(1 ha)以上

3.「農地法第5条第1項許可を受け,土地に関する権利を売却した場合,事後届出を行う必要はない。」

【正解:×平成15年

◆農地法5条の許可を要する場合は届出が必要

 農地法5条の許可を要するとき〔転用目的での農地・採草放牧地の権利移動〕で面積要件を満たす場合には,事前届出・事後届出とも必要です。

 しかし,農地法第3条の許可を要するとき〔耕作・放牧目的での農地・採草放牧地の権利移動〕には事前届出・事後届出とも必要ではありません。(施行令17条1項,6条7号)

4.「事後届出を要する面積の土地の所有権を2年後に移転する旨の契約を行い,所有権移転請求権を取得した者が,当該請求権を売却した場合,事後届出を行う必要はない。」

【正解:×平成7年

◆所有権移転請求権の売却は届出が必要

 所有権移転請求権を取得した者が,その所有権移転請求権を行使するのは届出の必要な「土地売買等の契約」には該当しないので,改めて届出を行う必要はありません。所有権移転請求権の行使によって土地の所有権を取得する者に変更はないからです。

 しかし,その所有権移転請求権を売却する場合には,改めて届出が必要です。最終的に土地の所有権を取得する者が変わってしまうからです。

所有権移転請求権・予約完結権・買戻権を行使する場合には事前届出・事後届出とも不要ですが,売却する場合は改めて事前届出・事後届出をする必要があります。

届出の要不要の整理

所有権移転請求権・予約完結権・買戻権の契約  事前届出・事後届出とも必要
所有権移転請求権・予約完結権・買戻権を行使  事前届出・事後届出とも不要
所有権移転請求権・予約完結権・買戻権を譲渡  事前届出・事後届出とも必要

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