法令上の制限 実戦篇
国土利用計画法の過去問アーカイブス 平成14年・問16 事後届出・不勧告通知
国土利用計画法第23条の届出 (以下,この問において「事後届出」という。) 及び同法第27条の7の届出 (以下,この問において「事前届出」という。) に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。ただし,地方自治法に基づく指定都市の特例については考慮しないものとする。(平成14年・問16) |
1.「Aが所有する市街化区域内の面積3,000平方メートルの土地をBに売却する契約を締結するため事後届出を行う場合で,Bが契約締結日から起算して2週間以内に事後届出を行わなかったとき,Bは6月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる。」 |
2.「Cが所有する監視区域内の面積 10 ha の土地をDに売却する契約を締結しようとして事前届出を行った場合で,届出の日から起算して2週間後に都道府県知事より勧告をしない旨の通知を受けたとき,C及びDはその届出に係る契約を締結することができる。」 |
3.「Eが所有する都市計画区域外の面積 5,000平方メートルの土地をFが賃借し,その対価として権利金を支払う契約がEF間で締結された場合,Fは契約締結日から起算して2週間以内に事後届出を行う必要がある。」 |
4.「Gが行った事後届出に係る土地の利用目的について,都道府県知事が必要な変更をすべきことを勧告した場合で,Gがその勧告に従わなかったときは,その旨及びその勧告の内容を公表されることがある。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | ○ | × | ○ |
●事後届出
面積要件 | 都市計画区域 | 市街化区域 | 2,000平方メートル以上 |
非線引き都市計画区域 | 5,000平方メートル以上 | ||
市街化調整区域 | |||
都市計画区域外 | 準都市計画区域 両区域外 |
10,000平方メートル(1 ha)以上 |
1.「Aが所有する市街化区域内の面積3,000平方メートルの土地をBに売却する契約を締結するため事後届出を行う場合で,Bが契約締結日から起算して2週間以内に事後届出を行わなかったとき,Bは6月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる。」 |
【正解:○】 ◆届出義務違反は6月以下の懲役または100万円以下の罰金 市街化区域内で面積3,000平方メートルなので事後届出を必要とする。事後届出は契約締結日から起算して2週間以内にすることになっているので,Bは国土法23条1項の規定に違反する。この場合は,6月以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる。(47条1号)
|
●関連問題 |
「事後届出は,土地の所在する市町村の長を経由して都道府県知事にしなければならないが,土地が指定都市<注>に所在する場合には,指定都市の長にしなければならない。」(昭和56年)
<注>指定都市=地方自治法の大都市に関する特例の適用のある政令指定都市をいう。 |
【正解:○】 本肢の記述のとおり。 |
2.「Cが所有する監視区域内の面積 10 ha の土地をDに売却する契約を締結しようとして事前届出を行った場合で,届出の日から起算して2週間後に都道府県知事より勧告をしない旨の通知を受けたとき,C及びDはその届出に係る契約を締結することができる。」 |
【正解:○】類題・平成4年 ◆事前届出後の6週間以内‐勧告しない旨の通知を受けたら契約を締結できる。 監視区域では,都道府県の規則で定められた面積以上の土地売買等の契約を締結しようとする場合に事前届出を必要とするが,原則として,事前届出をした後6週間を経過するまでの間は契約を締結することはできない。ただし,勧告しない旨の通知を受けたときは,届出後6週間以内でも契約を締結することができる。(27条の7第1項) ▼監視区域の27条の7第1項の規定は注視区域内でも同じである。(27条の4第3項) ▼監視区域・注視区域とも,都道府県知事は,勧告をする必要がないと認めたときは遅滞なくその旨を事前届出をした者に通知しなければならない。(27条の8第2項,27条の5第3項) ▼監視区域・注視区域とも,事前届出後6週間以内に,勧告も勧告しない旨の通知も受けていないのに契約が締結されると50万円以下の罰金に処せられるが,契約は有効。(48条)→勧告に従わなかったときに公表はされるが罰則がないことと対比せよ。 |
●類題 |
1.「土地の売買について事前届出をした者は,都道府県知事から勧告しない旨の通知を受けた場合であっても,届出をした日から起算して6週間経過するまでは,その売買契約を締結することはできない。」(平成4年・問16・肢4)改 |
【正解:×】勧告しない旨の通知が来ているのに6週間が経過するのを待つのは不要。 |
2.「勧告は,事前届出が行われた日から起算して6週間以内に行わなければならないこととされているので,その期間内に勧告が行われなかった場合には,土地売買等の契約を締結しても差し支えない。」(昭和54年)改,同問題が昭和59年にも出題されている。 |
【正解:○】事前届出に対する勧告は届出があった日から起算して6週間以内にしなければいけないものとされているので,その期間内に勧告がなければ契約を締結することができる。(27条の5第2項,27条の8第2項)
●事後届出の勧告との対比 |
●規制区域との対比 |
3.「都道府県知事が,国土利用計画法に定める規制区域に所在する土地に関する権利の移転の許可申請に対して,6週間以内に許可又は不許可の処分をしなかった場合には,その翌日において不許可の処分があったものとみなす。」(昭和53年) |
【正解:×】 6週間が経過しても処分がなかった場合には,6週間の期間満了の翌日において<許可の処分があったものとみなすものとみなす>。(17条2項)
「不許可の処分があったものとみなす」のではない。 |
3.「Eが所有する都市計画区域外の面積 5,000平方メートルの土地をFが賃借し,その対価として権利金を支払う契約がEF間で締結された場合,Fは契約締結日から起算して2週間以内に事後届出を行う必要がある。」 |
【正解:×】 ◆都市計画区域外の面積要件は1万平方メートル〔1 ha〕以上 賃借権設定の対価として権利金等がある場合は国土法の事前・事後届出の対象となるが,都市計画区域外の届出面積対象は10,000平方メートル(1 ha)以上である。したがって,本肢の場合は事後届出は不要である。
▼国土利用計画法の事後届出,注視区域では,「市街化区域」,「市街化区域を除く 都市計画区域」〔=市街化調整区域,非線引き都市計画区域〕,「それ以外の区域」の3つの区域分類しかなく,準都市計画区域内の土地は,「それ以外の区域内の土地」として,10,000平方メートルが届出対象面積となる。 |
4.「Gが行った事後届出に係る土地の利用目的について,都道府県知事が必要な変更をすべきことを勧告した場合で,Gがその勧告に従わなかったときは,その旨及びその勧告の内容を公表されることがある。」(類題・平成11年) |
【正解:○】 ◆勧告に従わなかったときは公表されることがある。 事前届出・事後届出とも都道府県知事〔または指定都市の長〕から勧告を受けたのにもかかわらず,従わなかったときはその旨及びその内容について公表されることがある。〔罰則はない。また従わなかった場合でも契約は有効である。〕(26条,27条の5第4項,27条の8第2項)
●事後届出での勧告と助言−従わなかった場合の比較
都道府県知事は,事後届出をした者に対して,土地の利用目的について,当該土地を含む周辺の地域の適正かつ合理的な土地利用を図るために必要な助言をすることができる。(27条の2) |
●関連問題 | |
1.「都道府県知事は,国土利用計画法23条の届出に係る事項について勧告を行った場合,その内容を速やかに公表しなければならない。」(昭和59年・問17・肢3) | |
【正解:×】<勧告に従わないときはその旨及びその内容を公表することができる>のであって,勧告したら必ず公表しなければいけないということではない。 | |
2.「都道府県知事は,事後届出をした者に対し勧告をした場合において,必要があると認めるときは,その勧告を受けた者に対し,その勧告に基づいて講じた措置について報告をさせることができる。」 | |
【正解:○】本肢の記述のとおり。(25条)
|
●国土利用計画法の過去問Archives |
【平成10年法施行後の過去問】 平成11年・問16,平成12年・問16,平成13年・問16,平成14年・問16,平成15年・問16,平成16年・問16,平成17年・問17,平成18年・問17,平成19年・問17,平成20年・問17, |
【平成10年法施行前の問題】法改正対応しているため事実上の新作問題 昭和50年,昭和50年,昭和54年,昭和55年,昭和56年,昭和57年,昭和58年,昭和59年,昭和60年,昭和61年,昭和62年,昭和63年,平成元年,平成2年問17,平成2年問18,平成3年,平成4年,平成5年,平成6年,平成7年,平成8年,平成9年,平成10年, |