法令上の制限 実戦篇
国土利用計画法の過去問アーカイブス 昭和60年・問16
Aは,市街化区域内 (注視区域内) に面積2,000平方メートルの一団の土地 (以下この問において「甲地」という。) を所有している。甲地に係るBとの土地取引について,国土利用計画法第27条の4第1項の届出 (以下この問において「事前届出」という。) に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(昭和60年・問16) |
1.「甲地の売買に関する事前届出の時点で甲地の利用目的が決定していない場合には,届出書に甲地の利用目的を記載しなくてよい。」 |
2.「BがAに対して有する金銭債権の担保として,甲地について代物弁済の予約を行おうとする場合には,事前届出をする必要がない。」 |
3.「甲地について,既に届け出た予約対価の額を減額して売買契約を締結しようとするときは,改めて事前届出をする必要はない。」 |
4.「甲地をBが所有している土地と交換しようとする場合には,事前届出をする必要はない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | ○ | × |
●届出の要否の判定 |
届出が必要な土地に関する権利の移転及び設定の契約は,事前届出〔両当事者が届出〕・事後届出〔権利取得者が届出〕とも同じです。〔面積要件は,事後届出と注視区域の事前届出は同じ。監視区域で届出が必要な面積は,都道府県の規則で定められる。〕 |
■事後届出・注視区域の事前届出の面積要件
面積要件 | 都市計画区域 | 市街化区域 | 2,000平方メートル以上 |
非線引き都市計画区域 | 5,000平方メートル以上 | ||
市街化調整区域 | |||
都市計画区域外 | 準都市計画区域 両区域外 |
10,000平方メートル(1 ha)以上 |
1.「甲地の売買に関する事前届出の時点で甲地の利用目的が決定していない場合には,届出書に甲地の利用目的を記載しなくてよい。」 |
【正解:×】 ◆届出書の記載事項−土地の利用目的・予定対価の額 「事前届出の時点で甲地の利用目的が決定していない場合には,届出書に甲地の利用目的を記載しなくてよい」とする本肢は誤りです。 事前届出の記載事項は以下のものです。(27条の4第1項,27条の7第1項,15条1項)(→事後届出では,契約の締結日も記載。)
▼事前届出・事後届出とも,届出書の正本及び副本を提出します。(施行規則20条の3第1項), ▼事後届出でも,土地の利用目的だけでなく,権利の移転又は設定の対価の額〔金銭以外のものの場合は,時価を基準として金銭に見積もった額〕も届出書に記載することに注意してください。 |
2.「BがAに対して有する金銭債権の担保として,甲地について代物弁済の予約を行おうとする場合には,事前届出をする必要がない。」 |
【正解:×】 ◆代物弁済予約−届出が必要 代物弁済予約は,土地の所有権の移転を伴うものであることから,「土地に関する権利の,対価の授受を伴って,移転・設定する契約」に該当するので,届出が必要です。〔代物弁済も対価の授受を伴って土地の所有権が移転することになるので届出が必要。〕 ▼代物弁済予約とは,売買の予約や停止条件付代物弁済契約〔債務不履行を停止条件とする〕と並んで,仮登記担保といわれるものの一つです。債務の弁済がない場合に,所有権を移転するという形式をとります。 仮登記担保・・・債務の弁済がない場合に,所有権が移転する。 譲渡担保・・・あらかじめ所有権を移転して,債務の弁済があったときに所有権が設定 |
3.「甲地について,既に届け出た予約対価の額を減額して売買契約を締結しようとするときは,改めて事前届出をする必要はない。」 |
【正解:○】 ◆減額変更では再度の事前届出は不要 事前届出をした後で,土地の利用目的を変更したり,設定の予定対価の額を増額変更して契約を締結しようとするときは再度の事前届出が必要ですが,減額のみの変更の場合,再度の届出は必要ではありません。 |
4.「甲地をBが所有している土地と交換しようとする場合には,事前届出をする必要はない。」 |
【正解:×】 ◆交換契約−届出が必要 交換契約 (対価が金銭以外のもの) は,「土地に関する権利の,対価の授受を伴って,移転・設定する契約」に該当するので,届出が必要です。 |
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