昭和60年度 宅地建物取引主任者資格試験
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権利の変動分野 〔民法・区分所有法・借地借家法・不動産登記法〕 |
〔問2〕 Aは,Bに対して金銭債権を有している。この場合,民法の規定によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。
1 Bの履行について確定期限があるときであっても,Bは,Aから履行の請求を受けるまで履行遅滞とはならない。 2 Bが債務を履行しない場合,Aは,損害賠償を請求することができるが,その場合,Aは,損害の証明をしなければならない。 3 AがBの債務不履行を理由として損害賠償を請求してきた場合,Bは,不可抗力をもって抗弁することはできない 4 A及びBが,Bの債務不履行について損害賠償の額を予定していた場合であっても,裁判所はその額を増額することができる。 |
〔問3〕 Xは2,400万円相当の土地を遺産として残して死亡した。Xには配偶者Aがあり,Aとの間に子Bがいる。XとAとの間にはBのほかにも子Cもいたが,CはXが死亡する前に既に死亡しており,Cの配偶者D及びCとDとの間の子Eが残されている。この場合,民法の規定に基づく法定相続人に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
1 Aが1,200万円,B及びEがそれぞれ600万円の相続分を取得する。 2 Aが1,200万円,Bが800万円,Eが400万円の相続分を取得する。 3 Aが1,200万円,B,D及びEがそれぞれ400万円の相続分を取得する。 4 Aが1,200万円,Bが600万円,D及びEがそれぞれ300万円の相続分を取得する。 |
〔問4〕 契約の解除に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,正しいものはどれか。
1 解除権は,法律の規定によって発生するものであり,契約当事者間の約定によって発生することはない。 2 債務の履行が債務者の責めに帰すべき事由によって不能になったときは,債権者は直ちに契約を解除することができる。 3 解除後の原状回復において,返還すべき金銭があるときは,解除の時点からの利息を付さなければならない。 4 解除権の行使について期間の定めがないときは,相手方は解除権を有する者に対して相当の期間を定め,その期間内に解除するか否かを確答すべき旨を催告することができ,その期間内に解除の通知がないときは,当該契約は解除されたものとみなされる。 |
〔問5〕 土地について,Aを売主,Bを買主とする売買契約が成立した。この場合,民法の規定によれば,次の記述のうち誤っているものはどれか。
1 その土地の一部がCに属しているため,AがこれをBに移転することができないときは,Bが悪意であっても代金の減額を請求することができるが,善意でなければそれに加えて損害賠償を請求することはできない。 2 その土地が地上権の目的になっているときは,Bは,悪意であっても損害賠償を請求することができるが,善意であって,かつ,その土地が地上権の目的となっていることにより契約をなした目的を達することができない場合でなければ,契約を解除することはできない。 3 その土地に抵当権が設定されているときは,Bは,悪意であっても,自ら出捐をなしてその所有権を保存したときは,Aに対してその出捐の償還を請求することができる。 4 その土地に隠れた瑕疵があったときは,Aが瑕疵担保責任を負わない旨の特約をしていた場合であっても,Aは,自ら知っていながらBに告げなかった瑕疵については,瑕疵担保責任を免れることはできない。 |
〔問6〕 占有訴権に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,誤っているものはどれか。
1 占有者がその占有を奪われたときは,占有回収の訴えにより,その物の返還及び損害賠償を請求することができる。 2 占有回収の訴えは,占有を侵奪した者の特定承継人が占有侵奪の事実を知っている場合に限り,当該特定承継人に対して提起することができる。 3 占有回収の訴えを提起している場合,同一の事実関係について,所有権に基づく返還請求の訴えを併せて提起することはできない。 4 占有者がその占有を妨害されるおそれがあるときは,占有保全の訴えにより,妨害の予防又は損害賠償の担保を請求することができる。 |
〔問7〕 共有に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,誤っているものはどれか。
1 各共有者は,その持分に応じて共有物の管理の費用を負担しなければならないが,ある共有者がこの負担義務を1年以内に履行しないときは,他の共有者は,相当の償金を支払ってその共有者の持分を取得することができる。 2 共有者の1人が相続人なくして死亡したときは,その持分は,国庫に帰属する。 3 共有物の分割に際し,各共有者の協議が調わないときは,裁判所に分割を請求することができる。この場合において,現物を分割することができない場合又は分割により著しく価格が低下するおそれがある場合は,裁判所はその競売を命ずることができる。 4 共有物の分割に際しては,共有物につき権利を有する者及び各共有者の債権者は,分割に参加することができる。この場合において,参加の請求があったにもかかわらず,その参加を待たずに分割をしたときは,分割の効力は参加を請求した者に対抗できない。 |
〔問8〕 A所有の不動産につき,Aを代理して賃貸借契約を締結する代理権を授与されたBは,この代理権の範囲を超えて,当該不動産をCに売却する契約を締結した。この場合,民法の規定によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。なお,Cは善意無過失であるものととする。
1 Bの行為は,無権代理行為であり,当該売買契約は,原則としてAに対してはその効力を生じないが,AがBの行為を追認したときは,その追認のときに新たに有効な契約がAC間で締結されたものとみなされる。 2 Cは,Aに対し,相当の期間を定めて,その期間内にBの行為を追認するか否かを確答すべきことを催告することができ,当該期間内にAが確答をしなかった場合には,AはBの行為を追認したものとみなされる。 3 AがBの行為を追認しない場合は,Cは,Bに対し,損害賠償を請求することができるが,売買契約の履行を請求することはできない。 4 AがBの行為を追認するまでの間は,Cは当該契約を取り消すことができる |
〔問9〕 A所有の不動産につき,Aを売主,Bを買主とする売買契約が締結されたが,Aは未成年者であり,未成年後見人であるCの同意を得ていなかった。この場合,民法の規定によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。
1 Aの行為は無効であるが,その後Bから当該不動産を買い受けたDがAが制限行為能力者であることを知らなかった場合は,A及びCは,Dに対し,Aの行為が無効であることを対抗できない。 2 Bは,Cに対し,1ヵ月以上の期間内にAの行為を追認するか否かを確答すべきことを催告することができ,当該期間内にCが確答をしなかった場合には,CはAの行為を取り消したものとみなされる。 3 Aが,『自分は成年者である』と偽ってBとの契約を締結した場合には,Aはこれを取り消すことができない。 4 AB間の契約締結後,A又はCによる取り消しの意思表示がないまま,Aが成年に達した場合は,この契約は,始めから有効であったものとみなされる。 |
〔問10〕 建設業者Aは,宅地建物取引業者Bとの間に締結した請負契約に基づき木造の建物を建築したが,工事完成後,その建物に瑕疵が発見された。この場合,民法の規定によれば,次の記述のうち誤っているものはどれか。
1 その瑕疵が重要ではなく,かつ,その修補に過分の費用を要する場合を除き,Bは,Aに対して相当の期間を定めてその瑕疵の修補を請求することができる。 2 その瑕疵が建物の引渡し後3年目に発見された場合でも,Aは,その担保責任を負わなければならない。 3 Bは,その瑕疵の修補に代えて,又は,修補とともに,Aに損害賠償を請求することができる。 4 その瑕疵のために,請負契約を締結した目的を達することができないときは,Bは,請負契約を解除することができる。 |
〔問11〕 Aは,宅地建物取引業者Bからマンションを購入し,そのときに,Bの保証を受けてC銀行から金銭を借り入れ,その支払いに充てた。この場合,民法の規定によれば次の記述のうち正しいものはどれか。
1 Bの保証債務の対象には,AがC銀行に支払うべき違約金及び損害賠償も含まれるが,Bは,自己の保証債務についてのみ違約金又は損害賠償の額を約定することはできない。 2 Bの保証がAの委託を受けてなした連帯保証である場合,C銀行がAに債務の履行を請求したときは,Aは,『まずBに催告せよ。』とC銀行に請求することができる。 3 C銀行がAに対して債務の履行を請求したときは,Aの債務の消滅時効のみならず,Bの保証債務の消滅時効も中断される。 4 Bは,Aの委託を受けなくても保証をなすことができるが,Aの意思に反して保証をなすことはできない。 |
〔問12〕 借地権に関する次の記述のうち,借地借家法の規定によれば,誤っているものはどれか。
1 借地契約において借地権の存続期間を定めなかったときは,その存続期間は20年となる。改 2 借地契約に増改築を禁止する特約がある場合であっても,土地の通常の利用上相当とすべき増改築は,土地所有者の承諾が得られないときはこれに代わる裁判所の許可により,行うことができる。 3 借地権者が土地の上に登記した建物を所有しているときは,地上権又は土地の賃借権の登記がなされていない場合でも,土地所有者から当該土地の所有権を取得した第三者に対して当該借地権を対抗することができる。 4 地代または借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは,その請求を受けた者は,増額を正当とする裁判が確定するまでは,相当と認める地代又は借賃を支払えばよい。 |
〔問13〕 区分建物<注>に係る登記に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
1 区分建物の床面積は,壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積により算出される。 2 区分建物において,建物の名称があるときは,その名称は区分建物の表題部に記録される。 3 区分建物の登記記録では,一棟の建物に属する各区分建物ごとに作成され,一棟の建物の表題部,区分建物の表題部,区分建物の権利部の甲区及び乙区が設けられる。 4 敷地権があるときは,敷地権の表示は区分建物の表題部に記載される。 <注>区分建物=建物の区分所有等に関する法律第2条第1項に規定する区分所有権の目的である建物をいう。 |
〔問14〕 建物の賃貸借に関する次の記述のうち,借地借家法の規定によれば,誤っているものはどれか。
1 借家契約において1年未満の期間を定めたときは,当該賃貸借は期間の定めのないものとみなされる。ただし,この場合の借家契約は,定期建物賃貸借や取壊し予定の建物の賃貸借,一時使用の建物賃貸借ではないものとする。改 2 居住の用に供する建物の賃借人が相続人なくして死亡した場合,その当時婚姻の届出はしていないが事実上賃借人と夫婦同然の関係にあった同居者は,賃貸人が賃借人の死亡の事実を知った日から1ヵ月以内に異議を述べなかったときに限り,賃借人を承継することができる。 3 賃借人が建物に附加した畳・建具は,賃貸人の同意を得て附加したものであれば,賃貸借終了時において,その時の賃貸人に対して時価で買い取ることを請求することができる。なお,造作買取請求権を排除する特約はなかったものとする。改 4 賃貸借に期間の定めがない場合,賃貸人からの解約の申入れは,解約しようとする6ヵ月前までにしなければならない。 |
〔問15〕 建物の区分所有等に関する法律(以下この問において「区分所有法」という。)に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
1 その形状又は効用の著しい変更を伴わない共用部分の変更については,原則として,区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数による集会の決議で決する。改 2 敷地利用権が数人で有する所有権である場合は,区分所有者は,原則として,その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して処分することができる。 3 区分所有法第62条第1項に規定する建替え決議は,集会において,原則として,区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数により行う。 4 占有者は,建物又はその敷地若しくは付属施設の使用方法につき,区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。 |
【正解】
2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
3 |
1 |
2 |
2 |
3 |
7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
2 |
4 |
3 |
4 |
3 |
12 | 13 | 14 | 15 | ** |
1 |
1 |
2 |
4 |
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●宅建過去問・民法編 |
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