法令上の制限 実戦篇
国土利用計画法の過去問アーカイブス 昭和63年・問17 ♯
国土利用計画法に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(昭和63年・問17)改 |
1.「監視区域は,都市計画法に規定する都市計画区域において,土地の投機的取引が相当範囲にわたり集中して行われ,又は行われるおそれがあり,及び地価が急激に上昇し,又は,上昇するおそれがあると認められる区域について,指定する。」 |
2.「監視区域の指定要件に該当することが明らかであるにもかかわらず,都道府県知事が監視区域を指定しないときは,国土交通大臣は,都道府県知事に代わって監視区域の指定を行うことができる。」改 |
3.「監視区域が指定され,事前届出の対象面積が500平方メートル以上になった場合,当該区域においては,遊休土地である旨の通知の対象となる土地の面積の要件も,500平方メートル以上に引き下げられたことになる。」 |
4.「国土利用計画法第23条第1項の規定に違反して,土地売買等の契約を締結したにもかかわらず事後届出をしなかったときは,6月以下の懲役に処せられることがある。」改 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | × | ○ |
1.「監視区域は,都市計画法に規定する都市計画区域において,土地の投機的取引が相当範囲にわたり集中して行われ,又は行われるおそれがあり,及び地価が急激に上昇し,又は,上昇するおそれがあると認められる区域について,指定する。」 |
【正解:×】 ◆監視区域が指定される要件 本肢には,二つの誤りがあります。(赤字と青字の部分。) まず,前半部分。監視区域は都市計画区域にのみ指定されるのではありません。監視区域・注視区域の指定は,都市計画区域内とは限らず,都市計画区域以外の区域でも指定することができます。 また本肢の後半は『規制区域』について述べたものです。監視区域の指定要件は下記参照。 ▼規制区域の指定も都市計画区域内に限られるのではなく,<上記の事態が生ずると認められる場合において,その事態を緊急に除去しなければ適正かつ合理的な土地利用の確保が著しく困難となると認められる区域>では,都市計画区域以外の区域でも指定することができる。(12条1項2号) ●監視区域と注視区域の指定状況
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●監視区域の指定(第27条の6) |
都道府県知事〔または指定都市の長〕は、当該都道府県〔または当該指定都市〕の区域のうち、地価が急激に上昇し、又は上昇するおそれがあり、これによつて適正かつ合理的な土地利用の確保が困難となるおそれがあると認められる区域(規制区域として指定された区域を除く。)を、期間を定めて〔5年以内〕、監視区域として指定することができる。 |
●注視区域の指定(第27条の3) |
都道府県知事〔または指定都市の長〕は、当該都道府県〔または当該指定都市〕の区域のうち、地価が一定の期間内に社会的経済的事情の変動に照らして相当な程度を超えて上昇し、又は上昇するおそれがあるものとして国土交通大臣が定める基準に該当し、これによって適正かつ合理的な土地利用の確保に支障を生ずるおそれがあると認められる区域(規制区域として指定された区域又は監視区域として指定された区域を除く。)を、期間を定めて〔5年以内〕、注視区域として指定することができる。 |
●規制区域の指定・監視区域の指定 |
1.「都道府県知事が規制区域として指定することができる区域は,既に監視区域として指定されている区域に限る。」(不動産鑑定士・平成15年) |
【正解:×】このような規定はありません。 |
2.「都道府県知事は,監視区域を指定しようとする場合には,あらかじめ,土地利用審査会及び関係市町村の意見を聴くとともに,内閣総理大臣の承認を受けなければならない。」(不動産鑑定士・平成7年) |
【正解:×】都道府県知事〔または指定都市の長〕は,監視区域を指定しようとする場合には,あらかじめ,土地利用審査会及び関係市町村の意見を聴くとともに(27条の6第2項),監視区域を指定する公告をしたときは国土交通大臣に報告をしなければいけません。(27条の6第3項) ▼このことは注視区域でも同じです。(27条の3第2項・第3項) |
3.「都道府県知事が監視区域の指定を解除しようとするときは土地利用審査会の意見を聴く必要はない。」(不動産鑑定士・平成9年) |
【正解:×】都道府県知事〔または指定都市の長〕が監視区域の指定を解除しようとするときも,あらかじめ,土地利用審査会及び関係市町村の意見を聴くことになっています。(27条の6第4項) |
2.「監視区域の指定要件に該当することが明らかであるにもかかわらず,都道府県知事が監視区域を指定しないときは,国土交通大臣は,都道府県知事に代わって監視区域の指定を行うことができる。」改 |
【正解:×】関連・平成13年 ◆監視区域を指定するのは都道府県知事又は指定都市の長 監視区域の指定をすることができるのは都道府県知事または指定都市の長です。本肢も肢1と同じく,規制区域の規定との混同を狙った問題です。 ▼規制区域の指定は都道府県知事が指定することができる。指定都市の長は指定することはできない。(12条1項2号,44条) ▼都道府県知事が国土交通大臣から指示されたのにもかかわらず,正当な理由なく,規制区域の指定・解除・区域の減少をしないときには,国土交通大臣は自ら当該措置を講じることができる。(13条2項)
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●各区域の指定権者 |
1.「国土交通大臣は規制区域を,都道府県知事は監視区域を,市町村長は注視区域をそれぞれ定めることができる。」(不動産鑑定士・平成14年)改 |
【正解:×】規制区域の指定権者は都道府県知事,監視区域・注視区域の指定権者は都道府県知事又は指定都市の長。 |
3.「監視区域が指定され,事前届出の対象面積が500平方メートル以上になった場合,当該区域においては,遊休土地である旨の通知の対象となる土地の面積の要件も,500平方メートル以上に引き下げられたことになる。」 |
【正解:×】 ◆遊休土地の通知の面積要件 土地売買等の契約締結後も,事前届出・事後届出〔監視区域・注視区域〕・許可〔規制区域〕の後に有効利用されているかチェックする必要があります。このため,国土利用計画法では,都道府県知事〔または指定都市の長〕は,届出又は許可を受けて土地を取得してから2年が経過したときに,『土地が住宅や事業の用に供されていない』等の一定の要件に該当するものについて,<当該土地が遊休土地である旨の通知>をして土地の有効利用を促すことになっています。(28条) 遊休土地であるための面積要件は各区域によって異なります。監視区域・注視区域・無指定区域では,原則として届出を必要とする面積ですが,監視区域には例外があります。 監視区域での届出対象面積が以下の面積未満であるときには以下の面積以上が遊休土地である旨の通知対象になります。(28条1項1号ロ)
したがって,本肢の<事前届出の対象面積が500平方メートル以上になった場合は,遊休土地である旨の通知の対象となる土地の面積の要件も,500平方メートル以上に引き下げられたことになる>という記述は誤りです。 ▼本肢での事前届出の対象面積は500平方メートル以上になっていますが,この場合,遊休土地である旨の通知対象は,市街化区域で1,000平方メートル以上,市街化調整区域・非線引き都市計画区域で3,000平方メートル以上,都市計画区域以外の区域で5,000平方メートル以上です。 |
4.「国土利用計画法第23条第1項の規定に違反して,土地売買等の契約を締結したにもかかわらず事後届出をしなかったときは,6月以下の懲役に処せられることがある。」改 |
【正解:○】 ◆届出義務違反は6月以下の懲役または100万円以下の罰金 事後届出は契約締結日から起算して2週間以内にすることになっています。この規定に違反した場合は,6月以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。(47条1号)→ 本肢では懲役のみで罰金刑が言及されていませんが,<6月以下の懲役に処せられることがある>として『懲役が科される場合がある』としているので○です。 ●契約の効力と刑罰の比較
註 規制区域内の土地の売買等の契約には都道府県知事の許可が必要です。 |
●国土利用計画法の過去問Archives |
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