法令上の制限 実戦篇
国土利用計画法の過去問アーカイブス 昭和50年 事前届出と勧告・罰則
国土利用計画法の注視区域における土地に関する権利の移転等の届出〔以下,事前届出という。〕に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(昭和50年) |
1.「事前届出について,都道府県知事から取引中止の勧告を受けた条件については,届出に係る当該契約は効力を生じない。」 |
2.「事前届出が必要な土地取引については,届出者は,当該契約の締結前に届出をしなければならず,届出前に契約を締結した場合には,罰則の規程が適用される。」 |
3.「勧告に基づき事前届出に係る契約の締結を中止した土地所有者は,都道府県知事に対して当該土地に関する権利を買い取るべきことを請求することができ,都道府県知事は,当該土地に関する権利を買い取らなければならない。」 |
4.「都道府県知事は,事前届出に係る事項について,取引価額と土地の利用目的の両面から審査を行い,取引価額と土地の利用目的の双方が不適当な案件に限り,取引中止等の勧告を行う。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | × | × |
1.「事前届出について,都道府県知事から取引中止の勧告を受けた条件については,届出に係る当該契約は効力を生じない。」 |
【正解:×】 ◆勧告を受けても契約は有効 取引中止等の勧告は契約の効力を止めることはできないので,取引中止の勧告を受けても,事前届出に係る当該契約の効力は有効です。また,勧告を無視して契約を締結しても契約そのものは有効であり,罰則の適用もありませんが,都道府県知事・指定都市の長は勧告に従わない旨及び勧告内容を公表できます。)〔これは,注視区域・監視区域とも同じです。〕 ●事前届出と契約の効力
▼規制区域内の土地の場合,許可を受けずに締結された契約は無効です。 |
2.「事前届出が必要な土地取引については,届出者は,当該契約の締結前に届出をしなければならず,届出前に契約を締結した場合には,罰則の規程が適用される。」 |
【正解:○】 ◆事前届出をしないで契約を締結→6ヵ月以下の懲役または100万円以下の罰金 注視区域に所在する土地について一定規模以上の土地売買等の契約を締結しようとする場合には,当事者は,所定の事項を,当該土地が所在する市町村の長を経由して,あらかじめ,都道府県知事に届け出なければなりません。 事前届出をする前に契約を締結した場合には,罰則の規程が適用され,6ヵ月以下の懲役または100万円以下の罰金が課されます。〔これは,注視区域・監視区域とも同じです。〕 ●罰則と契約の効力
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3.「勧告に基づき事前届出に係る契約の締結を中止した土地所有者は,都道府県知事に対して当該土地に関する権利を買い取るべきことを請求することができ,都道府県知事は,当該土地に関する権利を買い取らなければならない。」 |
【正解:×】昭和50年,昭和54年,平成元年, ◆勧告に基づいて契約の締結を中止→買取請求はできない 規制区域内の土地の権利を有している者が,契約締結について不許可処分を受けた場合には,買取請求をすることができますが,事前届出の場合では,勧告に基づき契約の締結を中止しても買取請求をすることはできません。 『都道府県知事や指定都市の長は,事前届出についての勧告に基づき契約の締結が中止された場合に必要があると認めるときは,当該土地に関する権利の処分についてのあっせんその他の措置を講ずるよう努めなければならない』という規定と『規制区域での買取請求』をしっかり区別してください。 |
4.「都道府県知事は,事前届出に係る事項について,取引価額と土地の利用目的の両面から審査を行い,取引価額と土地の利用目的の双方が不適当な案件に限り,取引中止等の勧告を行う。」 |
【正解:×】 ◆取引価額・土地の利用目的のどちらか一方でも勧告できる 都道府県知事または指定都市の長は,事前届出があった場合に,取引価額や土地の利用目的等について審査を行い,取引価額と土地の利用目的等のいずれかに当該土地を含む周辺の地域の適正かつ合理的な土地利用を図るために著しい支障があると認めるときは,土地利用審査会の意見を聴いて,当該土地売買等の契約の締結を中止すべきことその他その届出に係る事項について必要な措置を講ずべきことを勧告することができます。 したがって,<取引価額と土地の利用目的の双方が不適当な案件に限り,取引中止等の勧告を行う>とする本肢は誤りです。 |
●条文確認 |
(注視区域における土地売買等の契約に関する勧告等) 第27条の5 都道府県知事は、前条第1項の規定による届出があつた場合において、その届出に係る事項が次の各号のいずれかに該当し当該土地を含む周辺の地域の適正かつ合理的な土地利用を図るために著しい支障があると認めるときは、土地利用審査会の意見を聴いて、その届出をした者に対し、当該土地売買等の契約の締結を中止すべきことその他その届出に係る事項について必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。 一 届出に係る土地に関する権利の移転又は設定の予定対価の額が、近傍類地の取引価格等を考慮して政令で定めるところにより算定した土地に関する権利の相当な価額(その届出に係る土地が地価公示法第二条第一項 に規定する公示区域に所在し、かつ、同法第六条 の規定による公示価格を取引の指標とすべきものである場合において、その届出に係る土地に関する権利が所有権であるときは、政令で定めるところにより同条 の規定による公示価格を規準として算定した所有権の価額)に照らし、著しく適正を欠くこと。 二 届出に係る土地に関する権利の移転又は設定後における土地の利用目的が土地利用基本計画その他の土地利用に関する計画に適合しないこと。 三 届出に係る土地に関する権利の移転又は設定後における土地の利用目的が、道路、水道その他の公共施設若しくは学校その他の公益的施設の整備の予定からみて、又は周辺の自然環境の保全上、明らかに不適当なものであること。 2 前項の規定による勧告は、前条第1項の規定による届出があつた日から起算して6週間以内にしなければならない。 3 都道府県知事は、第一項の規定による勧告をする必要がないと認めたときは、遅滞なく、その旨を前条第一項の規定による届出をした者に通知しなければならない。 |
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