法令上の制限 基礎編

宅地造成等規制法 §4 宅地造成工事規制区域の許可制 (ii)許可の要否・形質変更目的


次のそれぞれの記述は,宅地造成等規制法の規定によれば○か,×か。なお,本問における都道府県知事とは,指定都市,中核市又は特例市にあっては,指定都市,中核市又は特例市の長をいうものとする。

1.「宅地造成工事規制区域内において,宅地を宅地以外の土地にするため行う土地の形質の変更を伴う工事は,都道府県知事の許可を受けなければならない。」62-25-3

2.「規制区域内において,森林を公園にするため土地の形質の変更を行う場合でも,都道府県知事から宅地造成に関する工事の許可を受けなければならない。」9-20-3

3.「宅地造成工事規制区域内において宅地造成に関する工事を行う場合において,当該土地が宅地造成工事規制区域の指定が行われる以前からの宅地であるときは,都道府県知事の許可を受ける必要はない。」1-25-4

4.「宅地造成等規制法によれば,宅地造成工事規制区域内において,宅地以外の土地を宅地に転用する者は,宅地造成に関する工事を行わない場合でも,原則として都道府県知事の許可を受けなければならない。」14-14-2

●宅地造成の定義 → 宅地造成工事の許可を求める要件
 【公式i】】〔宅地以外→宅地〕宅地以外の土地を宅地にするため
 行う土地の形質の変更政令に定める一定規模を超えるもの(2条2号)

 【公式ii】 〔宅地→宅地〕宅地において
 行う土地の形質の変更政令に定める一定規模を超えるもの(2条2号)
 〔形質の変更後も宅地であるものに限る。〕

<注意点>宅地造成にならないもの
 → 【系1】宅地を宅地以外のものにするために行うものは宅地造成ではない。
    (『宅地→宅地以外』,『宅地以外→宅地以外』は宅地造成ではない。)

 → 【系2】〔宅地以外→宅地〕又は〔宅地→宅地〕の形質の変更であっても,
       一定規模を下回るものは宅地造成ではない。

【正解】

× × × ×

1.「宅地造成工事規制区域内において,宅地を宅地以外の土地にするため行う土地の形質の変更を伴う工事は,都道府県知事の許可を受けなければならない。」62-25-3

【正解:×昭和62年,平成元年

◆宅地→宅地以外にするための形質の変更は許可は要らない

 「土地の形質の変更」の中の一部が「宅地造成」です。

 「土地の形質の変更」であっても,<『宅地→宅地以外』,『宅地以外→宅地以外』>や<一定規模以下のもの>は宅地造成ではありません

 本肢では,≪宅地を宅地以外の土地にするため行う土地の形質の変更を伴う工事≫なので,都道府県知事の許可を受ける必要はありません。

 公式
 規模には関係なく,<● → 宅地以外> は宅地造成にはならない

 一定規模以下のもの宅地造成にはならない

●類題
1.「宅地造成工事規制区域内の宅地を宅地以外の土地にするために行う土地の形質の変更を伴う工事は,都道府県知事の許可を受ける必要はない。」1-25-3
【正解 :
2.「規制区域内において宅地を公園にするため行う土地の形質の変更については,都道府県知事の許可を受けなければならない。」(不動産鑑定士・平成9年)
【正解 :×

2.「規制区域内において,森林を公園にするため土地の形質の変更を行う場合でも,都道府県知事から宅地造成に関する工事の許可を受けなければならない。」9-20-3

【正解:×

◆許可の必要な形質の変更かどうかの判定

 宅地以外→宅地以外にするための形質変更: 宅地造成工事の許可は要らない

 『森林(宅地以外)公園(宅地以外)』のための土地の形質変更は『宅地造成』ではないので,宅地造成工事の許可は必要ではありません。

 公式
 規模には関係なく,<● → 宅地以外> は宅地造成にはならない

 一定規模以下のもの宅地造成にはならない

●類題
1.「宅地造成工事規制区域内で,市町村又は都道府県が行う公園造成工事は,許可を必要としない。」昭和53
【正解 :公園(宅地以外)なので,許可を必要としない。
2.「宅地造成工事規制区域内で行う私営の墓地造成工事は,宅地造成工事ではないので許可を必要としない。」昭和53
【正解 :×私営の墓地(宅地)なのでその造成工事が一定規模であれば宅地造成工事に該当するため,都道府県知事の許可が必要になる。

→関連・「宅地造成の定義」,必ず平成5年の問題を解いてください。

3.「宅地造成工事規制区域内において宅地造成に関する工事を行う場合において,当該土地が宅地造成工事規制区域の指定が行われる以前からの宅地であるときは,都道府県知事の許可を受ける必要はない。」1-25-4

【正解:×58-25-4,

◆規制区域の指定前からの宅地 : 宅地造成工事をするには許可が必要

 その土地が規制区域の指定が行われる以前からの宅地であろうとなかろうと,宅地であることに変わりはなく宅地造成工事をするのならば,都道府県知事の許可を受けなければいけません

 本肢での宅地造成工事は以下のものであることを確認しておきましょう。

 <〔宅地→宅地〕宅地において
 行う土地の形質の変更政令に定める一定規模を超えるもの(2条2号)
 〔形質の変更後も宅地であるものに限る。〕

4.「宅地造成等規制法によれば,宅地造成工事規制区域内において,宅地以外の土地を宅地に転用する者は,宅地造成に関する工事を行わない場合でも,原則として都道府県知事の許可を受けなければならない。」14-24-2

【正解:×

◆宅地以外→宅地に転用 ・・・ 宅地造成工事を行わないときは届出

 宅地造成に関する工事を行わない場合で宅地以外の土地を宅地に転用する者は,都道府県知事の許可を受けるのではなく,転用した日から14日以内に,都道府県知事に届け出ることになっています。〔事前届出ではなく事後届出であることに注意〕(15条3項)

宅地以外の土地を宅地に転用するとき
 宅地造成に関する工事を行う  事前に  知事の許可申請
 宅地造成に関する工事を行わない  転用した日から14日以内に  知事に届出

宅地造成に関する工事を行わない場合」というのは,盛土などの「土地の形質変更」をする場合でも,一定規模に達していないものも含まれます。

 公式
 <● → 宅地> では,一定規模の場合は,宅地造成になる

●宅地造成等規制法の過去問Archives −検索用−
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