法令上の制限 実戦篇

宅地造成等規制法の過去問アーカイブス 平成19年・問23 造成宅地防災区域


宅地造成等規制法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問における都道府県知事とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び特例市にあってはその長をいうものとする。  (平成19年・問23)

1 都道府県知事は、宅地造成工事規制区域内においても、宅地造成に伴う災害で相当数の居住者に危害を生ずるもの(以下この問において「災害」という。)の発生のおそれが大きい一団の造成宅地の区域を造成宅地防災区域に指定することができる。

2 都道府県知事は、造成宅地防災区域について、当該区域の指定の事由がなくなったと認めるときは、その指定を解除することができる。

3 造成宅地防災区域内の造成宅地の所有者等は、災害が生じないよう、その造成宅地について擁壁の設置等の措置を講ずるよう努めなければならない。

4 都道府県知事は、造成宅地防災区域内の造成宅地について、災害の防止のため必要があると認める場合は、当該造成宅地の所有者等に対し、擁壁の設置等の措置をとることを勧告することができる。

<コメント>  
 改正法対策をしていなかった受験者を狙い撃ちにした問題。出題当時の正答率は30%を切っていますが,出題内容が基礎的なものであるだけに,現在出題された場合の正答率は70%以上になるはずです。
●出題論点●
 (肢1) 造成宅地防災区域の指定
 (肢2) 区域指定の解除
 (肢3) 擁壁等の設置努力義務
 (肢4) 災害防止措置の勧告

【正解】

×

 正答率  29.5%

1 都道府県知事は、宅地造成工事規制区域内においても、宅地造成に伴う災害で相当数の居住者に危害を生ずるもの(以下この問において「災害」という。)の発生のおそれが大きい一団の造成宅地の区域を造成宅地防災区域に指定することができる。

【正解:×

◆造成宅地防災区域の指定

 都道府県知事〔指定都市,中核市,特例市の長〕は,この法律の目的を達成するために必要があると認めるときは,関係市町村長の意見を聴いて,宅地造成に伴う災害で相当数の居住者その他の者に危害を生ずるものの発生のおそれが大きい一団の造成宅地(これに附帯する道路その他の土地を含み、宅地造成工事規制区域内の土地を除く。)の区域であつて政令で定める基準に該当するものを,造成宅地防災区域として指定することができます(20条1項)

 本肢は,「宅地造成工事規制区域内においても,指定することができる。」としているので,誤りです。

改正前は,宅地造成工事規制区域の規制しかないため,造成宅地の崩壊の地盤災害に対しては,対策が不十分でした。造成宅地防災区域は,宅地造成工事規制区域に指定されていない区域に指定されます。

 なお,平成19年12月21日に,新潟県柏崎市の山本団地地区約2.4haに全国初めて指定されました。

2 都道府県知事は、造成宅地防災区域について、当該区域の指定の事由がなくなったと認めるときは、その指定を解除することができる。

【正解:

◆造成宅地防災区域−指定解除

 都道府県知事は,擁壁等の設置または改造その他災害の防止のため必要な措置を講ずることにより,造成宅地防災区域の全部又は一部について同項の指定の事由がなくなつたと認めるときは,当該造成宅地防災区域の全部又は一部について同項の指定を解除します(20条2項)

3 造成宅地防災区域内の造成宅地の所有者等は、災害が生じないよう、その造成宅地について擁壁の設置等の措置を講ずるよう努めなければならない。

【正解:

◆造成宅地防災区域−擁壁等の設置・改造等の必要な措置の努力義務

 造成宅地防災区域内の造成宅地の所有者,管理者,占有者は,災害が生じないように,その造成宅地に擁壁等の設置や改造その他必要な措置を講ずるように努めなければなりません(21条1項)

4 都道府県知事は、造成宅地防災区域内の造成宅地について、災害の防止のため必要があると認める場合は、当該造成宅地の所有者等に対し、擁壁の設置等の措置をとることを勧告することができる。

【正解:平成19年・問23・肢4〔2年度連続で,正誤まで同じ出題〕,

◆造成宅地防災区域−災害防止措置の勧告

 都道府県知事は,造成宅地防災区域内の造成宅地について,災害の防止のため必要があると認める場合は,その造成宅地の所有者,管理者,占有者に対して,擁壁等の設置や改造その他災害の防止のため必要な措置をとることを勧告することができます(21条2項)


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