法令上の制限 実戦篇

都市計画法の過去問アーカイブス 平成17年・問18 開発許可


次に掲げる開発行為のうち、開発行為の規模によっては、実施に当たりあらかじめ都市計画法の開発許可を受けなければならない場合があるものはどれか(平成17年・問18)

1.「市街化区域内において行う、農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為」

2.「都市再開発法第50条の2第3項の再開発会社が市街地再開発事業の施行として行う開発行為

3.「車庫の建築の用に供する目的で行う開発行為」

4.「図書館の建築の用に供する目的で行う開発行為」(改)

【正解】

規模によっては
許可が必要
許可不要 許可不要 許可不要

1.「市街化区域内において行う、農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為」

【正解:規模によっては許可が必要

◆市街化区域内

 農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為は,市街化区域外では,開発許可の適用除外となっており,開発許可は不要である(都市計画法29条1項2号,同29条2項1号)

 しかし,市街化区域内では1,000平方メートル以上であれば,農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為は,開発許可が必要になる。

 【出題歴】平成9年・問18肢2, 

   農産物生産・集荷の用・
生産資材貯蔵又は保管
農業を営む者の居住の用
に供する建築物

農産物処理・貯蔵・加工
に供する建築物

市街化区域             規模により許可必要
            (1,000 平方メートル以上)
市街化調整区域       常に不要 規模に関係なく許可必要
(市街化調整区域の許可要件)
非線引き都市計画区域 規模により許可必要
(3,000 平方メートル以上)
準都市計画区域 規模により許可必要
(3,000 平方メートル以上)
都市計画区域及び
準都市計画区域外
規模により許可必要
(10,000 平方メートル以上)

註 「生産資材貯蔵又は保管」の用に供するものとしては,
  サイロ・堆肥舎・農機具等の収納施設など。

2.「都市再開発法第50条の2第3項の再開発会社が市街地再開発事業の施行として行う開発行為

【正解:許可不要

◆市街地再開発事業の施行

 市街地再開発事業の施行として行う開発行為は,開発許可は不要である(都市計画法29条1項6号)

3.「車庫の建築の用に供する目的で行う開発行為」

【正解:許可不要

◆軽易な行為

 車庫,物置その他これらに類する附属建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為は,「通常の管理行為,軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの」として開発許可は不要である(都市計画法29条1項11号,都市計画法施行令22条2号)

●都市計画法施行令
(開発行為の許可を要しない通常の管理行為、軽易な行為その他の行為)

第22条  法第29条第1項第11号 の政令で定める開発行為は、次に掲げるものとする。

一  仮設建築物の建築又は土木事業その他の事業に一時的に使用するための第一種特定工作物の建設の用に供する目的で行う開発行為

二  車庫、物置その他これらに類する附属建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為

三  建築物の増築又は特定工作物の増設で当該増築に係る床面積の合計又は当該増設に係る築造面積が10平方メートル以内であるものの用に供する目的で行う開発行為

四  法第29条第1項第2号 若しくは第3号 に規定する建築物以外の建築物の改築で用途の変更を伴わないもの又は特定工作物の改築の用に供する目的で行う開発行為

五  前号に掲げるもののほか、建築物の改築で当該改築に係る床面積の合計が10平方メートル以内であるものの用に供する目的で行う開発行為

六  主として当該開発区域の周辺の市街化調整区域内に居住している者の日常生活のため必要な物品の販売、加工、修理等の業務を営む店舗、事業場その他これらの業務の用に供する建築物で、その延べ面積(同一敷地内に2以上の建築物を新築する場合においては、その延べ面積の合計。以下この条及び第35条において同じ。)が50平方メートル以内のもの(これらの業務の用に供する部分の延べ面積が全体の延べ面積の50%以上のものに限る。)の新築の用に供する目的で当該開発区域の周辺の市街化調整区域内に居住している者が自ら当該業務を営むために行う開発行為で、その規模が100平方メートル以内であるもの

4.「図書館の建築の用に供する目的で行う開発行為」 (改)

【正解:許可不要

◆図書館の建築目的の開発行為は区域・規模に関係なく開発許可は不要

 公益上必要な建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為は,開発許可は不要である(都市計画法29条1項3号)

 図書館は公益上必要な建築物に該当し,その建築のための開発行為には,区域・規模によらず,開発許可は不要である。

正確には,「公益上必要な建築物のうち開発区域及びその周辺の地域における適正かつ合理的な土地利用及び環境の保全を図る上で支障がないものとして政令で定める建築物

●都市計画法29条1項3号
 駅舎その他の鉄道の施設、図書館、公民館、変電所その他これらに類する公益上必要な建築物のうち開発区域及びその周辺の地域における適正かつ合理的な土地利用及び環境の保全を図る上で支障がないものとして政令で定める建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為

 ⇒ 改正により,医療施設,社会福祉施設,幼稚園・小学校・中学校・高校は,開発許可が不要ではなくなり,区域・規模により,開発許可が必要になりました。


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