法令上の制限 実戦篇

都市計画法の過去問アーカイブス 昭和50年 都市計画制限 


都市計画制限に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。ただし,都市計画には,施行予定者は定められていないものとする。(昭和50年・改)

1.「都市計画施設の区域内〔事業予定地を除く。以下,本問中同じ。〕において,建築物の建築をしようとする者は,原則として,都道府県知事等の許可を受けなければならないが,都道府県知事等は,建築物が一定の要件に該当する場合は,許可しなければならない。」

2.「都市計画施設の区域内において,土地の形質の変更をしようとする者は,都道府県知事等の許可を受けなければならない。

3.「市街地開発事業の施行区域〔事業予定地を除く。〕内においては,市街地開発事業の障害になるおそれのある行為は,すべて都道府県知事等の許可を受けなければならない。」

4.「都市計画施設の区域内において,木造2階建以下の建築物の建築をしようとする場合は,都道府県知事等の許可を受ける必要はない。」

【正解】

× × ×

■参考■ 都市計画施設,市街地開発事業,予定区域,都市計画事業の全体像

1.「都市計画施設の区域内〔事業予定地を除く。以下,本問中同じ。〕において,建築物の建築をしようとする者は,原則として,都道府県知事等の許可を受けなければならないが,都道府県知事等は,建築物が一定の要件に該当する場合は,許可しなければならない。」

【正解:

◆建築物の建築

 施行予定者が定められていない都市計画施設の区域内において建築物の建築をしようとするときには,原則として,都道府県知事等の許可を得なければならない。(53条1項)

許可がなくてもできるもの(53条1項)

一.政令で定める軽易な行為 (階数が2階以下でかつ地階を有しない木造の建築物の改築・移転)

二.非常災害のため必要な応急措置として行う行為

三.都市計画事業の施行として行う行為又はこれに準ずる行為として政令で定める行為

四.第11条第3項後段の規定により離隔距離の最小限度及び載荷重の最大限度が定められている都市計画施設の区域内において行う行為であつて、当該離隔距離の最小限度及び載荷重の最大限度に適合するもの

五.第12条の11に規定する都市計画施設である道路の区域のうち建築物等の敷地として併せて利用すべき区域内において行う行為であつて、当該都市計画施設である道路を整備する上で著しい支障を及ぼすおそれがないものとして政令で定めるもの

施行予定者が定められていない都市計画施設の区域内であっても,『都市計画施設の区域内の土地で都道府県知事等から指定された区域』〔事業予定地〕の場合は,54条の許可基準に該当する場合でも,都道府県知事等は許可をしないことができる。(55条1項)

●許可基準
第54条(許可の基準) 都道府県知事等は、前条第1項の規定による許可の申請があつた場合において、当該申請が次の各号のいずれかに該当するときは、その許可をしなければならない。

一.当該建築が、都市計画施設又は市街地開発事業に関する都市計画のうち建築物について定めるものに適合するものであること。

二.当該建築が、第11条第3項の規定により都市計画施設の区域について都市施設を整備する立体的な範囲が定められている場合において、当該立体的な範囲外において行われ、かつ、当該都市計画施設を整備する上で著しい支障を及ぼすおそれがないと認められること。ただし、当該立体的な範囲が道路である都市施設を整備するものとして空間について定められているときは、安全上、防火上及び衛生上支障がないものとして政令で定める場合に限る。

三.当該建築物が次に掲げる要件に該当し、かつ、容易に移転し、又は除却することができるものであると認められること

イ 階数が2以下で、かつ、地階を有しないこと

ロ 主要構造部(建築基準法第2条第5号に定める主要構造部をいう。)が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造その他これらに類する構造であること。

2.「都市計画施設の区域内において,土地の形質の変更をしようとする者は,都道府県知事等の許可を受けなければならない。

【正解:×

◆土地の形質の変更

 施行予定者が定められていない都市計画施設の区域内において土地の形質の変更をしようとするときに,都道府県知事等の許可を得なければならないという規定はない。

3.「市街地開発事業の施行区域〔事業予定地を除く。〕内においては,市街地開発事業の障害になるおそれのある行為は,すべて都道府県知事等の許可を受けなければならない。」

【正解:×

◆都市計画事業の事業地との比較

 事業の障害になるおそれのある行為は,すべて都道府県知事等の許可を受けなければならない>のは,都市計画事業の事業地である。(65条1項)

 都市計画事業の事業地では,「建築物の建築」だけではなく,「工作物の建設」,「土地の形質の変更」,「移動の容易でない物件(5 t以上)の設置・堆積」など事業の障害になるおそれのあるものは,すべて都道府県知事等の許可を受けなければならない。(65条1項)

4.「都市計画施設の区域内において,木造2階建以下の建築物の建築をしようとする場合は,都道府県知事等の許可を受ける必要はない。」

【正解:×

◆建築物の建築

 施行予定者が定められていない都市計画施設の区域内において建築物の建築をしようとするときには,原則として,都道府県知事等の許可を得なければならない。(53条1項)

 この例外として,『階数が2以下で,かつ,地階を有しない木造の建築物改築・移転』は許可不要だが,本肢のように<木造2階建以下の建築物の建築をしようとする場合は,都道府県知事等の許可を受ける必要はない。>としては誤りである。

階数が2階以下でかつ地階を有しない
木造の建築物の
改築・移転
 軽易な行為として許可不要
階数が2階以下でかつ地階を有しない
木造の建築物の
新築
 許可が必要

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