昭和62年度 宅地建物取引主任者資格試験
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権利の変動分野 〔民法・区分所有法・借地借家法・不動産登記法〕 |
〔問2〕 14才の子供Aが,自己保有の土地をBに譲渡する契約を締結した。この場合,民法の規定によれば,次の記述のうち誤っているものはどれか。
1 Aの法定代理人がその土地の登記の移転に協力したときは,当該契約を追認したものとみなされる。 2 Aの法定代理人がその代金債権を第三者Cに譲渡しても,当該契約を追認したものとはみなされない。 3 Aが一年後にBに対し売買代金を請求しても,当該契約を追認したものとはみなされない。 4 Aの法定代理人がBに対し売買代金を請求したときは,当該契約を追認したものとみなされる。 |
〔問3〕 Aが死亡し,相続が開始した。Aには,両親B,C,配偶者Dがおり,AとDとの間に子E,Fがいる。また,AとGとの間に非嫡出子Hがいる。廃除される者や欠格事由を有する者がいない場合,民法の規定によれば,以下の組合せのうち,すべての相続人を挙げているものはどれか。
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〔問4〕 土地及び建物について,Aを売主,Bを買主とする売買契約が成立した。この場合,民法の規定によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。
1 その土地の所有者は他人Cであって,Aは,Cからその土地の所有権を取得してBに移転することができなかった。この場合,BはAに対し,常に損害賠償の請求をなしうる。 2 その建物に隠れた瑕疵があることが判明した場合であっても,瑕疵担保責任を負わない旨の特約を予め締結しておけば,Aは常に責任を免れる。 3 その土地の一部は他人Cのものであって,AはCからその部分の所有権を取得してBに移転することができなかった。この場合,Bは,その部分の所有者がCであることを知らなかった場合に限り,代金の減額を請求することができる。 4 その建物に抵当権が設定されており,抵当権の実行によりBがその所有権を失ったときは,Bは,損害賠償を請求することができる。この場合,請求権を行使することができる期間は,抵当権実行の時から1年以内に限らない。 |
〔問5〕 抵当権に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。
1 AがBのためにA所有の更地に抵当権を設定した後,Aが当該更地の上に建物を新築した。この場合,抵当権者Bは土地については競売することができるが,建物については競売できない。 2 AがBのためにA所有の更地に抵当権を設定した後,Aが当該更地の上に建物を新築した。この場合,土地について競売が実施されると,建物について法定地上権が成立する。 3 地上権に基づき建物を所有しているときは,建物のほか,地上権に対しても抵当権を設定できる。 4 抵当権者の同意がなければ,抵当権の目的物を譲渡できない。 |
〔問6〕 AはBに建物を売却する契約を締結した。この場合の民法の規定に基づく履行遅滞に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
1 契約締結時にBはAに対し手附金を交付した。しかし,当該建物は契約締結日の前日にAの帰すべからざる事由により滅失していたことが判明した。この場合,Aは受領した手附金の返還義務に関し,BがAに対し手附金の交付をした時から遅滞の責任を負う。 2 昭和62年10月1日に,BはAに対し代金全額を支払った。当該建物の引渡し期日が昭和62年10月18日と定められている場合は,Aはその期限の到来した時から遅滞の責任を負う。 3 Aの父の死亡後三ヵ月後に当該建物を引き渡す旨定めた場合は,AはAの父の死亡した日から3ヵ月を経過したことを知った時から遅滞の責任を負う。 4 当該建物の引渡し期日につき特段の定めをしなかった場合は,Aは,BがAに対し引渡しの請求をした時から遅滞の責任を負う。 |
〔問7〕 Aは自己所有の建物をBに賃貸した。この場合,民法の規定によれば,次の記述のうち誤っているものはどれか。
1 建物が老朽化してきたため,BはAの負担すべき必要費を支出して建物の修繕をした。この場合において,Bは当該賃貸借契約の終了後でなければ,修繕に要した費用の償還を請求することはできない 2 建物が老朽化してきたため,Aは建物の保存のために必要な修繕をしたいと考えている。この場合において,BはAの修繕行為を拒むことはできない。 3 Bは建物の賃借権をAの承諾を得て第三者Cに譲渡した。この場合において,Aは賃借権の譲渡後に発生した家賃についてはBに対し請求することはできない。 4 AB間で約定された賃料は,月8万円であったが,Bは当該建物を第三者Dに月10万円で転貸し,転貸につきAの承諾も得た。この場合において,Aが直接Dに対し8万円を賃料として支払うよう請求したときは,Dはこれを拒むことはできない。 |
〔問8〕 BはA所有の土地を占有している。この場合,民法の規定によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。
1 Bはこの土地がA所有のものであることは知っていたが,占有を続け,ついにこの土地の所有権を時効により取得した。この場合において,Bが所有権を取得した時点は,時効が完成したときである。 2 Bはこの土地を賃借権に基づき占有していたが,今までに一度もAより賃料を請求されたことがない。この場合において,Bはこの土地の占有を20年間継続しさえすれば,時効により所有権を取得することができる。 3 Bはこの土地を自己所有のものと過失なく信じて占有を開始したが,5年後にこの土地が実はA所有のものであることをA,Bとは無関係の第三者Cより教えられて知った。この場合において,Bは占有を開始した時より20年間占有を継続しなければ,この土地の所有権を時効取得することはできない。 4 Bはこの土地を自己所有のものと過失なく信じて占有を開始した。5年後にAはBに対し,この土地を明渡すよう裁判によらずして催告したが,その後5年間AはBに対し何もせずに放置した。この場合において,Bが当該催告を無視して占有を続けていたならば,Bのための取得時効はAの催告によって中断されたことにはならない。 |
〔問9〕 次の記述のうち,民法の規定によれば,誤っているものはどれか。
1 隣地の柿の木の枝が境界線を越えて自己の所有地に入ってきた場合は,その柿の木の所有者にその枝を切らせることができる。 2 土地の分割により,新たに公路に通じない袋地を生じた場合,当該袋地の所有者は,公路に出るため,他の分割者の所有地を通行することができるが,この場合には償金を支払わなければならない。 3 土地の所有者は,隣地との境界付近において建物を築造する場合には,必要な範囲内で当該隣地の使用を請求することができる。 4 袋地の所有者は,公路に至るために囲繞地を通行する権利があるが,通行の場所及び方法は, |
〔問10〕 AはBに対して土地を1,000万円で売却し,その代金債権を有している。一方,BはAに対して同じく1,000万円の貸金債権を有している。この場合,民法の規定によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。
1 土地代金の支払場所が鹿児島,貸金の返済場所が青森となっており,両者の債務の履行地が異なる場合は,相殺することができない。 2 両者の債権が相殺適状になった後,Aの代金債権について消滅時効が完成した。この場合には,Aのほうから相殺を主張することはできない。 3 両者の債権が相殺適状になった後,AがBに対して相殺の意思表示をしたときは,その効力は相殺適状が生じた時に 4 両者の債務の履行期限が異なる場合は,双方の債務の弁済期が到来した後にのみ相殺が可能である。 |
〔問11〕 AはBに対し金銭債務を負っている。この場合,民法の規定によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。
1 Bの承認を受ければ,Aの意思に反する場合であっても,利害関係を有しない第三者Cはこの債務を弁済することができる。 2 この債務が利息を生ずべきものであるときに,Aの弁済額が元本と利息の合計に不足する場合は,Aが特段の指定をしない限り,まず元本にこれを充当する。 3 Aのために弁済をなしたAの連帯保証人Dは,Bの承諾なくしてBに代位できるが,これをAに対抗するには,BからAに通知をするか,Aが承諾することが必要である。 4 Bの代理人と称するEが受取証書を持ってきたので,AはEに対して弁済をした。EはBの代理人ではなく,当該証書は盗まれたものであるとしても,Aの弁済は有効となることがある。 |
〔問12〕 借地借家法に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
1 木造の建物を所有する目的で借地権を設定するにあたり,地主と借地人の合意により,存続期間を3年と定めた場合でも,その約定はなかったものとみなされ,借地権は契約のときから30年存続する。 2 土地の賃借人が借地上の建物を第三者に譲渡する場合,地主が自己に不利となるおそれがないにもかかわらず,当該賃借権を譲渡することを承諾しないときは,裁判所はこれに代わる許可を与えることができる。 3 借地契約満了時に更新がなされなかった場合には,借地人は,地主に対して時価をもって建物を買取るべきことを請求することができる。 4 借地契約において,借地権の存続期間,建物の種類及び構造を定めなかったときは,借地権は堅固な建物の所有を目的とするものとみなされ,従って,その存続期間は60年となる。 |
〔問13〕 建物の賃貸借に関する次の記述のうち,民法及び借地借家法の規定によれば,誤っているものはどれか。
1 特約のない限り,賃借物の使用・収益に必要な修繕は,賃貸人が行う義務がある。 2 一定の期間賃貸人が家賃の増額を行わない旨の特約がある場合,地価の上昇等の理由により家賃が不相当となったときには,賃貸人は当該期間中であっても家賃の増額請求ができる。 3 期間の定めのある建物の賃貸借においては,当事者が期間満了の1年前から6ヵ月前までの間に,相手方に対し更新をしない旨の通知または条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは,従前の契約と同一の条件で更新されたものとみなす。ただし,更新後の契約期間は定めのないものとする。改 4 『賃貸人は,自ら使用することを必要とする場合に限り,賃貸借契約の更新の拒絶をすることができる』旨の特約は,有効である。 |
〔問14〕 建物の区分所有等に関する法律(以下,この問において「区分所有法」という。)に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。
1 区分所有者の1/5以上で議決権の1/5以上を有する者は,管理者に対し,会議の目的たる事項を示して,集会の招集を請求することができる。 2 附属の建物は,規約により共用部分とすることができるが,この場合,その旨の登記をしなければ,第三者に対抗することができない。 3 区分所有法第62条第1項に規定する建替え決議は,集会において,区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数により行うことができる。 4 区分所有法第3条に規定する団体で区分所有者の数が2人以上であるものは,区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数による集会の決議で法人となる旨定めることができる。改 |
〔問15〕 区分建物に係る登記に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
1 区分建物における建物の表題登記の申請は,その一棟の建物に属する他の全ての区分建物の表題登記の申請と共に行わなければならない。 2 規約共用部分である旨の登記は,当該建物の登記記録の権利部の甲区に記録される。 3 法定共用部分は,その旨の登記を,区分建物の属する一棟の建物の表題部に記録される。 4 区分建物の表示に関する登記をした場合において,敷地権の表示の登記をしたときは,敷地権の目的である土地の登記記録の表題部にも敷地権の登記をしなければならない。 |
〔問16〕 不動産登記に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。
1 建物を新築したとき,所有者は,原則として1年以内に建物の表題登記を申請しなければならない。 2 保証人の規定は,改正で廃止されたため,削除しました。 3 所有権に関する仮登記は,登記記録中の権利部の乙区に記載され,その次に余白が設けられる。 4 不動産を数人で買い受けて共有とする場合でも,持分を平等とするときは,所有権移転の登記には,持分は記録されない。 |
【正解】φは法改正により解なし。
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●宅建過去問・民法編 |
昭和55年,昭和56年,昭和57年,昭和58年,昭和59年,昭和60年,昭和61年,昭和62年,昭和63年,平成元年,平成2年,平成3年,平成4年,平成5年,平成6年,平成7年,平成8年,平成9年,平成10年,平成11年,平成12年,平成13年,平成14年,平成15年,平成16年,平成17年,平成18年,平成19年,平成20年, |
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