法令上の制限 実戦篇

国土利用計画法の過去問アーカイブス 昭和57年・問17 届出の要否


国土利用計画法第23条 (土地に関する権利の移転又は設定後における利用目的等の届出の と規定に基づく届出に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。なお,対象の土地は,都市計画法による市街化区域内にある面積3,000平方メートルの一団の土地であるとする。(昭和57年・問17)

1.「地上権の設定を行った場合,届出は必要ない。」

2.「売買予約を行った場合,届出が必要である。

3.「贈与した場合,届出が必要である。」

4.「抵当権の設定を行った場合,届出が必要である。」

【正解】

× × ×

●届出の要否の判定
 届出が必要な土地に関する権利の移転及び設定の契約は,事前届出〔両当事者が届出〕・事後届出〔権利取得者が届出〕とも同じです。〔面積要件は,事後届出と注視区域の事前届出は同じ。監視区域で届出が必要な面積は,都道府県の規則で定められる。〕

事後届出・注視区域の事前届出の面積要件

面積要件 都市計画区域 市街化区域 2,000平方メートル以上
非線引き都市計画区域 5,000平方メートル以上
市街化調整区域
都市計画区域外 準都市計画区域
両区域外
10,000平方メートル(1 ha)以上

1.「地上権の設定を行った場合,届出は必要ない。」

【正解:×

◆地上権設定−届出必要

 地上権や賃借権の設定・移転も,その対価が支払われるものでは,事前届出制・事後届出制とも届出が必要です。したがって,「地上権の設定を行った場合,届出は必要ない」とは言い切れません。

 → 地代や賃料については規制されていないので,設定・移転の対価がないときには届出は不要。

2.「売買予約を行った場合,届出が必要である。

【正解:

◆売買予約−届出必要

 売買予約は「土地に関する権利の,対価の授受を伴って,移転・設定する契約」に該当するので,届出が必要です。

 ただし,予約完結権の行使については届出は不要です。国土利用計画法は投機的取引を防止して地価の高騰を抑制をする〔地価のコントロール〕のが制度趣旨だからです。〔このため,予約完結権の譲渡については届出対象になります。〕

売買の予約(民法556条)

 当事者間に将来,売買契約を生じさせる契約のこと。しかし,実際には,債権担保のために行われることが多かったと言われています。仮登記を利用して行う,代物弁済予約売買の予約を総称して仮登記担保といいます。代物弁済や代物弁済予約でも国土利用計画法の届出が必要です。

農地法の許可−農地法の許可制度は農地を実際に使用収益する者のチェックが制度趣旨なので,売買予約の時点では農地法第3条の許可は不要ですが,予約完結権を行使するときは農地法第3条の許可が必要です。

    国土利用計画法の届出  農地法第3条の許可
 売買の予約  届出が必要  許可は不要
 予約完結権の行使  届出は不要  許可が必要

3.「贈与した場合,届出が必要である。」

【正解:×

◆贈与−届出不要

 贈与は「対価の授受を伴わない」権利移転なので,原則として届出は不要です。

農地法の許可−農地法では,使用収益権の設定・移転については,有償・無償を問わず,第3条の許可が必要です。したがって,贈与でも許可が必要になります。

 → 農地法は農業生産力を維持するためのものだから。

    国土利用計画法の届出  農地法第3条の許可
 贈与  届出は不要  許可が必要
 離婚での財産分与

 遺産分割

 包括遺贈

 届出は不要  許可は不要

4.「抵当権の設定を行った場合,届出が必要である。」

【正解:×

◆届出不要

 抵当権の設定や不動産質権の設定は,土地に関する所有権・地上権・賃借権などの権利の移転または設定とはいえないので,届出の必要な契約には該当しません。〔抵当権設定は農地法の許可は不要ですが,不動産質権の設定は使用収益を目的とする権利なので農地法での許可が必要です。

    国土利用計画法の届出  農地法第3条の許可
 抵当権の設定  届出は不要  許可は不要
 不動産質権の設定  届出は不要  許可が必要

譲渡担保は国土利用計画法での届出が必要です。


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