法令上の制限 実戦篇
農地法の過去問アーカイブス 昭和58年・問27
農地法による農地 (都市計画法による市街化区域内の農地及び農地法第73条の適用のある農地を除く。) の転用の制限に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 (昭和58年・問27) |
1.「Aが自己の所有する水田30アールに豚舎を建設する場合,都道府県知事の許可は不要である。」 |
2.「B株式会社が建設工事の仮設事務所を建てるため,水田30アールを期間満了と同時に水田に復元して地主に返還するという条件付きで2年間に限り賃借する場合,都道府県知事の許可を受けなければならない。」 |
3.「C株式会社がある町内で遊園地を建設するため,水田2.5ヘクタールと畑50アールを買い入れる場合,農林水産大臣及び都道府県知事の許可を受けなければならない。」 |
4.「D県が農業用用排水施設を造るため,水田30アールを買い入れる場合,農林水産大臣の許可を受けなければならない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | × | × |
●市街化区域外の農地・採草放牧地−許可(3条,4条,5条) | |
耕作目的で農地の権利の設定・移転
採草放牧地の権利の設定・移転〔農地転用を含む〕 |
農業委員会の許可 |
農地の自己転用 | 4ha超=農林水産大臣の許可
4ha以下=都道府県知事の許可 |
転用目的で農地・採草放牧地の権利の設定・移転 | 農地4ha超=農林水産大臣の許可 農地4ha以下=都道府県知事の許可 採草放牧地のみ=都道府県知事の許可 |
1.「Aが自己の所有する水田30アールに豚舎を建設する場合,都道府県知事の許可は不要である。」 |
【正解:×】 ◆農地の自己転用・・・農地法4条の許可が必要 農地の自己転用は,原則として,農地法4条の許可が必要です。 ※30アール=0.3ha
⇒ <2アール未満の農業用施設〔農作物の育成・養畜の事業のため〕に供する場合>は農地法4条許可は不要です。(4条1項6号,施行規則5条1号) ▼採草放牧地の自己転用では農地法4条の許可は不要。採草放牧地→農地に転用するための権利の移転・設定は農地法3条の許可になる。 |
2.「B株式会社が建設工事の仮設事務所を建てるため,水田30アールを期間満了と同時に水田に復元して地主に返還するという条件付きで2年間に限り賃借する場合,都道府県知事の許可を受けなければならない。」 |
【正解:○】 ◆転用目的の賃借権の設定・・・農地法5条の許可が必要 市街化区域外で,建設工事の仮設事務所を建てるために水田を賃借しようとする場合は,転用目的での権利の設定なので,農地法5条の許可が必要です。 |
3.「C株式会社がある町内で遊園地を建設するため,水田2.5ヘクタールと畑50アールを買い入れる場合,農林水産大臣及び都道府県知事の許可を受けなければならない。」 |
【正解:×】 ◆転用目的の権利の移転・・・農地法5条の許可が必要 同一の事業に供するために,4ha以下の農地の所有権を取得するのは,市街化区域外では都道府県知事の許可を受けなければなりません。 本肢では,「農林水産大臣及び都道府県知事の許可」となっているので誤りです。 |
●市街化区域内の農地・採草放牧地−許可(3条),特例による届出(4条・5条) | |
耕作目的で農地・採草放牧地の権利の設定・移転 | 農業委員会の許可 |
農地の自己転用 | 【特例】農業委員会への届出 |
転用目的で農地・採草放牧地の権利の設定・移転 | 【特例】農業委員会への届出 |
4.「D県が農業用用排水施設を造るため,水田30アールを買い入れる場合,農林水産大臣の許可を受けなければならない。」 |
【正解:×】 ◆国・都道府県が一定の転用目的で農地を取得・・・農地法5条の許可は不要 国又は都道府県が,道路,農業用用排水施設その他の地域振興上又は農業振興上の必要性が高いと認められる施設であつて農林水産省令で定めるものの用に供するため(転用目的)で農地や採草放牧地について権利を取得する場合は,農地法5条の許可は不要です。(農地法5条1項1号) ▼国・都道府県の以下の行為は許可は不要。
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