法令上の制限 実戦篇

国土利用計画法の過去問アーカイブス 昭和50年 土地利用基本計画


国土利用計画法において,都道府県知事は,当該都道府県の区域について,土地利用基本計画を作成し,政令の定めるところにより地域を定めることになっているが,次のうち,その地域を正しく列記したものはどれか。(昭和50年)

1.「都市地域,農業地域,森林地域,自然公園地域,自然保全地域」

2.「市街化区域,市街化調整区域,農業振興地域,森林地域,自然緑地地域

3.「都市地域,農業地域,森林地域,公園緑地地域,保全整備地域」

4.「市街化区域,市街化調整区域,農業地域,森林地域,緑地保全地域」

【正解】

× × ×

1.「都市地域,農業地域,森林地域,自然公園地域,自然保全地域」

【正解:

◆土地利用基本計画−土地利用の混乱を防止し,適正かつ合理的な土地利用を図る

 土地利用基本計画とは,国土利用計画法第9条に基づいて都道府県が策定し,都道府県内の区域について,都市地域農業地域森林地域自然公園地域自然保全地域5つの地域に区分し,土地利用の調整等に関する事項を定めています。

 → 国土交通省・土地利用調整総合支援ネットワークシステム
    (あなたの都道府県の土地利用基本計画図をご覧になれます。)

土地利用基本計画とは,都市計画法農業振興地域の整備に関する法律森林法自然公園法自然環境保全法等に基づく土地利用計画を総合的に調整する機能を持ち,土地取引の規制,開発行為の規制及び遊休土地に関する措置等のための基本となるものです。

都市地域
 一体の都市として総合的に開発し,整備し,及び保全する必要がある地域9条4項
都市計画法(昭和43年法律第100号)によって都市計画区域として指定されることが相当な地域

 (良好な都市環境の確保,形成及び機能的な都市基盤の整備等に配慮しつつ,既成市街地の整備を推進するとともに,市街化区域又は用途地域において今後新たに必要とされる宅地を計画的に確保整備することを基本とする。)

農業地域
 農用地として利用すべき土地があり,総合的に農業の振興を図る必要がある地域(9条5項)
農業振興地域の整備に関する法律(昭和44年法律第58号)によって農業振興地域として指定されることが相当な地域です。

森林地域
 森林の土地として利用すべき土地があり,林業の振興又は森林の有する諸機能の維持増進を図る地域(9条6項)
森林法(昭和26年法律第249号)で規定する国有林の区域又は地域森林計画の対象となる民有林の区域として定められることが相当な地域

自然公園地域
 すぐれた自然の風景地で,その保護及び利用の増進を図る必要がある地域(9条7項)
自然公園法(昭和32年法律第161号)によって自然公園として指定されることが相当な地域

自然保全地域
 良好な自然環境を形成している地域で,その自然環境の保全を図る必要がある地域(9条8項)
自然環境保全法(昭和47年法律第85号)によって原生自然環境保全地域自然環境保全地域都道府県自然環境保全地域として指定されることが相当な地域。

●参考・土地利用基本計画(9条抄)

1 都道府県は、当該都道府県の区域について、土地利用基本計画を定めるものとする。

2 土地利用基本計画は、政令で定めるところにより、次の地域を定めるものとする。

1.都市地域
2.農業地域
3.森林地域
4.自然公園地域
5.自然保全地域

3 土地利用基本計画は、前項各号に掲げる地域のほか、土地利用の調整等に関する事項について定めるものとする。

 土地利用基本計画は、全国計画(都道府県計画が定められているときは、全国計画及び都道府県計画)を基本とするものとする。(9条9項)→下記の『国土利用計画』参照

 都道府県は、土地利用基本計画を定める場合には、あらかじめ、第38条第1項の審議会その他の合議制の機関及び市町村長の意見を聴くとともに、国土交通大臣に協議し、その同意を得なければならない。(9条10項)

 都道府県は、前項の規定により市町村長の意見を聴くほか、市町村長の意向が土地利用基本計画に十分に反映されるよう必要な措置を講ずるものとする。(9条11項)

●参考・国土利用計画

⇒ 国土利用計画について(国土交通省,PDF)

第1条(目的)

 この法律は、国土利用計画の策定に関し必要な事項について定めると ともに、土地利用基本計画の作成、土地取引の規制に関する措置その他土地利用 を調整するための措置を講ずることにより、国土形成計画法(昭和25年法律第205号)による措置と相まつて、総合的かつ計画的な国土の利用を図ることを目的とする。

第4条(国土利用計画)

 国土利用計画は、全国の区域について定める国土の利用に関する計画(以下「全国計画」という。)、「都道府県の区域について定める国土の利用に関する計画(以下「都道府県計画」という。)及び市町村の区域について定める国土の利用に関する計画(以下「市町村計画」という。)とする。

第5条(全国計画)

 国は、政令で定めるところにより、国土の利用に関する基本的な事項について全国計画を定めるものとする。

2 国土交通大臣は、全国計画の案を作成して、閣議の決定を求めなければならない。

3 国土交通大臣は、全国計画の案を作成する場合には、国土審議会及び都道府県知事の意見を聴かなければならない。

第6条(全国計画と他の国の計画との関係)

 全国計画以外の国の計画は、国土の利用に関しては、全国計画を基本とするものとする。

第7条(都道府県計画)

 都道府県は、政令で定めるところにより、当該都道府県の区域における国土の利用に関し必要な事項について都道府県計画を定めることができる。

2 都道府県計画は、全国計画を基本とするものとする。

3 都道府県は、都道府県計画を定める場合には、あらかじめ、第38条第1項の審議会その他の合議制の機関及び市町村長の意見を聴くとともに、当該都道府県の議会の議決を経なければならない。

4 都道府県は、前項の規定により市町村長の意見を聴くほか、市町村長の意向が都道府県計画に十分に反映されるよう必要な措置を講ずるものとする。

5 都道府県は、都道府県計画を定めたときは、遅滞なく、これを国土交通大臣に報告するとともに、その要旨を公表しなければならない。

第8条(市町村計画)

 市町村は、政令で定めるところにより、当該市町村の区域における国土の利用に関し必要な事項について市町村計画を定めることができる。

2 市町村計画は、都道府県計画が定められているときは都道府県計画を基本とするとともに、地方自治法(昭和22年法律第67号)第2条第4項の基本構想に即するものでなければならない。

3 市町村は、市町村計画を定める場合には、当該市町村の議会の議決を経なければならない。

4 市町村は、市町村計画を定める場合には、あらかじめ、公聴会の開催等住民の意向を十分に反映させるために必要な措置を講ずるものとする。

5 市町村は、市町村計画を定めたときは、遅滞なく、これを都道府県知事に報告するとともに、その要旨を公表しなければならない。

●類題
1.「都道府県が定める土地利用基本計画においては,当該都道府県の区域について都市地域,農業地域,工業地域,森林地域及び自然公園地域の5地域が規則で定められる。」(不動産鑑定士・二次・平成7年)

【正解:×工業地域,という区域は5地域の中にはありません。都市地域,農業地域,工業地域,森林地域,自然公園地域,自然保全地域5地域です。

2.「土地利用基本計画は,都道府県知事が定める都道府県計画と市町村長が定める市町村計画とで構成されている」(不動産鑑定士・二次・平成8年)

【正解:×】土地利用基本計画は,都道府県知事が定めるものです。都道府県計画と市町村計画があるのは<国土の利用に関する計画>です。


●国土利用計画法の過去問Archives
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