平成16年度 宅地建物取引主任者資格試験 

権利の変動分野 〔民法・区分所有法・借地借家法・不動産登記法〕

〔問1〕 A所有の土地につき,AとBとの間で売買契約を締結し,Bが当該土地につき第三者との間で売買契約を締結していない場合に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,正しいものはどれか。

1 の売渡し申込みの意思は真意ではなく,の意思が真意ではないことを知っていた場合,との意思は合致しているので,売買契約は有効である。

2 が,強制執行を逃れるために,実際には売り渡す意思はないのにと通謀して売買契約の締結をしたかのように装った場合,売買契約は無効である。

3 が,の詐欺によってとの間で売買契約を締結した場合,の詐欺をが知っているか否かにかかわらず,は売買契約を取り消すことはできない。

4 が,の強迫によってとの間で売買契約を締結した場合,の強迫をが知らなければ,は売買契約を取り消すことができない。

⇒ 正解・解説  正答率  90.2%

〔問2〕 B所有の土地をAがBの代理人として,Cとの間で売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。

1 とが夫婦であり契約に関して何ら取り決めのない場合には,不動産売買はAB夫婦の日常の家事に関する法律行為の範囲内にないとが考えていた場合も,本件売買契約は有効である。

2 が無権代理人である場合,に対して相当の期間を定めて,その期間内に追認するか否かを催告することができ,が期間内に確答をしない場合には,追認とみなされ本件売買契約は有効となる。

3 が無権代理人であっても,の死亡によりとともにを共同相続した場合には,が追認を拒絶していても,の相続分に相当する部分についての売買契約は,相続開始と同時に有効となる。

4 が無権代理人であって,の死亡によりが単独でを相続した場合には,は追認を拒絶できるが,の無権代理につき善意無過失であれば,に対して損害賠償を請求することができる。

⇒ 正解・解説  正答率  44.1%

〔問3〕 Aは,自己所有の建物をBに売却したが,Bはまだ所有権移転登記を行っていない。この場合,民法の規定及び判例によれば,次の記述のうち誤っているものはどれか。

1 が何らの権原なくこの建物を不法占有している場合,は,に対し,この建物の所有権を対抗でき,明渡しを請求できる。

2 からこの建物を賃借し,引渡しを受けて適法に占有している場合,は,に対し,この建物の所有権を対抗でき,賃貸人たる地位を主張できる。

3 この建物がとの持分1/2ずつの共有であり,が自己の持分をに売却した場合,は,に対し,この建物の持分の取得を対抗できない。

4 はこの建物をから買い受け,からに対する所有権移転登記がまだ行われていない場合,は,に対し,この建物の所有権を対抗できる。

⇒ 正解・解説  正答率  47.7%

〔問4〕 共に宅地建物取引業者であるAB間でA所有の土地について,平成16年9月1日に売買代金3,000万円(うち,手付金200万円は同年9月1日に,残代金は同年10月31日に支払う。)とする売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。

1 本件売買契約に利害関係を有しないは,同年10月31日を経過すれば,の意思に反しても残代金をに対して支払うことができる。

2 同年10月31日までにが契約の履行に着手した場合には,手付が解約手付の性格を有していても,が履行に着手したかどうかにかかわらず,は,売買契約を解除できなくなる。

3 の債務不履行によりが売買契約を解除する場合,手付金相当額を損害賠償の予定とする旨を売買契約で定めていた場合には,特約がない限り,の損害が200万円を超えていても,は手付金相当額以上に損害賠償請求はできない。

4 が残代金の受領を拒絶することを明確にしている場合であっても,は同年10月31日には2,800万円をに対して現実に提供しなければ,も履行遅滞の責任を負わなければならない。

⇒ 正解・解説  正答率  72.7%

〔問5〕 A所有の土地の占有者がAからB,BからCと移った場合のCの取得時効に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。

1 が平穏・公然・善意・無過失に所有の意思をもって8年間占有し,から土地の譲渡を受けて2年間占有した場合,当該土地の真の所有者はではなかったとが知っていたとしても,は10年の取得時効を主張できる。

2 が所有の意思をもって5年間占有し,から土地の譲渡を受けて平穏・公然に5年間占有した場合,が占有の開始時に善意・無過失であれば,の占有に瑕疵があるかどうかにかかわらず,は10年の取得時効を主張できる。

3 から土地を借りていたが死亡し,借地であることを知らない相続人がその土地を相続により取得したと考えて利用していたとしても,の借地人の地位を相続するだけなので,土地の所有権を時効で取得することはない。

4 が期間を定めずから土地を借りて利用していた場合,の占有が20年を超えれば,は20年の取得時効を主張することができる。

⇒ 正解・解説  正答率  58.1%

〔問6〕 AとBが1,000万円の連帯債務をCに対して負っている(負担部分は1/2ずつ)場合と,Dが主債務者として,Eに1,000万円の債務を負い,FはDから委託を受けてその債務の連帯保証人となっている場合の次の記述のうち,民法の規定によれば,正しいものはどれか。

1 1,000万円の返済期限が到来した場合,又はにそれぞれ500万円までしか請求できないが,にもにも1,000万円を請求することができる。

2 に対して債務の全額を免除しても,に対してなお500万円の債務を負担しているが,に対して連帯保証債務の全額を免除すれば,も債務の全額を免れる。

3 が1,000万円を弁済した場合には,は500万円についてのみに対して求償することができ,が1,000万円を弁済した場合にも,は500万円についてのみに対して求償することができる。

4 が債務を承認して時効が中断してもの連帯債務の時効の進行には影響しないが,が債務を承認して時効が中断した場合にはの連帯保証債務に対しても時効中断の効力を生ずる。

⇒ 正解・解説  正答率  63.8%

〔問7〕 次の記述のうち,民法の規定によれば,誤っているものはどれか。

1 土地の所有者は,隣地から雨水が自然に流れてくることを阻止するような工作物を設置することはできない。

2 土地の所有者は,隣地の所有者と共同の費用をもって,境界を表示すべき物を設置することができる。

3 土地の所有者は,隣地から木の枝が境界線を越えて伸びてきたときは,自らこれを切断できる。

4 土地の所有者は,隣地から木の根が境界線を越えて伸びてきたときは,自らこれを切断できる。

⇒ 正解・解説  正答率  73.6%

〔問8〕 Aは,B所有の建物を賃借し,毎月末日までに翌月分の賃料50万円を支払う約定をした。またAは敷金300万円をBに預託し,敷金は賃貸借終了後明渡し完了後にBがAに支払うと約定された。AのBに対するこの賃料債務に関する相殺についての次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。

1 は,が支払不能に陥った場合は,特段の合意がなくても,に対する敷金返還請求権を自働債権として,弁済期が到来した賃料債務と対当額で相殺することができる。

2 に対し不法行為に基づく損害賠償請求権を有した場合,は,このに対する損害賠償請求権を自働債権として,弁済期が到来した賃料債務と対当額で相殺することはできない。

3 に対して商品の売買代金請求権を有しており,それが平成16年9月1日をもって時効により消滅した場合,は,同年9月2日に,このに対する代金請求権を自働債権として,同年8月31日に弁済期が到来した賃料債務と対当額で相殺することはできない。

4 に対してこの賃貸借契約締結以前から貸付金債権を有しており,その弁済期が平成16年8月31日に到来する場合,同年8月20日にに対するこの賃料債権に対する差押があったとしても,は,同年8月31日に,このに対する貸付金債権を自働債権として,弁済期が到来した賃料債務と対当額で相殺することができる。

⇒ 正解・解説  正答率  40.7%

〔問9〕 AはBに甲建物を売却し,AからBに対する所有権移転登記がなされた。AB間の売買契約の解除と第三者との関係に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。

1 の債権者との間で甲建物につき抵当権設定契約を締結し,その設定登記をした後,AB間の売買契約を適法に解除した場合,はその抵当権の消滅をに主張できない。

2 が甲建物をに賃貸し引渡しも終えた後,AB間の売買契約を適法に解除した場合,はこの賃借権の消滅をに主張できる。

3 の債権者との間で甲建物につき抵当権設定契約を締結したが,その設定登記をする前に,AB間の売買契約を適法に解除し,その旨をに通知した場合,BE間の抵当権設定契約は無効となり,の抵当権は消滅する。

4 AB間の売買契約を適法に解除したが,からに対する甲建物の所有権移転登記を抹消する前に,が甲建物をに賃貸し引渡しも終えた場合,は,適法な解除後に設定されたこの賃借権の消滅をに主張できる。

⇒ 正解・解説  正答率  48.5%

〔問10〕 宅地建物取引業者ではないAB間の売買契約における売主Aの責任に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。

1 は住宅建設用に土地を購入したが,都市計画法上の制約により当該土地に住宅を建築することができない場合には,そのことを知っていたは,に対し土地売主の瑕疵担保責任を追及することができない。

2 は,所有の土地を自ら取得するとしてに売却したが,の責に帰すべき事由によってから所有権を取得できず,に所有権を移転できない場合,他人物売買であることを知っていたに対して損害賠償を請求できない。

3 が購入した土地の一部を第三者が所有していた場合,がそのことを知っていたとしても,に対して代金減額請求をすることができる。

4 が敷地賃借権付建物をから購入したところ,敷地の欠陥により擁壁に亀裂が生じて建物に危険が生じた場合,は敷地の欠陥を知らなかったとしても,に対し建物売主の瑕疵担保責任を追及することはできない。

⇒ 正解・解説  正答率  19.4%

〔問11〕 AはBと,それぞれ1,000万円ずつ出資して,共同で事業を営むことを目的として民法上の組合契約を締結した。この場合,民法の規定によれば,正しいものはどれか。

1 は,出資の価額が均等なので,損益分配の割合も均等に定めなければならない。

2 組合への出資金で不動産を購入し組合財産とした場合,この組合財産は総組合員の共有に属する。

3 組合財産たる建物の賃借人は,組合に対する賃料支払債務と,組合員たるに対する債権とを相殺することができる。

4 組合に対し貸付金債権を取得した債権者は,組合財産につき権利行使できるが,組合員個人の財産に対しては権利行使できない。

⇒ 正解・解説  正答率  35.8%

〔問12〕 自己所有の建物に妻Bと同居していたAが,遺言を残さないまま死亡した。Aには先妻との間に子C及びDがいる。この場合に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。

1 の死後,遺産分割前にの遺産である建物に引き続き居住している場合,及びは,に対して建物の明渡しを請求することができる。

2 の死後,遺産分割前にの遺産である建物に引き続き居住している場合,及びは,それぞれに対して建物の賃料相当額の1/4ずつの支払いを請求することができる。

3 死亡の時点での子を懐妊していた場合,は相続人とみなされ,法定相続分は,が1/2,は各1/6ずつとなる。

4 の子の遺言書を偽造した場合には,を相続することができない。

⇒ 正解・解説  正答率  68.5%

〔問13〕 AはBに対し甲建物を月20万円で賃貸し,Bは,Aの承諾を得た上で,甲建物の一部をCに対し月10万円で転貸している。この場合,民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば,誤っているものはどれか。

1 転借人は,賃貸人に対しても,月10万円の範囲で,賃料支払義務を直接に負担する。

2 賃貸人は,AB間の賃貸者契約が期間の満了によって終了するときは,転借人に対しその旨の通知をしなければ,賃貸借契約の終了をに対し対抗することができない。

3 AB間で賃貸借契約を合意解除しても,転借人に不信な行為があるなどの特段の事情がない限り,賃貸人は,転借人に対し明渡しを請求することはできない。

4 賃貸人AB間の賃貸借契約を賃料不払いを理由に解除する場合は,転借人に通知等をして賃料をに代わって支払う機会を与えなければならない。

⇒ 正解・解説  正答率  54.5%

〔問14〕 貸主A及び借主Bの建物賃貸借契約に関する次の記述のうち,賃料増減請求権に関する借地借家法第32条の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。

1 建物が完成した時を始期とする賃貸借契約において,建物建築中に経済事情の変動によってAB間で定めた賃料が不相当になっても,建物の使用収益開始前にから賃料減額請求を行うことはできない。 

2 AB間の建物賃貸借契約が,が当該建物をさらに第三者に転貸する事業を行ういわゆるサブリース契約である場合,使用収益開始後,経済事情の変動によってAB間で定めた賃料が不相当となっても,から賃料減額請求を行うことはできない。

3 が賃料減額請求権を行使してAB間に協議が調わない場合,賃料減額の裁判の確定時点から将来に向かって賃料が減額されることになる。

4 が賃料増額請求権を行使してAB間に協議が調わない場合,の請求額を支払わなければならないが,賃料増額の裁判で正当とされた賃料額を既払額が超えるときは,は超過額に年1割の利息を付してに返還しなければならない。

 ⇒ 正解・解説  正答率  26.6%

〔問15〕 不動産の仮登記に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。

1 仮登記の申請は,申請情報と併せて仮登記義務者の承諾を証する情報を提供して,仮登記権利者が単独ですることができる。

2 仮登記の申請は,申請情報と併せて仮登記を命じる処分の決定書正本を提供して,仮登記権利者が単独ですることができる。

3 仮登記の抹消の申請は,申請情報と併せてその仮登記の登記識別情報を提供して,登記上の利害関係人が単独ですることができる。

4 仮登記の抹消の申請は,申請情報と併せて仮登記名義人の承諾書を提供して,登記上の利害関係人が単独ですることができる。

 ⇒ 正解・解説  正答率  64.6%


【正解】

10

11 12 13 14 15


●平成16年度・宅建試験 原題
権利変動(問1〜問15),法令制限(問16〜問25)宅建業法(問30〜問45)税法その他(問26〜問29/問46〜問50)宅建過去問'04のトップに戻る

●宅建過去問・民法編
昭和55年昭和56年昭和57年昭和58年昭和59年昭和60年昭和61年
昭和62年昭和63年平成元年平成2年平成3年平成4年平成5年
平成6年平成7年平成8年平成9年平成10年平成11年平成12年
平成13年平成14年平成15年平成16年平成17年平成18年平成19年
平成20年

宅建過去問・民法に戻る 宅建受験データ・バンクに戻る

宅建過去問のトップに戻る

HOMEに戻る サイトマップに戻る '04DataBaseのTOPに戻る