法令上の制限 実戦篇

国土利用計画法の過去問アーカイブス 平成2年・問17 ♯


国土利用計画法による権利の移転等の届出に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成2年・問17)改

1.「土地所有者の業務に関し,の代理人として,国土利用計画法の規定に違反して,事前届出をしないで土地の売買契約を締結した場合,が6月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられることがあるほか,も100万円以下の罰金に処せられることがある。」

2.「が事前届出をし,勧告しない旨の通知を受けたが,事情により契約を締結できなくなった後,その届出に係る土地について,同一の対価及び利用目的で,と権利移転の契約を締結する場合,改めて事前届出を行う必要はない。」

3.「土地所有権移転の予約をした後,その予約完結権を行使して所有権を移転する場合,予約完結権を行使する旨の事前届出が必要である。」

4.「事前届出は,監視区域に所在する一定面積以上の土地について必要であり,監視区域外に所在する土地については,その必要はない。」

【正解】

× × ×

1.「土地所有者の業務に関し,の代理人として,国土利用計画法の規定に違反して,事前届出をしないで土地の売買契約を締結した場合,が6月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられることがあるほか,も100万円以下の罰金に処せられることがある。」

【正解:

◆両罰規定

 代理人が事前届出をしないで土地の売買契約を締結した場合,代理人は『6月以下の懲役又は100万円以下の罰金』,本人は『100万円以下の罰金』。代理人の行為については以下のように両罰規定が適用されます。

●両罰規定−国土利用計画法50条
国土利用計画法に違反して代理人が罰則〔懲役又は罰金〕を受けるときは,本人〔または法人〕も罰金刑が科される。

 ⇒ 代理人は『○○の懲役又は○○の罰金』,本人は『○○の罰金』(46条,47条)
 ⇒ 代理人は『○○の罰金』,本人は『○○の罰金』(48条,49条)

■■許可,事前届出,事後届出に関する罰則のまとめ■■

●3年以下の懲役または200万円以下の罰金(46条)

 ・許可を受けないで,規制区域内の土地の売買等の契約を締結した者

●6月以下の懲役または100万円以下の罰金(47条)

 ・事後届出の規定に違反して届出をしなかった者

 ・事前届出の規定に違反して無届で土地売買等の契約を締結した者

 ・事前届出・事後届出について虚偽の届出をした者

●50万円以下の罰金(48条)

 ・事前届出をした日から起算して6週間以内に,勧告・不勧告の通知がないのに,
 土地売買等の契約をした者

●30万円以下の罰金(49条1項)

 ・都道府県知事は,勧告をした場合において必要があると認めるときは,事後届出または事前届出をした者に対して,その勧告に基づいて講じた措置について報告をさせることができる。(25条,27条の5第4項,27条の8第2項)

 この報告をせず,または虚偽の報告をした者

2.「が事前届出をし,勧告しない旨の通知を受けたが,事情により契約を締結できなくなった後,その届出に係る土地について,同一の対価及び利用目的で,と権利移転の契約を締結する場合,改めて事前届出を行う必要はない。」

【正解:×類題・利用目的の変更=平成7年

◆当事者の変更は改めて届出が必要

 監視区域・注視区域では,すでに事前届出をして勧告を受けなかった場合に,当事者が変更になったり予定対価を増額したり利用目的の変更をして契約を締結しようとするときには,改めて事前届出が必要です。

 本肢では,契約の当事者が<>から<>に変わっているので,事前届出が必要になります。したがって,本肢は×です。

3.「土地所有権移転の予約をした後,その予約完結権を行使して所有権を移転する場合,予約完結権を行使する旨の事前届出が必要である。」

【正解:×

◆予約完結権・買戻し権・所有権移転請求権などの形成権の行使

 本肢では,事前届出をした日から6週間が経過して予約契約が締結されたことが前提になっています。

 予約完結権の行使については,土地所有権移転の予約契約と同一内容〔当事者・利用目的・対価の増額などがなければ〕であれば,事前届出ですでにチェックされているために,改めて再届出の必要はありません。

形成権(所有権移転請求権・予約完結権・買戻権・取消権・解除権)の行使,停止条件付売買で届出後に条件成就の場合は事前届出・事後届出とも必要はありません。

 ただし,所有権移転請求権(平成2年・平成7年)・予約完結権・買戻し権を譲渡した場合には,改めて届出をしなければいけないのでご注意を。

届出の要不要の整理

所有権移転請求権・予約完結権・買戻権の契約  事前届出・事後届出とも必要
所有権移転請求権・予約完結権・買戻権を行使  事前届出・事後届出とも不要
所有権移転請求権・予約完結権・買戻権を譲渡  事前届出・事後届出とも必要
●類題
「予約契約を締結した場合には,事後届出を行う必要はないが,当該契約に基づく予約完結権を行使した場合には事後届出を行う必要がある。」(不動産鑑定士・平成11年)

【正解:×】予約契約を締結した場合には届出が必要で,予約完結権の行使の場合には届出は不要。

4.「事前届出は,監視区域に所在する一定面積以上の土地について必要であり,監視区域外に所在する土地については,その必要はない。」

【正解:×

◆事前届出

 監視区域外の区域であっても,注視区域に所在して面積要件を満たしているときには事前届出が必要。

 無指定区域  事後届出制
 監視区域・注視区域  事前届出制
 規制区域  許可制

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