法令上の制限 実戦篇
都市計画法の過去問アーカイブス 平成18年・問19 開発許可の要否
次に掲げる開発行為のうち、都市計画法による開発許可を受けなければならないものはどれか。なお、開発行為の規模は、すべて1,000平方メートルであるものとする。(平成18年・問19) |
1 市街化区域内において、農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為 |
2 市街化調整区域内において、図書館法に規定する図書館の建築の用に供する目的で行う開発行為 |
3 準都市計画区域内において、専修学校の建築の用に供する目的で行う開発行為 |
4 都市計画区域及び準都市計画区域外の区域内において、店舗の建築の用に供する目的で行う開発行為 |
<コメント> |
開発許可の要否の問題では,まず開発目的が許可不要になっていないか確認し,次に開発規模がその区域内で許可の必要な規模に達しているかどうか確認します。
開発許可の要否の問題は,この二つの作業を行えば正解に達することができます。 |
●出題論点● |
(肢1) 市街化区域内では,原則として,1,000平方メートル以上であれば, 開発目的が農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築であって も開発許可が必要。 (肢2) 開発目的が公益上必要な建築物の建築の場合は,区域・規模を問わず, (肢3) 大学・専修学校の校舎は公益上必要な建築物に該当しない。 準都市計画区域内で,原則として,開発許可が必要なのは,開発許可が (肢4) 都市計画区域及び準都市計画区域外の区域内で,原則として,開発許可が |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
必要 | 不要 | 不要 | 不要 |
正答率 | 67.0% |
1 市街化区域内において、農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為 |
【正解:必要】 ◆開発規模で開発許可の要不要を判断−市街化区域内 市街化区域内では,1,000平方メートル以上の開発行為をするには開発許可が必要です。 市街化区域以外では,<農業を営む者の居住の用に供する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為>は開発許可は不要ですが(都市計画法29条1項2号,同29条2項1号),市街化区域内ではこのような適用除外はなく,1,000平方メートル以上であれば開発許可が必要になります。 【出題歴】平成9年・問18・肢2,平成17年・問18・肢1, |
農産物の生産・集荷の用・ 生産資材の貯蔵又は保管・ 農業を営む者の居住の用 に供する建築物 |
農産物の処理・貯蔵・加工 |
|
市街化区域 | 規模により許可必要 (1,000 平方メートル以上) |
|
市街化調整区域 | 常に不要 | 規模に関係なく許可必要 (市街化調整区域の許可要件) |
非線引き都市計画区域 | 規模により許可必要 (3,000 平方メートル以上) |
|
準都市計画区域 | 規模により許可必要 (3,000 平方メートル以上) |
|
都市計画区域及び 準都市計画区域外 |
規模により許可必要 (10,000 平方メートル以上) |
2 市街化調整区域内において、図書館法に規定する図書館の建築の用に供する目的で行う開発行為 |
【正解:不要】 ◆開発目的で開発許可の要不要を判断− 公益上必要な建築物※の建築の用に供する目的で行う開発行為は,区域を問わず,開発許可は不要です(都市計画法29条1項3号)。 図書館は公益上必要な建築物※なので,開発許可は不要です(都市計画法29条1項3号,施行令21条17号)。 ※正確には,「公益上必要な建築物のうち開発区域及びその周辺の地域における適正かつ合理的な土地利用及び環境の保全を図る上で支障がないものとして政令で定める建築物」 |
●都市計画法29条1項3号 |
駅舎その他の鉄道の施設、図書館、公民館、変電所その他これらに類する公益上必要な建築物のうち開発区域及びその周辺の地域における適正かつ合理的な土地利用及び環境の保全を図る上で支障がないものとして政令で定める建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為 ⇒ 改正により,医療施設,社会福祉施設,幼稚園・小学校・中学校・高校は,開発許可が不要ではなくなり,区域・規模により,開発許可が必要になりました。 |
3 準都市計画区域内において、専修学校の建築の用に供する目的で行う開発行為 |
【正解:不要】 ◆開発規模で開発許可の要不要を判断−準都市計画区域 専修学校は,公益上必要な建築物には該当しないので,その建築のための開発行為は,その区域での開発許可が必要な面積規模であれば,開発許可が必要になります。 準都市計画区域内で開発許可が必要な面積は3,000平方メートル以上です(都市計画法29条1項1号,施行令19条1項)。 本肢の場合,開発行為の規模は1,000平方メートルですから,開発許可は不要です。 |
4 都市計画区域及び準都市計画区域外の区域内において、店舗の建築の用に供する目的で行う開発行為 |
【正解:不要】 ◆開発規模で開発許可の要不要を判断−両区域外 両区域外 (都市計画区域及び準都市計画区域外の区域内) で開発許可が必要な面積は10,000平方メートル (1 ha) 以上です(都市計画法29条2項,施行令22条の2)。 本肢の場合,開発行為の規模は1,000平方メートルですから,開発許可は不要です。 |
●都市計画法 (開発許可) の過去問Archives |
昭和63年・問18,平成元年・問18,平成2年・問20,平成3年・問20,平成4年・問20, 平成5年・問19,平成5年・問20,平成6年・問19,平成6年・問20,平成7年・問19, 平成7年・問20,平成8年・問20,平成8年・問21,平成9年・問18,平成9年・問19, 平成10年・問18,平成10年・問19,平成11年・問18,平成11年・問19,平成12年・問19, 平成12年・問20,平成13年・問18,平成13年・問19,平成14年・問19,平成15年・問18, 平成16年・問18,平成17年・問18,平成17年・問20,平成18年・問19,平成18年・問20, |
過去問アーカイブス・法令制限に戻る 都市計画法の過去問アーカイブスのトップに戻る