法令上の制限 実戦篇
国土利用計画法の過去問アーカイブス 平成17年・問17
買いの一団・民事調停法に基づく調停・当事者の一方が国等・勧告のあった取引の効力
国士利用計画法第23条の届出 (以下この問において 「事後届出」 という。) に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(平成17年・問17) |
1.「Aが、市街化区域において、Bの所有する面積3,000平方メートルの土地を一定の計画に基づき1,500平方メートルずつ順次購入した場合、Aは事後届出を行う必要はない。」 |
2.「Cは、市街化調整区域において、Dの所有する面積8,000平方メートルの土地を民事調停法に基づく調停により取得し、その後当該土地をEに売却したが、この場合、CとEはいずれも事後届出を行う必要はない。」 |
3.「甲県が所有する都市計画区域外に所在する面積12,000平方メートルの土地について、10,000平方メートルをFに、2,000平方メートルをGに売却する契約を、甲県がそれぞれF、Gと締結した場合、F、Gのいずれも事後届出を行う必要はない。」 |
4.「事後届出に係る土地の利用目的について、乙県知事から勧告を受けたHが勧告に従わなかった場合、乙県知事は、当該届出に係る土地売買の契約を無効にすることができる。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | ○ | × |
面積要件 | 都市計画区域 | 市街化区域 | 2,000平方メートル以上 |
非線引き都市計画区域 | 5,000平方メートル以上 | ||
市街化調整区域 | |||
都市計画区域外 | 準都市計画区域 両区域外 |
10,000平方メートル(1 ha)以上 |
1.「Aが、市街化区域において、Bの所有する面積3,000平方メートルの土地を一定の計画に基づき1,500平方メートルずつ順次購入した場合、Aは事後届出を行う必要はない。」 |
【正解:×】 ◆買いの一団 同一の利用目的(利用目的が相互に密接な関係も含む。)のために,複数の契約(売買のみとは限らない。例・売買契約と借地権設定など。)によって,複数の土地の権利を取得した場合に,1つ1つの契約で権利取得した土地の面積は面積要件未満でも,全体の土地の面積を合計すると面積要件を満たす場合には,事後届出の対象となる。これを「買いの一団」という。 買いの一団のポイント : 同一の利用目的・計画の一貫性・物理的一体性 本肢の場合,個々の取引では市街化区域での面積要件の2,000平方メートル以上に該当しない1,500平方メートルであるが,2回の取引全体の合計で見ると3,000平方メートルになり,事後届出の必要な面積要件に達するので,Aは事後届出を行う必要がある。買いの一団に該当する場合は権利取得した土地の全体で届出の要否を判断するからである。 したがって,誤りである。 ⇒ 買いの一団については,岡山市のページを参照。 |
2.「Cは、市街化調整区域において、Dの所有する面積8,000平方メートルの土地を民事調停法に基づく調停により取得し、その後当該土地をEに売却したが、この場合、CとEはいずれも事後届出を行う必要はない。」 |
【正解:×】 ◆民事調停で取得した土地の転売 市街化調整区域の面積8,000平方メートルの土地は5,000平方メートル以上に該当するので,面積要件では事後届出対象となる。 Cが民事調停法に基づく調停により取得した時点では,Cは事後届出をする必要はない。民事調停法に基づく調停により取得の場合は,事後届出制は適用されないからである(国土利用計画法23条2項3号)。 しかし,Cから当該土地を取得したEは事後届出を行う必要がある。民事調停で取得した土地を転売した場合の取引については,事後届出は適用除外にはなっていないからである。 したがって,<CとEはいずれも事後届出を行う必要はない。>とする本肢は誤りである。 |
3.「甲県が所有する都市計画区域外に所在する面積12,000平方メートルの土地について、10,000平方メートルをFに、2,000平方メートルをGに売却する契約を、甲県がそれぞれF、Gと締結した場合、F、Gのいずれも事後届出を行う必要はない。」 |
【正解:○】 ◆当事者の一方が国等の場合は届出不要 F,Gのいずれも,甲県から取得しているので面積に関係なく,事後届出をする必要はない。 当事者の一方又は双方が国,地方公共団体その他政令で定める法人(国等)の場合は,事後届出制は適用されないからである(国土利用計画法23条2項3号)。 |
4.「事後届出に係る土地の利用目的について、乙県知事から勧告を受けたHが勧告に従わなかった場合、乙県知事は、当該届出に係る土地売買の契約を無効にすることができる。」 |
【正解:×】 ◆勧告があっても取引は有効 事前届出,事後届出とも,都道府県知事(又は指定都市の長)は,勧告を受けた者が勧告に従わなかったときは,その旨及びその勧告の内容を公表することができるが(国土利用計画法26条,27条の5第4項,27条の8第2項),届出に係る土地売買の契約を無効にすることはできないので,誤り。 ▼都道府県知事(又は指定都市の長)は勧告した場合に,事前届出,事後届出とも,必要があると認めるときは,勧告を受けた者に対し,その勧告に基づいて講じた措置について報告をさせることができる(国土利用計画法25条,27条の5第4項,27条の8第2項)。 |
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