法令上の制限 実戦篇

建築基準法の過去問アーカイブス 昭和55年・問21・容積率 

敷地が2以上の区域にわたる場合の容積率と延べ面積


次の図のような,2つの用途地域にわたる長方形の敷地に住宅を建築する場合に,建築基準法上とれる住宅の延面積として最大限のものは,次のうちどれか。ただし,他の地域地区等の指定,特定道路及び特定行政庁の許可は考慮しないものとし,また,特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域でもないものとする。 (図中以外の条件はないものとする。なお,計算式については例示であるので,他の計算式によってもよい。)(昭和55年・問20)

 ←      16m          →  ←    8m      →
 ↑

10m

 ↓

 第一種低層住居専用地域

 容積率 15/10

 第一種住居地域

 容積率 30/10

 隣接地   
            ↑
            6m             特定行政庁の指定する道路
            ↓

 前面道路幅員による制限
 第一種低層住居専用地域 4/10  第一種住居地域 4/10 

 1   240×( 15
× 160
――
24
×  80
――
) = 432 (平方メートル)
10 240 10 240

 2   240×( 15
× 160
――
30
×  80
――
) = 480 (平方メートル)
10 240 10 240

 3   240×( 24
× 160
――
30
×  80
――
) = 624 (平方メートル)
10 240 10 240

 4   240×( 24
× 160
――
36
×  80
――
) = 672 (平方メートル)
10 240 10 240

【正解】

× × ×

【正解:

◆延べ面積

 1 まず,「第一種低層住居専用地域の部分の容積率の限度」と「第一種住居地域の部分の容積率の限度」を個別に求めます。

敷地の前面道路の幅員〔道路が2以上あるときは幅員の大きい方〕が12m未満の場合は,

 <都市計画で定められた当該地域の容積率の限度>or<道路の幅員×法定乗数>

のうち,小さい方が,容積率の限度となります。

 

    第一種低層住居専用地域  第一種住居地域
都市計画で定められた限度    15/10   30/10
前面道路による容積率の限度
6m×
24
10 10
6m×
24
10 10
小さい方が容積率の限度になる
15
24
10 10
24
30
10 10
 第一種低層住居専用地域に属する敷地の部分の容積率の限度は,『都市計画で定められた限度』になる。

 第一種住居地域に属する敷地の部分の容積率の限度は,『前面道路による容積率の限度』になる。

 2 この敷地の中での建築物の延べ面積の最大限度は,以下の合計を求めます。

 第一種低層住居専用地域に属する部分の容積率の限度×その面積
              
 第一種住居地域に属する部分の容積率の限度×その面積

 これを計算すると, 

 延べ面積  15
× 160 24
×  80  = 432(平方メートル)・・・(※)
10 10

 になります。〔10と160,10と80を約分すれば,240+192として簡単に計算できます。〕

補足

 肢1での左側の240×を( )の中に分配すれば,(※)になります。

 1   240×( 15
× 160
――
24
×  80
――
) = 432 (平方メートル)
10 240 10 240

註 ( )の中は,『この敷地全体での容積率』を計算するときの計算式になっています。

つまり,肢1は,『敷地全体の面積×敷地全体での容積率の限度』として計算しています。

●敷地が容積率の異なる2以上の区域・地域にわたる場合の容積率

 計算の手順

  2つの区域ごとに,それぞれの容積率の限度を求める。

 (1) <道路の幅員×法定乗数>(前面道路の幅員による制限)を算出する。

 (2) (1)と都市計画で定められた容積率の限度と大小を比べ,
    小さいほうがその区域での容積率の限度となる。

  加重平均する。
  〔区域ごとに,『容積率の限度×その敷地での面積割合』を求め,その合計〕

●問題文の条件の意味
他の地域地区等の指定は考慮しない

 「特例容積率適用区域」や「高層住居誘導地区」内ではないものとする。

特定道路は考慮しない

 「特定道路」から70m以内にある敷地では,前面道路の幅員による容積率の制限を緩和する措置があるが,この措置は考えないということ。(建築基準法・52条8項)

特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域ではない

 「特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域」では,前面道路の幅員による容積率の限度を求めるときの法定乗数が原則と異なるので,本問題では原則どおりの法定乗数でよいということ。

 区域 原則としての法定乗数
住居系の用途地域内  10分の4
住居系以外の用途地域内・

用途地域の指定のない区域内

 10分の6

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