法令上の制限 実戦篇
国土利用計画法の過去問アーカイブス 昭和58年・問17 届出の要否
Aは,市街化区域内 (注視区域内) に面積3,000平方メートルの一団の土地 (以下「甲地」という。) を所有している。甲地に係る土地取引について,国土利用計画法第27条の4第1項の規定による土地に関する権利の移転等の届出 (以下「事前届出」という。) が必要であるか否かに関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(昭和58年・問17) |
1.「甲地をBが所有している土地と交換しようとする場合など対価が金銭以外のものであるときには,事前届出をする必要はない。」 |
2.「甲地をBに贈与しようとする場合には,事前届出をする必要がある。」 |
3.「AがBから借り入れた金銭債務の担保として,甲地について代物弁済の予約を行おうとする場合には,事前届出をする必要がある。」 |
4.「甲地が1,000平方メートルずつ3筆に分けて登記されており,それぞれB,C,Dと売買契約を締結しようとする場合には,事前届出をする必要はない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | ○ | × |
●届出の要否の判定 |
届出が必要な土地に関する権利の移転及び設定の契約は,事前届出〔両当事者が届出〕・事後届出〔権利取得者が届出〕とも同じです。〔面積要件は,事後届出と注視区域の事前届出は同じ。監視区域で届出が必要な面積は,都道府県の規則で定められる。〕 |
■事後届出・注視区域の事前届出の面積要件
面積要件 | 都市計画区域 | 市街化区域 | 2,000平方メートル以上 |
非線引き都市計画区域 | 5,000平方メートル以上 | ||
市街化調整区域 | |||
都市計画区域外 | 準都市計画区域 両区域外 |
10,000平方メートル(1 ha)以上 |
1.「甲地をBが所有している土地と交換しようとする場合など対価が金銭以外のものであるときには,事前届出をする必要はない。」 |
【正解:×】 ◆交換契約−届出が必要 交換契約 (対価が金銭以外のもの) は,「土地に関する権利の,対価の授受を伴って,移転・設定する契約」に該当するので,届出が必要です。 |
2.「甲地をBに贈与しようとする場合には,事前届出をする必要がある。」 |
【正解:×】 ◆贈与−届出不要 贈与は「対価の授受を伴わない」権利移転なので,原則として届出は不要です。 ▼農地法の許可−農地法では,使用収益権の設定・移転については,有償・無償を問わず,第3条の許可が必要です。したがって,贈与でも許可が必要になります。 → 農地法は農業生産力を維持するためのものだから。
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3.「AがBから借り入れた金銭債務の担保として,甲地について代物弁済の予約を行おうとする場合には,事前届出をする必要がある。」 |
【正解:○】 ◆代物弁済予約−届出が必要 代物弁済予約は,土地の所有権の移転を伴うものであることから,「土地に関する権利の,対価の授受を伴って,移転・設定する契約」に該当するので,届出が必要です。〔代物弁済も対価の授受を伴って土地の所有権が移転することになるので届出が必要。〕 |
4.「甲地が1,000平方メートルずつ3筆に分けて登記されており,それぞれB,C,Dと売買契約を締結しようとする場合には,事前届出をする必要はない。」 |
【正解:×】 ◆売りの一団−届出が必要 一団の土地を複数の取引で売却する場合に,一回の取引では事前届出の面積要件に達していなくても,全体として事前届出の面積要件に達していれば,買主・売主とも当事者として事前届出をしなければなりません。登記が分かれていてもこのことに変わりはありません。 甲地が3筆に分かれて登記されていても,『甲地全体』では3,000平方メートルなので,届出対象面積の「2000平方メートル以上」に該当することから,AとB,AとC,AとDは当事者としてそれぞれの売買契約について事前届出をしなければいけません。 |
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