法令上の制限 実戦篇

国土利用計画法の過去問アーカイブス 平成13年・問16 監視区域・注視区域


国土利用計画法に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成13年・問16)

1.「監視区域内において一定規模以上の面積の土地売買等の契約を締結した場合には,契約締結後2週間以内に届出をしなければならない。」

2.「市町村長は,当該市町村の区域のうち,国土交通大臣が定める基準に該当し,地価の上昇によって適正かつ合理的な土地利用の確保に支障を生ずるおそれがあると認められる区域を,期間を定めて,注視区域として指定することができる。

3.「監視区域内において国土利用計画法の規定に違反して必要な届出をせず,土地売買等の契約を締結した場合には,6月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる。」

4.「注視区域内においては,都道府県の規則で定める面積以上の土地売買等の契約を締結する場合に届出が必要である。」

【正解】

× × ×

1.「監視区域内において一定規模以上の面積の土地売買等の契約を締結した場合には,契約締結後2週間以内に届出をしなければならない。」

【正解:×

◆契約締結の6週間前に届出

 監視区域内では,都道府県〔または指定都市〕の規則で定められた面積以上の土地売買等の契約を締結しようとするときは,事前届出をしなければならず,その届出をした日から起算して6週間を経過するまでの間は,その間に不勧告通知を受けた場合を除いて,契約を締結することができない。(27条の7第1項)

 事実上,契約締結の予定日の6週間前までには事前届出をすることになる。

注視区域内でも同じ。

<契約締結日から起算して2週間以内に届出をしなければならない>のは事後届出の場合。

●関連問題
「監視区域内に所在する土地について売買契約を締結した者は,その土地が届出対象面積未満のものであっても,当該契約の対価,利用目的等について,都道府県知事から報告を求められることがある。」(平成3年・問17・肢3)
【正解:

 監視区域が指定されると当該区域を含む周辺の地域における地価の動向や土地取引の状況等を常時把握するため,都道府県知事〔または指定都市の長〕はこれらに関する調査が義務付けられています。(27条の6第3項)

 この調査を適正に行うため必要があると認めるときは,都道府県知事〔または指定都市の長〕は,面積要件に達していないために事前届出をしなかった者に対して,当該土地売買等の契約及び土地利用について報告を求めることができます。(27条の9)

 ⇒ 届出対象面積未満では事前届出をする必要はないが,契約内容と土地利用目的について,都道府県知事または指定都市の長から,報告を求められることがある。

この規定は監視区域のみの規定であり,注視区域にはありません。

2.「市町村長は,当該市町村の区域のうち,国土交通大臣が定める基準に該当し,地価の上昇によって適正かつ合理的な土地利用の確保に支障を生ずるおそれがあると認められる区域を,期間を定めて,注視区域として指定することができる。

【正解:×

◆指定するのは都道府県知事または指定都市の長

 監視区域・注視区域とも,都道府県知事〔または指定都市の長〕があらかじめ土地利用審査会及び関係市町村の意見を聴いて5年以内の期間を定めて指定する。(27条の6,27条の3)→指定期間が満了する場合において,調査の結果,指定の事由がなくなっていないと認めるときは再指定することができる。

 監視区域・注視区域とも市町村長が指定するのではないので本肢は不適切。

監視区域と注視区域の指定状況

規制区域 国土法の施行以来、指定なし。
注視区域 平成10年9月1日施行後、指定ナシ。
監視区域 平成16年4月1日現在では8都府県(44市町村)⇒ 監視区域の指定状況
●監視区域の指定(第27条の6)
 都道府県知事〔または指定都市の長〕は、当該都道府県〔または当該指定都市〕の区域のうち、地価が急激に上昇し、又は上昇するおそれがあり、これによつて適正かつ合理的な土地利用の確保が困難となるおそれがあると認められる区域規制区域として指定された区域を除く。)を、期間を定めて、監視区域として指定することができる。
●注視区域の指定(第27条の3)
 都道府県知事〔または指定都市の長〕は、当該都道府県〔または当該指定都市〕の区域のうち、地価が一定の期間内に社会的経済的事情の変動に照らして相当な程度を超えて上昇し、又は上昇するおそれがあるものとして国土交通大臣が定める基準に該当し、これによって適正かつ合理的な土地利用の確保に支障を生ずるおそれがあると認められる区域規制区域として指定された区域又は監視区域として指定された区域を除く。)を、期間を定めて、注視区域として指定することができる。

●関連問題
1.「監視区域は,都市計画法に規定する都市計画区域において,土地の投機的取引が相当範囲にわたり集中して行われ,又は行われるおそれがあり,及び地価が急激に上昇し,又は,上昇するおそれがあると認められる区域について,指定する。」(昭和63年・問17・肢1)
【正解:×

 監視区域・注視区域の指定は,都市計画区域内とは限らず,都市計画区域以外の区域でも指定することができる。

 本肢の後半は『規制区域』について述べたもの。なお,規制区域の指定は都市計画区域内に限るのではなく,<上記の事態が生ずると認められる場合において,その事態を緊急に除去しなければ適正かつ合理的な土地利用の確保が著しく困難となると認められる区域>では,都市計画区域以外の区域でも指定することができる。(12条1項2号)

2.「監視区域の指定要件に該当することが明らかであるにもかかわらず,都道府県知事が監視区域を指定しないときは,内閣総理大臣は,都道府県知事に代わって監視区域の指定を行うことができる。」(昭和63年・問17・肢2)原題
【正解:×

 監視区域の指定をすることができるのは都道府県知事または指定都市の長。

規制区域の指定は都道府県知事が指定することができる。指定都市の長は指定することはできない。(12条1項2号,44条)

都道府県知事が国土交通大臣から指示されたのにもかかわらず,正当な理由なく,規制区域の指定・解除・区域の減少をしないときには,国土交通大臣は自ら当該措置を講じることができる。(13条2項)

第13条  国土交通大臣は,土地の投機的取引及び地価の高騰が国民生活に及ぼす弊害を除去し,かつ,適正かつ合理的な土地利用の確保を図るため,国の立場から特に必要があると認めるときは,都道府県知事に対し,期限を定めて,規制区域の指定若しくは指定の解除又はその区域の減少を指示することができる。この場合においては,都道府県知事は,正当な理由がない限り,その指示に従わなければならない

2  国土交通大臣は,都道府県知事が所定の期限までに正当な理由がなく前項の規定により指示された措置を講じないときは,正当な理由がないことについて国土審議会の確認を受けて,自ら当該措置を講ずることができるものとする。

●各区域の指定
1.「国土交通大臣は規制区域を,都道府県知事は監視区域を,市町村長は注視区域をそれぞれ定めることができる。」(不動産鑑定士・平成14年)
【正解:×】規制区域の指定権者は都道府県知事,監視区域・注視区域の指定権者は都道府県知事又は指定都市の長。

3.「監視区域内において国土利用計画法の規定に違反して必要な届出をせず,土地売買等の契約を締結した場合には,6月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる。」

【正解:

◆無届で契約を締結した場合の罰則

 監視区域・注視区域内において国土利用計画法の規定に違反して必要な届出をせず,土地売買等の契約を締結した場合には,契約は有効だが,6月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる。(47条1項)

事前届出違反と勧告に従わなかったときのまとめ 

 事前届出をしないで契約締結  6月以下の懲役または100万円以下の罰金
 事前届出はしたが,
 届出後6週間以内に
 勧告・不勧告の通知を受けないで
 契約締結
 50万円以下の罰金
 勧告に従わずに契約締結  罰則の適用はないが,公表されることがある。

●3月以下の懲役または100万円以下の罰金

 ・事後届出の規定に違反して届出をしなかった者

 ・事前届出の規定に違反して無届で土地売買等の契約を締結した者

 ・事前届出・事後届出について虚偽の届出をした者

●規制区域との対比
1.「規制区域に所在する土地について,都道府県知事の許可を受けずに売買契約を締結した場合,刑罰を課されることはあるが,当該契約は効力を有する。」(平成3年)
【正解:×許可を受けないで締結した契約は無効で,3年以下の懲役または200万円以下の罰金に処せられる。(46条)

4.「注視区域内においては,都道府県の規則で定める面積以上の土地売買等の契約を締結する場合に届出が必要である。」

【正解:×

◆注視区域内の届出対象面積

 注視区域内の届出対象面積は,都道府県の規則で定めるのではなく,国土利用計画法で定めるので,本肢は×

●事前届出が必要な面積
 監視区域  都道府県知事〔または指定都市の長〕が
 都道府県〔または指定都市〕の規則で定めた面積以上(27条の7第1項)
 注視区域  国土利用計画法で定められている面積以上 (27条の4第2項1号)

 都市計画区域 市街化区域2,000平方メートル以上
           その他の都市計画区域内 5,000平方メートル以上
 都市計画区域外 10,000平方メートル(1 ha)以上

監視区域の事前届出対象面積は,以下のように指定区域によって異なっている。

 東京都・小笠原村 都市計画区域内 500平方メートル
 福島県・須賀川市 市街化区域 1,000平方メートル その他2,000平方メートル
 京都府・南山城村 2,000平方メートル

●類題
1.「注視区域内においては,都道府県の規則で定める面積以上の土地売買等の契約を締結する場合に届出が必要である。」(不動産鑑定士・二次・平成13年)

【正解:×】このようなこともあるという見本。鑑定士試験・二次は毎年8月に行われ,宅建は10月。本肢は句読点といい文言といい,何から何まで宅建の問題とソックリ問題。平成13年8月に鑑定士の試験に出題され,平成13年の10月に宅建試験で出題という奇遇。
こんなこともあるんですねぇ。ビックリしました。

2.注視区域内における土地に関する権利の移転等の届出の対象面積は国土利用計画法に定められているが,都道府県知事は,都道府県の規則により引き下げることができる。」(不動産鑑定士・二次・平成11年)

【正解:×】同工異曲の問題です。

 注視区域内の届出対象面積は,国土利用計画法で定められており,都道府県知事は,都道府県の規則により引き下げることはできない。


●国土利用計画法の過去問Archives
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