平成6年度 宅地建物取引主任者資格試験 

権利の変動分野 〔民法・区分所有法・借地借家法・不動産登記法〕

〔問2〕 Aは,「近く新幹線が開通し,別荘地として最適である」 旨のBの虚偽の説明を信じて,Bの所有する原野 (時価20万円) を,別荘地として2,000万円で購入する契約を締結した。この場合,民法の規定によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。

1 は,当該契約は公序良俗に反するとして,その取消しを主張するとともに,の不法行為責任を追及することができる。

2 は,無過失のときに限り,法律行為の要素に錯誤があるとして,その無効を主張することができる。

3 は,当該契約の締結は詐欺に基づくものであるとして,その取消しを主張することができるが,締結後20年を経過したときは,取り消すことができない。

4 被保佐人であり,保佐人の同意を得ずに当該契約を締結した場合,は,当該契約の締結にはの同意がないとして,その無効を主張することができる。

 → 解答・解説

〔問3〕 A・B・Cが別荘を持分均一で共有し,特約がない場合に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。

1 管理費は,A・B・Cがその利用の程度に応じて負担しなければならない。

2 別荘の改築は,A・B・C全員の合意で行うことを要し,が単独で行うことはできない。

3 は,不法占拠者に対して単独で明渡請求を行うことができるが,損害賠償の請求については,持分の割合を超えて請求することはできない。

4 分割の請求については,は,いつでもすることができ,B・Cとの協議がととのわないときは,裁判所に請求することができる。

 → 解答・解説

〔問4〕 Aは,Bの代理人として,Bの所有地をCに売却した。この場合,民法の規定及び判例によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。

1 が未成年者であって,法定代理人の同意を得ないで売買契約を締結した場合,は,に代理権を与えていても,その売買契約を取り消すことができる。

2 に抵当権設定の代理権しか与えていなかったにかかわらず,が売買契約を締結した場合,は,が善意無過失であっても,その売買契約を取り消すことができる。

3 に代理権がないにかかわらず,の代理人と偽って売買契約を締結した場合,の追認により契約は有効となるが,その追認はに対して直接行うことを要し,に対して行ったときは,がその事実を知ったとしても,契約の効力を生じない。

4 に代理権を与えられた後売買契約締結前にについて破産手続開始の決定があると,の代理権は消滅するが,の代理権が消滅しても,が善意無過失であれば,その売買契約は有効である。

 → 解答・解説

〔問5〕 AのBに対する債務について,CがAの連帯保証人となるとともに,Aの所有地にBの抵当権を設定し,その登記をしたが,その後Aは,その土地をDに譲渡し,登記も移転した。この場合,民法の規定及び判例によれば,次の記述のうち誤っているものはどれか。

1 は,その土地をに譲渡する際,及びに通知する必要はない。

改 は,抵当権を実行する際,あらかじめに通知しなくてもよい。

3 の取得前にに弁済した場合,は,に対してに代位することができるが,に対しては,代位の付記登記をしておかなければ,に代位することができない。

4 に弁済した場合,は,及びに対してに代位することができる。

 → 解答・解説

肢2は,平成15年の法改正で第三取得者への通知義務が廃止されたため改変しました。

〔問6〕 Aは,Bから土地建物を購入する契約(代金5,000万円,手付300万円,違約金1,000万円)を,Bと締結し,手付を支払ったが,その後資金計画に支障を来し,残代金を支払うことができなくなった。この場合,民法の規定及び判例によれば,次の記述のうち誤っているものはどれか。

1 のローンが某日までに成立しないとき,契約は解除される」 旨の条項がその契約にあり,ローンがその日までに成立しない場合は,が解除の意思表示をしなくても,契約は効力を失う。

2 は,が履行に着手する前であれば,中間金を支払っていても,手付を放棄して契約を解除し,中間金の返還を求めることができる。

3 の債務不履行を理由に契約が解除された場合,は,に対し違約金を支払わなければならないが,手付の返還を求めることはできる。

4 の債務不履行を理由に契約が解除された場合,は,実際の損害額が違約金よりも少なければ,これを立証して,違約金の減額を求めることができる。

 → 解答・解説

〔問7〕 Aは,宅地建物取引業者Bに媒介を依頼して,土地を買ったが,Bの社員Cの虚偽の説明によって,損害を受けた。この場合の不法行為責任に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。

1 は,の不法行為責任が成立しなければ,に対して損害の賠償を求めることはできない。

2 は,に対して不法行為に基づく損害の賠償を請求した場合,に対して請求することはできない。

3 は,の虚偽の説明がの指示によるものでないときは,に対して損害の賠償を求めることができるが,に対しては求めることができない。

4 は,に対して損害の賠償をした場合,に求償することはできない。

 → 解答・解説

〔問8〕 Aが建設業者Bに請け負わせて木造住宅を建築した場合に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。  

1 の報酬支払義務との住宅引渡義務は,同時履行の関係に立つ。

2 は,住宅の引渡しを受けた場合において,その住宅に瑕疵があり,契約をした目的を達成することができないときは,引渡しを受けた後 1年内であれば,その契約を解除することができる。

3 は,引き渡した住宅に瑕疵があるときは,原則として引渡し後5年間瑕疵担保責任を負うが,この期間は,AB間の特約で10年にまで伸ばすことができる。

4 は,瑕疵担保責任を負わないとする特約をと結ぶこともできるが,その場合でも,が瑕疵の存在を知っていて,に告げなかったときは,免責されない。

 → 解答・解説

〔問9〕 Aは,BのCに対する1,000万円の債務について,保証人となる契約を,Cと締結した。この場合,民法の規定及び判例によれば,次の記述のうち誤っているものはどれか。

1 を保証人として指名したため,が保証人となった場合,が破産しても,は,に対して保証人の変更を求めることができない。

2 に対する債務が条件不成就のため成立しなかった場合,は,に対して保証債務を負わない。

3 AC間の保証契約締結後,BC間の合意で債務が増額された場合,は,その増額部分についても,保証債務を負う。

4 に対して直接1,000万円の支払いを求めて来ても,に600万円の債権を有しているときは,は,の債権による相殺を主張して,400万円を支払えばよい。

 → 解答・解説

〔問10〕 Aは,A所有の建物を,Bから敷金を受領して,Bに賃貸したが,Bは賃料の支払いを遅滞している。この場合,民法の規定及び判例によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。なお,Bの未払賃料の額は,敷金の額の範囲内である。

1 は,に対し,未払賃料について敷金からの充当を主張することができる。 

2 の債権者が敷金返還請求権を差し押えたときは,は,その範囲で,の未払賃料の弁済を敷金から受けることができなくなる。

3 に建物を譲渡し,が賃貸人となった場合,に差し入れていた敷金は,の未払賃料を控除した残額について,権利義務関係がに承継される。 

4 が未払賃料を支払って,の承諾を得て賃借権をに譲渡した場合,が,に敷金返還請求権を譲渡する等しなくても,敷金に関する権利義務関係は,に承継される。

 → 解答・解説

〔問11〕 AがBの土地を賃借して建てた建物の所有権が,Cに移転した。Bは,Cが使用しても何ら支障がないにかかわらず,賃借権の譲渡を承諾しない。この場合,借地借家法の規定及び判例によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。

1 の建物の取得が売買によるものであるときは,は,当該建物の所有権移転登記をすれば,裁判所に対して,の承諾に代わる許可の申立てをすることができる。

2 の建物の取得が競売によるものであるときは,は,競売代金支払後2月以内に限り,裁判所に対して,の承諾に代わる許可の申立てをすることができる。

3 が賃借権の譲渡を承諾しないときは,は,に対して,借地権の価額に建物の価額を加算した金額で,建物の買取りを請求することができる。

4 に対して買取請求権を行使した場合,は,その建物を使用していても,が買取代金を支払うまで建物の引渡しを拒むことができ,その間の地代相当額を不当利得として返還する必要はない。

 → 解答・解説

〔問12〕 AがBから賃借している建物をCに転貸した場合に関する次の記述のうち,民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば,誤っているものはどれか。

1 AC間の転貸借がの承諾を得ていない場合でも,その転貸借がに対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるときは,の解除権は発生しない。

2 AB間の賃貸借が合意解除によって終了すれば,の承諾を得て転借していても,特段の事由のない限り,AC間の転貸借は終了し,の権利は,消滅する。

3 AB間の賃貸借がの解約の申入れによって終了した場合において,の承諾を得て転借しているが建物の使用を継続するときは,が遅滞なく異議を述べないと,AB間の賃貸借が更新される。

4 AB間の賃貸借の期間が満了する場合においても,は,の承諾を得て転借しているに対しその旨の通知をしなければ,その終了をに対抗することができない。

 → 解答・解説

〔問13〕 遺言に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。

1 遺言に停止条件が付けられた場合,その条件が遺言者の死亡後成就しても,遺言の効力は生じない。

2 遺言は,家庭裁判所の検認の手続きを経なければ,効力を生じない。

3 遺言の証人には,遺言者の長女の夫も,なることができる。

4 が公正証書で土地をに遺贈すると遺言した場合でも,後に自筆証書でこれをに遺贈すると遺言したときは,は,が死亡しても,当該土地の所有権を取得しない。

 → 解答・解説

〔問14〕 建物の区分所有等に関する法律に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

1 共有部分は,区分所有者全員の共有の登記を行わなければ,第三者に対抗することができない。

2 敷地利用権が数人で有する所有権の場合,区分所有者は,規約に別段の定めがない限り,その有する専有部分とその専有部分に係る敷地利用権とを分離して,処分することができる。

3 建物の管理に要する経費の負担については,規約で定めることができ,規約の設定は,区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数による集会の決議によってなされる。

4 建物の区分所有等に関する法律第62条の建替えの決議が集会においてなされた場合,当該決議に賛成しなかった区分所有者も,建替えに参加しなければならない。

 → 解答・解説

〔問15〕 不動産の登記に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

1 所有権の登記のある土地について合筆の登記を申請する場合,申請情報と併せて提供すべき登記識別情報は,合筆前の土地のいずれか1筆のもので足りる。

2 抵当権設定の登記のある土地の分筆の登記を申請する場合,抵当権者の分筆に関する承諾を証する情報又はその者に対抗することができる裁判があったことを証する情報を,申請情報と併せて提供しなければならない。

3 抵当権設定の登記のある2個の建物については,その抵当権設定登記の登記原因,その日付,登記の目的及び受付番号が同じであっても,合併の登記をすることができない。

4 建物の分割の登記は,表題部に記載した所有者又は所有権の登記名義人の申請によるほか,登記官が職権ですることもできる。

 → 解答・解説

〔問16〕 不動産の登記に関する次の記述のうち正しいものはどれか。

1 名義の所有権の登記がある土地をに売り渡す契約が締結された後,所有権移転の登記がされないうちにが死亡し,が相続をした場合には,名義への相続による所有権移転の登記がされなくても,名義への所有権移転の登記をすることができる。

2 土地の表題部にが所有者として記載されている場合に,がその土地を買い受けたときは,は,申請情報と併せて売買契約書を登記原因証明情報として提供すれば,直接名義の所有権保存の登記を申請することができる。

3 名義の所有権の登記がされている土地について,名義への所有権移転の仮登記がされた後,名義から名義への売買による所有権移転登記がされている場合には,は,の登記が抹消されるまでは,仮登記に基づく本登記をすることはできない。

4 (予告登記は平成16年の改正により廃止されたので,削除しました。)

 → 解答・解説


【正解】

10 11

12 13 14 15 16


●平成6年度・宅建試験 
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